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思い付きで更新する、どこかにいそうな誰かの物語。  作者: どこかにいそうな誰かの代わり
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【0003】ヨシロウ 0002

 あるデートの時だった。

「昨日パチンコで負けたんだよね」と笑いながら話したヨシロウは、その後「悪いんだけど、電気代払わなきゃいけないから五千円貸してくれる?」と振込用紙をトモミに見せた。

 そこには一万円を超える金額が表示されている。


 同じくひとり暮らししているトモミの倍以上の金額だったため、思わず首を傾げる。するとヨシロウはトモミの考えを読んだかのように「うちのマンション、デザイナーズだかなんかで集中暖房とか共同で支払う電気代が高くてさ、そのうち引っ越そうと思ってるんだけど……」と苦笑混じりに説明した。


 たまたま給料日直後だったこと。そしていつもヨシロウがデート代をもってくれているということもあり、トモミは電気代に足りる分を財布から出した。

 するとヨシロウは礼を言いながら、千円札を一枚トモミに返した。

「端数は俺がどうにかするから――恩に着るよ」

 その日の食事代はどうしたらいいのかトモミは迷ったが、いつもと変わらずヨシロウが払っていた。


 トモミにとって、好きな人といられればそれで『デート』になるのだから、食事もファミレスやラーメン屋などでよかったし、行く場所にもお金を掛けなくていいと考えていた。

 今まで学生同士の質素なデートの経験しかなかったせいもあるだろう。

 ドライブからの外食や、ホテルに泊るようなデートは確かにトモミをわくわくさせたが、毎週毎回ともなると次第に申し訳なく感じるのだ。


 もしもヨシロウがトモミにとって初めての彼氏であったり、トモミがまだ処女であったりしたら、もう少し慎重な付き合いをしていたかも知れない。

 だが実際はそうではなかったため、トモミもあまり深く考えずにヨシロウとの付き合いを続けていた。恋に夢中になっている時には、相手の背景や短所などはあまり目に入らないものだから。


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