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風花の世紀  作者: 愛媛のふーさん
8/25

新たなる発現3

 蓮にとっては永遠とも思えた時間だが、実際は10分位だったろう。狼男事件の時のトラックが6台、隠ぺい工作担当の処理部隊を満載して到着した。処理部隊の隊長は蓮から場所を聞くと、テキパキ指示を出して処理していった。ごくありふれた国産の軽、多分日産のモコがトラックの間に停まっている。中からサングラスを掛けた初老の品の良い婦人が、オーナー秘書の美島恋華に手を引かれて降りてきた。目が不自由なのだろう。モコは恋華の愛車の様だ。老婦人が蓮に声をかけてきた。

「炎聖。初めまして。〈月読み〉異能の力を見通す者よ。この娘達ね。遠隔感知じゃ一緒にいるどちらかは判らなかったけど、おさげの娘が発現者だわ」

「真美ちゃんですか。どうするんです。やっぱりナイツに?」

恋華が口を挟む

「例外は有るけど、オーナーは強力過ぎる危険だって。あなたの時と同じ反応よ。それに血まみれをどうにかするにしても、炎聖あなたには無理でしょう?」

それは事実だったので蓮は素直に

「はい。お願いします」

頭を下げた。月読みが言い添える。

「エージェントにするかはルシファー次第。それでも訓練は必要よ。安全装置なければ暴発した時、大量殺人するの。何度も平さんに諭されてるでしょう?それで、どっちが彼女?」

蓮は躊躇わず

「異能者じゃ無い方です。真美ちゃんは自分が発現した時に焼き殺した男の妹なんです。それが異能者として人を殺めるなんて・・」

「それなら炎聖、あなたが全てを話すべきね」

月読みは労る様に語りかけた。その時、処理部隊隊長が報告する。

「処理並び、バイクの回収完了しました」

「本部に向かう」

蓮は決意を込めて宣言した。

 あずみも真美も本部に着いても目を覚まさなかった。女性スタッフが血まみれの体を浄め、制服も下着も新品と取り替えて惨劇の痕跡は無くなる。二人は医療室内に並んで寝かされていた。先に意識を取り戻したのは、あずみだった。

「ここは?」

付き添っていた蓮が答る。

「僕のバイト先だよ」

「変な夢。バイクに取り囲まれたら乗ってた人が爆発したの」

「夢じゃ無いんだ。現実。真美ちゃんがやったんだよ。異能の力が発現したんだ。異能の力は超能力みたいなもの。厳密には違うけど。生命の危険と、著しい感情の発露を引き金に発現する」

言葉を切る様に蓮は言った。

「私がやったんだ。人を殺したのね。三人も」

あずみの直ぐ後に意識を取り戻していたのだろう、真美が絞り出す様に言った。

「真美ちゃん。僕も異能者なんだ。僕の時は・・」

「兄貴。そうでしょう?」

「何でそう思うの?」

「先輩が言い難そうにするのは・・。兄貴、先輩に暴力振るっていたし」

「ごめん。謝って済む事じゃ無いけど」

「緋村くん何言ってるの?何がどうなって・・」

あずみは混乱していたが真美は冷静だった。

「兄貴は自業自得だよね。先輩、生命の危険って言ってましたよね。それほどの暴力先輩に。私は只バイクで囲まれただけで」

「危険を感じたらだから。あの三人に悪意が有ったのは確実。真美ちゃんが悪いんじゃない」

蓮は言葉の無力を感ながらも慰めた。

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