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風花の世紀  作者: 愛媛のふーさん
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邂逅3

 地下鉄のホームで、蓮はチリチリと表現するしかない不快な感覚を感じて回りを見渡す。黒いダッフルコートのフードを被った黒のデニムジーンズの一団が眼に留まる。何かが起こるという漠然とした予感が過った。電車がホームに滑り込んで来る。黒ずくめの一団が電車に乗り込む。蓮は隣の車両に乗り一団を観察する。走り出して直ぐ騒ぎが起こる。

「キャー!」

「何してるお前ら」

「嘘だろ!?テロか?」

隣の車両から蓮の車両に乗客が雪崩れ込む様に逃げて来た。それが途切れると、蓮は隣の車両に飛び込み戦慄する。黒ずくめの一団は拳銃やナイフで武装していた。蓮は声をかける

「戦争でも始める気?」

「聖戦だ」

狂信者特有の目の色だった。人数は6人。拳銃を3人が、ナイフを残りが構えている。蓮は手加減する必要を覚えず

「爆」

炎で全員を包み込んだ。狂信者達は熱さで武器を取り落とし転げ回っている。武器を回収してバッグに放り込むと、傘で脳天を叩き気絶させてから炎を消した。都市サバイバル戦で便利と持ち歩いていた結束バンドで後ろ手に拘束する。炎を感知して電車は止まっている。隣の車両で呆然としている車掌に、バッグから凶器を取り出して押し付けて、電車から飛び降り避難する乗客に紛れた。避難する乗客と共に駅まで戻ると地上へ出、タクシーに乗った。高く付くがナイツで領収書提出すれば精算してくれる。それよりあいつらだ。拳銃とは穏やかじゃ無い。タクシーの運転手に頼んでラジオを点けてもらった。

「・・・先程地下鉄の電車内で拳銃とナイフで武装した6人組が突然炎に包まれる事件がありました。拳銃は実弾装填した本物で、車両内に放火するつもりで誤って引火物が犯人達にかかったと観られています。事態の終息に、正体不明のギターケース担いだ少年が関わっていたとの話しも有り、犯人達の身元と共に事件は不明瞭な部分を残しております。・・・」

新しい情報はなかった。蓮は何等かの紋章らしき意匠のペンダントを掌の中であそばせた。犯人達全員がお揃いでしていた物である。手掛かりに成るとひとつ失敬したのだ。ナイツのデータベースなら一発で判明するにちがいない。

「着きました」

運転手が告げる。万札を出して

「これで。領収書ください」

釣りを貰いタクシーを降りた。外資系商社〈ナイツ〉表の顔である。裏の顔は〈異能者〉の秘密結社〈ナイツ〉だ。二階の社員食堂の中にあるスタバで相棒のバディ〈雷帝〉千堂円が待っていた。

「御活躍やった様やな。ウォーミングアップにも為らんかったやろ」

「ニュース速報観たんだ。すぐに判った?」

「炎とギターケース。わからんやったらバディ失格やで」

「ははは。そうだね。経理と調査部寄るから付き合って」

「かまへんよ」

千堂はそう言って飲みかけのソイラテのトール、ホットをぐいっと飲み干して、殻をごみ箱に放り込む。

「で、経理と調査どっち先や?」

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