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風花の世紀  作者: 愛媛のふーさん
14/25

異変4

 遼は予想に反して暖かい大地にぶつかった。羽毛の様な肌触りに意識を引き戻された。地面じゃない。そこは巨大な鳥の背中だった。燃える様な赤。いや、実際に燃えている。蓮も千堂も疾風も横にいた。

「これは一体?」

遼は茫然と呟いた。

「フェニックスの背中に乗ってるんですよ」

「フェニックス!?どうしてそんな物が?」

「蓮が呼び出したんや」

「呼び出した?どうやったら。まさか!」

「そう、〈始解〉です」

 蓮達、異能者が身近におく安全装置。これは、力の暴走を抑え込むだけでなく、力を引き出す事も出来る。〈安全装置封印解除〉何段階かあるその初歩〈始解〉。蓮の刀〈十六夜〉の始解は〈サモンフェニックス〉フェニックス召喚である。呼び出されたフェニックスは蓮の意に従う。一万℃で敵に突っ込んで焼き尽くす事も、40℃で背中に主やその仲間を乗せて飛行する事も可能なのだ。屋上からの落下という生命の危機が始解を発動させたのである。勿論生命の危機が必須条件ではない。馴れれば自由自在だ。今回、危機感が蓮に初めての始解を成功させた。しかし、禍根もある。離ればなれだった仲間の救出が精一杯で、11人のテロリストは瓦礫と共に地面に落下した。全員即死。自業自得とはいっても後味が悪い。その事を蓮が遼に告げると

「ネクロマンサーは?」

確認する。蓮は忌々しげに

「お得意のコウモリの群れに変化して、空に消えました」

答えた。

「今回は、わいらの殺害が目的やったようやな」

「多分」

「この廃ビルは前から用意してたようです。武器といい爆薬といい資金力だけは潤沢ですね」

「兵隊は使い捨ての駒か。好かんで全く」

「テロリスト達は殉教のつもりだから、始末がわるい」

「こないな所で愚痴っとっても始まらん。帰ろや」

「僕達が帰る前に、フェニックス帰すね」

蓮はフェニックスの頭を撫でると、十六夜を抜いた。頭上に掲げる。フェニックスは羽ばたいて飛ぶと、上空で旋回した。やがて虹の様なエフェクトと共に消える。エフェクトは映画のCGよりもきれいで迫力があった。三人は感嘆して見送る。暫くして

「この現場の処理どうします」

蓮が訊いた。千堂が答える。

「ルシファーはいかなる場合も警察に任せろってゆうてはった。このままほっとくしか無いやろ」

 蓮は瓦礫の山に手を合わせその場を跡にした。

「今から監視所帰っても終電間に合いますね。帰り道は高速使います」

パンダに乗り込むと遼は宣言し

「寝てていいです。疲れたでしょう」

更に言ってくれる。

「ほな、お言葉に甘えさせてもろて」

「ありがとうございます」


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