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風花の世紀  作者: 愛媛のふーさん
15/25

異変5

 監視所の賃貸マンションに着く迄、蓮と千堂は目を覚まさなかった。帰るなり監視要員が報告する。

「来栖代議士が来てます。後、公安らしき車が2百メートル程離れて監視しています」

遼は顔馴染みの老刑事、片山甚吉に連絡を取ってみる気になった。片山は定年を2年後に控えた、本庁刑事1課のベテランである。公安は警視庁でも他の部署とは交流や接触は無いが、片山は長年の刑事人生で其れなりのコネクションがあった。甚さんなら何か知ってる。遼はスマホの電話帳をクリックする。

「甚さん。遼です。地下鉄と浦和美園の件で公安動いてます?何か知ってるなら教えて貰えませんか」

「いきなりだな。捕まえたの光の家の信者ばかりだから、公安も、すわ、第二のオウム真理教か!って張り切ってるよ。何故か東京地検特捜部も動いてる。出入りしている来栖代議士より大物が背後にいて、そっちが特捜の本命らしい。こっちはそれくらいだ。其れよりテロリスト料理したの、お前んとこのあんちゃんだろ。炎だの雷だの日本刀持ってたなんて他には居ねえ。遼、お前さんとこは何掴んでる?」

片山老刑事は早急な遼の問いに丁寧に答え、ギブアンドテイクのテイクを求めた。

「こっちも大差無いですよ。意外じゃないけど資金は持っていそうと、うちと同じく特殊な力持ったのが居たので二度程やり合った位です。公安は潜入に成功しました?」

「何とか潜り込んだ。未だ大した収穫は無い。特殊な力ってどんな力だ?」

「ネクロマンサー。死霊使いです。うちの異能者じゃないと対処できないすね。そいつの処理は任せていただきます」

「上に言ってくれ。1名だけか?他には?」

「解りません。取り敢えずその1名がテロの実行者を指揮してます。下っぱは普通の人間なんで銃と爆発物に気を付ければ問題有りません。スワットで処理出来るでしょう。他に居たらうちが出ます」

「判った。地検が誰を追っているか解ったら、連絡する。じゃあな」

電話は切れた。遼は蓮達に

「背後に大物が居て、地検特捜部が内定しているみたいです。公安は潜入に成功。それ位だね」

告げる。さらに続けて蓮と千堂二人に言った。

「二人は終電で帰って。明日も学校行ってください」

「つまらんな。今日の廃ビルの死者、ニュースになるやろか?」

「なるだろ。それより帰ろうよ」

「そやな」

蓮と千堂はマンションを出た。十六夜はギターケースに戻してある。スタジオで音楽の練習した帰りに見えているだろう。二人を怪しむ者は居ない。電車の乗り継ぎで別れる間際、千堂が蓮に言った。

「蓮。あのネクロマンサー以外に特殊な力持ったの居らへんかったら、今回はアイツの相手だけかもしれんな。わい達の出番」

「千堂。僕はそれはそれでいいけど。暴れ足りない?」

「いや、そうやない。テロの背景掴んでおきたいやないか。それは公安の仕事に成るんやなと思たら一寸な」

「確かにね。でもネクロマンサー片付けるだけで終わりなら、三島さんと真美ちゃんのケアに廻れる。千堂には悪いけど、そっちの方が良いんだ」

「バディより女取るんか?薄情もん」

「そういう訳じゃないよ」

「冗談やて。それじゃあな」

「又、明日」

二人は別々の電車に向かう。

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