全ての始まり
「なっ、なんだこれは?」
アレン
一般人
スキル
成長阻害
スキル購入
こんなもの聞いたことがない。
成長を阻害するだって?
そんなスキルあるだけ損じゃないか。
うちひしがれて呆然と突っ立っているアレンを周りの男子達は冷たい目で笑っていた。
「あいつめがしんでるぞ。」
「なんの職業とスキルだろうなー」
人生の負け組として周りが見るのには訳があった。
それもそのはず。
この世界では18歳になるとみな教会で職業とスキルをもらう。
職業とは、一生変わらないもので影響が一番大きい。
例えば、魔術師なら魔力が多くなり敵を倒すとどんどん成長して強い魔術をつかえるようになり魔力も増える。
だが、一般人とはまさになにもない最低の職業だった。
そしてスキルはそれとは別にサブで使えるものだ。
職業よりはかなり影響は小さいがそれなりのメリットがある。
が、アレンは一般人かつスキルも成長を阻害するものであったため絶望的であったのだ。
「ねえねえなんの職業だった!?私は・・・・どう・したの?」
俺に話しかけてきた同じ村のナナリーも俺の様子で察したようだ。
「あっ、あのなんかゴメンね。」
気まずい雰囲気の中ナナリーはそう呟いてどこかへ走って消えた。
終わった。
いままでこの日のために剣を振り込み、狩りに明け暮れた。
それも今日で終わりだ。
俺は村の女の子三人といつも仲良くしていて、もう一人の村の男の子からは妬みの視線を受けていたが、特に気にもしていなかった。
優越感があった。
でも今となればもう立場は逆転だ。
ナナリーの職業は光の癒し手でスキルは魔術師、エルシアは姫騎士と弓兵、ベロニカは光の舞子と雷使いで、ダンタリアンは勇者だ。
この四人はパーティーを組んで戦うことが決められた。
兵士に連れられて教会を出ていく。
ナナリーとエルシアとベロニカは俺を心配そうに見ていたがそのまま兵士に引きずられていった。
くそっ!悔しい悔しい悔しい悔しい!
なんのためにここまで鍛え上げてきたか。
おれが一番努力したはずなのにドウシテダ!
そう思った瞬間だった。
もうひとつのスキル、スキル購入が頭によぎった。