極論男・15
俺は5歳の時、4つ離れた兄が通う柔道場を見学に行った。楽しそうだな〜、と思った。
その日、俺は両親に柔道をやりたいと志願する。両親はたいそう喜び、褒めてくれた。
両親は一度した約束は絶対に守るんだぞ? と念を押された。
それから、毎週土曜日の7時〜9時が柔道の稽古となった。
最初は楽しかったが、程なくして観たいアニメが始まった。土曜日の8時から。俺は柔道をサボりたかった。しかし、両親はそれを許さない。過度のストレスだ。
「やめたい、やめたい、やめたい」
俺は腹が痛いと嘘をつくようになった。しかし、両親はトイレの前に胃腸薬を置き、いつまでも待ち構えている。
「先に行って!」
「早くしろ! 待ってるからな」
親の命令は絶対だ。逆らったら、殺される。だから俺は真摯に柔道と向き合うことにした。
出した答えは弱いものイジメ。
――学校で弱そうな奴に技をかける。大外刈、体落とし、一本背負い。
ついにはジジイの年金に手を出して、4万円はするM4の電動ガンを1丁買った。BB弾は0.4グラムの威力のあるヤツ。それを使い、山で獲物を探して、見付けた蛇を撃ち殺す。快感だ。抵抗出来ないものを絶命させる楽しみ喜び。赤い血が滴る。
次は錦鯉だ。自宅の庭にある池でのんびり泳ぎやがって! M4を手に取り、フルオートで錦鯉めがけてBB弾を撃ち込む。水面に波紋が幾つも出来て楽しい。錦鯉は血を流し、腹を上にしてプカプカと浮かんでる。最後に銃剣で刺して地面に叩き付ける。
「何をやってる!?」
父親だ。…………殺される。
そうだ! どうせ、殺されるなら先に殺してしまえばいい。
俺はM4を構え、マガジンのゼンマイを巻く。
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