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風花の世紀  作者: 愛媛のふーさん
20/25

対決5

 蓮の感傷を断ち切る様に威圧的な足音が近づいて来た。蓮も千堂も遼も振り返らずとも正体は分かっていた。

「公安だ。ご苦労だった。君達の出番はここ迄になる。魔道士は死んだようですが、死体は残ってないのかな?」

ダークグレーのスーツを着た4人の男達が声をかける。事が終わってのこのこと出て来て、この言いぐさに千堂はムッとしていたが、遼は事務的に応じる。

「ケルベロス召喚に身も魂も捧げて跡形無いですね」

「そうか。超常現象は無視できそうだな。後はこちらで処理する」

「さいでっか。なら帰ろか」

千堂は一仕事終わったと、あっさり引き下がった。蓮も遼も否はない。疾風と一緒にパくンダに乗り込む。

「後は警察任せかぁ」

「楽でええやないか」

「前にも言ったけどそれはいいんだ。真美ちゃん気になるから。只光の家も武器かなり保有しているから血が流れるんじゃないのかな」

「我々ナイツの様にはいかないかもしれませんね。警察の以て行き方次第ですが」

「ま、お手並み拝見やな。疾風帰ったらご褒美にステーキ食べさせてもらいや」

「ウォン」

「そっか、楽しみか」

「由依に頼んでおきますよ。疾風、今日は家に泊りだよ」

「良かったね。疾風」

「わいも小腹空いたわ。遼さん監視所戻ったらラーメンか何か作ってぇな」

「良いですよ。蓮君も食べますか?」

「はいお願いします。監視所はいつ引き払うんですか?」

「もう蓮君と千堂君に詰めてもらう事はないですが、警察の手入れが有る迄は監視続けます」

 遼は運転しながらそう言ってライトをハイからローへ切り換えた。対向車がちらほら出て来ている。もうすっかり夜を迎えていた。辺りも人家が多くなり明かりが見えてきた。蓮はカーナビをTVにした。髪をオールバックした政治家が記者の質問に答えている。

「我が国もテロには厳格に対処していくべきだと考える所であります。すでにオウム真理教による地下鉄サリン事件等々、化学兵器テロを経験しており不測の事態に対応できる体制は準備するに遅いとさえ言える」

「このオッサン誰やったかな」

「与党の進藤幹事長ですよ。あの来栖代議士の派閥のボス」

「ふーん。ニュースはええわ。蓮チャンネル変えてんか」

蓮はバラエティー番組に替えた。罪の無い話題で笑いが起こる。そんな番組を聞き流しつつ千堂が誰に言うでもなく呟く。

「テロリストがテロ計画しとるやなんて嘘みたいやな」

「テロなんてそんなもんでしょう。何気無い日常が悲劇に変わる。誰も計画には気付かないからテロリストはテロ計画する意味がある」

生真面目に遼が応じる。蓮は二人の言葉を聞きながら、テロに全てを捧げたネクロマンサーは一体どんな心境だったろうかと、考えてもしょうがない事が頭から離れなかった。蓮を捕らえたネクロマンサーに対する感傷が、尾を引いている。全て中途で終了して達成感に乏しいせいだろうか?全てを捧げて蓮達を倒そうとした敵が心を離れなかった。いけないな。狂信者の心境なんて自己陶酔の極みだろうに。そう蓮は自分に言い聞かせる。

「一仕事終わらせたんや。遼さんには悪いけど一足先に休暇もらおやないか。蓮」

「そうだね。二三日ゆっくりしたいね」

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