受付口は人気??(ブロッコリーVSエルフ)
コウに連れられて近藤製薬の前まで来たが、
俺はあまり乗り気ではなかった。
もちろんタケルの事は気になる。
だけど…4年前に家族と大切な仲間を同時に失った俺は、あんな悲しい思いをするなら一人で居た方がずっとましだと思った。
まぁでもここで帰るのもちょっとあれだから仕方なく俺はコウに着いて行き、受付口に着いた。
するとどうやら先客が居るようだ。
それも_
凄くガラの悪そうな奴が…
その先客は日曜日だって言うのに作業服で、パンチパーマ、銀縁の色の濃いメガネ?サングラス?みたいなのをかけて、袖口からチラッと見える刺青、そして喋り方…
それはもう__典型的なチンピラって感じの男がなにやら受付で話している。
アレとは関わりたくないな。
するとコウも気付いたのか、やたらと受付を凝視している。
頼むから問題は起こさないでくれと思ってたその時_
「おい!アレ見ろよ」
となぜか耳打ちしてきた。
俺もチンピラには聞こえない様に耳打ちで話した。
「あぁ。わかってる。アレと関わるのは絶対勘弁だな。」
「ちっげぇよ!あのブロッコリーじゃなくて、奥のお姉さんだよっ!半端ない美人だぞ!」
え!?
言われて受付のお姉さんを見てみるとそれはそれは__
女優かと見間違うレベルの美女だった。
年齢は俺らより3つぐらい上だろうか?相当綺麗な顔立ちで、サラッとした黒髪ロング?セミロングって言うのかな?で、全身までは見えないが、少なくとも上半身はパーフェクト。ここまでくると全身の姿なんか見なくてもわかる
___この世の男なら一目みただけで惚れ込んでしまいそうな完璧系超絶美女だ。
さすがの俺でもあれほどの美女となると少し緊張してしまう。
俺が少し見とれているとコウに脇腹をつつかれた。
「おい見とれてんじゃねぇよ!」
「べ、別に見とれてた訳じゃ…」
さーせんぶっちゃけ見とれてましたー。
そんな俺らに気付く素振りも見せずになにかを話てるチンピラ。
まぁあれほどの美女となれば取り巻きの1人や2人居たっておかしくないだろう。
俺は少しチンピラと美女の話に耳を立ててみた。
「ねーねーミカさーん?聞いてんのかよー?ねぇってば」
「すいません。お仕事中なのでご用件がありませんでしたらお引き取り願います。」
受付に両肘をかけて口説いてる様子のチンピラには目もくれずデスクワークに取り組むお姉さん。
それでも引き下がらないチンピラ。
「そんな事言わないでさぁ、一回ぐらいデートしてくれたっていいじゃねぇかよー。」
チンピラのくせに甘えた声出しやがって…
一方お姉さんは完全スルー。
……それは傷付いちゃうだろ___
「あれ?聞いてるかーい?おーいミカさーーん?」
「…………。」
「もしかして照れてる?あーもーそんな恥ずかしがるなよー。」
「…………。」
やっべぇコイツ鋼のメンタルだわ。
にしてもあのチンピラどうも癪に障るな。
それはきっと__
俺はコウをチラッと見た。
あーやっぱりイライラしてますよねぇ。そりゃそうだわ
美女に目がないコウが平然としてる訳ないよな。
すると顔に怒ってますと書いているかの様なコウがコッチを見て
「…なぁ。」
「いや、やめとけ。」
俺は即答した。すると意外にもコウも察したのか黙ってくれた。
いや良かったー。ここでコウがブチキレたら面倒な事になるからな。
それにしてもいつになったら話終わるんだよ。
「ミカさんお願い!一回だけ!一回だけでいいからさ、ダメ??」
まだいくか。あのチンピラある意味大物かもなぁ。
とその時
「いい加減にしてくださいっ!!デートなんてしません!!それに私、旦那居るので。」
「……………。」
こりゃお姉さんの勝ちだな。破壊力バツグンだこれは。
ん?さっきまでお怒りモードだったコウの様子がおかしい。
もしかして、コイツまでダメージ喰らったか。
なんて思っていると、
お姉さんがコチラに気がついた。
余程あのチンピラが嫌いなんだろう。チンピラの事を見向きすらしてなくて、さっきから居た俺らに全然気付いてなかったらしい。
「次のお客様もお待ちですので、要件がそれだけならお引き取り下さい。」
するとチンピラはチラッとこっちをみたがお構いなしにまた口説き出した。
あのくそブロッコリー頭かち割るぞこらっ。
なんて思っていると、とうとうコウが動こうとした。
「おい!やめろ。面倒事起こすなよ」
俺は動き出そうとしたコウの腕を掴み小さな声で呼びかけた。
だが、コウは俺の手を払い今にも乗り込みそうな勢いだ。
「おいっ!!コウ!!!」
俺の声に全員振り向いた。
あっ…………
やっべぇ声でか過ぎた。
するとコウの事をガン見しながらチンピラが近付いてきた。
やっちまったー。絡まれるよこれ絶対絡まれるよだからチンピラ属性の奴らは嫌いなん…
「コウ!?お前長瀬コウか?久しぶりじゃねーか!!」
えっ!??なにコレ予想外……




