対決
翌日の昼休み学校の屋上で、あずみと真美からきのうのナイツでの様子を蓮は聞いた。
「バケツからバケツへ水を異能の力で移す訓練をやりました。〈移水〉って特技なんです。なかなか上手くいかないで、水が爆発して何度も何度も繰り返して疲れたです」
真美は訓練の内容を話す。あずみも
「何か難しい数字並んだデータを表にするソフトウェアに入力する仕事やったけ、ど内容はよく解んない。資料のデータ処理する仕事だって」
バイトの内容を報告する。取り敢えず頑張って続けると、二人揃って言うから手応えは有るんだなと蓮は思った。
「今日は直接現場に向かうので、送って行けない。二人で行ってください。ごめんね」
蓮はそう言って二人の顔色をうかがった。二人とも気を悪くする事もなく
「気を付けてね」
「頑張ってください」
素直に蓮に声をかけた。取り敢えず一安心して、光の家の信者の動向を遼に確かめようとスマホをかけた。
「遼さん。どうですか?」
「蓮君か。信者が10人ばかし集まってます。今日も日が暮れると何かやらかしそうです」
「判りました。学校終わり次第直ぐ向かいます」
「了解」
監視所のマンションに蓮が着くと、千堂は未だ来てなかった。遼が
「蓮君お腹空いてない?天津飯作るけど」
「ありがとうございます。お願いしようかな」
「直ぐ出来るから待ってて」
遼は冷蔵庫から卵とタッパーを取り出すと、中華鍋を火に掛ける。良い香りがしてきた。遼は巧みに鍋を操ると天津の卵をひっくり返し、器にのったご飯に焼けた卵を乗せる。餡を作ったら完成。
「お待ち」
遼が蓮に天津飯を差し出した時、千堂が入って来た。
「ええもん有るなぁ。わいにも作ったって」
「いいですよ。一戦有るかもしれない、腹拵えしときましょう」
「お先にいただきます」
蓮は食べ始めた。
「美味しい!遼さん中華得意なんですね。奥さんにも作ってあげているの?」
「休日はね。中華は僕担当って決まってるんですよ」
そうこうしてる内に、千堂の分も出来る。
「旨い!遼はん天才」
美味しい食事にありついて、千堂は御機嫌だ。遼はあと三人分を作っている。蓮と千堂は食べ終わり、監視要員と交代する。何の気なしに蓮は千堂に話しかけた。
「ネクロマンサーはどこで魔道修めたんだろう?」
「ヨーロッパやろな。ルシファーが警察の上層部からもろた資料では本名年齢不明、教団ナンバー3通常『魔道士様』で通っとるらしい」
「なんだ、千堂、ルシファーと連絡取ったんだ。きのう?」
「ああまあな。ルシファーから方針聞きたかったんでな。今回は公安に任せて、ネクロマンサー片付ける迄がわい達の仕事。監視もそれまでやて」
「背景が解んないで終わりはスッキリしないか。そこんとこは?」
「いや、掴めとる。教祖の終末予言が今年なんや。それを実現するつもりらしい。そこんとこを来栖代議士と背後の大物が、自衛隊の治安出動の実例を作るのに利用しようとしとるちゅう訳や。ネクロマンサーなら警察を蹴散らせると踏んだんやろ」
「ナイツの存在知らなかったのかな?ナイツが出てきたらネクロマンサーも大した脅威じゃない」
「ナイツの存在は司法関係の機密やからな。政治家は知らん」