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修羅場から始まる今日という名の茶番劇

作者: 鈴生彩架
掲載日:2015/10/24

敢えて言おう、ほぼ実話であると。

…あ、はい、どうぞお気になさらず御拝読ください。


修正:段落分け

 朝。

 秋になったからか、布団から出る度に冬の知らせを彷彿させる寒さが身に染み込む。冷たい床を踏みしめ、私はそそくさと椅子に腰を下ろした。

 

 ここ最近は毎日この行動を繰り返している。日に日に寒くなり、今年初めてもう直ぐ冬が来るんだな、と思ったのは今日だったりする。

 今日の朝ご飯は珍しく炊き込み御飯であった。今日は幸先が良い…なんて、馬鹿馬鹿しいことを思ったのが現在より約5分前。

 

 我が家の本日の朝は見事なまでの修羅場であった(その言葉の意味を正確には知らないのだが…非常にその言葉が適する気がするのだ)。

 昨日喧嘩していたらしいが(らしい、と言うのも私はその時塾に行っていたのだ)、まさか連日、しかも朝に再び喧嘩するとは。

 髪をときながら聞くに、どうやら父は昨日体調不良で、機嫌が良くなかったらしい。そんな中母の不躾な発言(どんなことを言ったかはわからない)によって喧嘩が勃発。それによって父が興奮し、吐き気を催して…まあ、その後はご察しの通り。

 

 自業自得。

 正にその一言に尽きる。そして普段ならばその一言で終わるのだが…実は一つ問題がある。

 

 …私の部屋の前で喧嘩が繰り広げられているのである。

 そのあまりの恐ろしさに学校にいく体制が整ったものの出るべきか否か葛藤すること約十秒。腹を括り、私は『銃声轟く激戦場(俗に言うリビング)』への扉に手をかけ…思い切って開けた。

 

「もう、分かった分かった分かった分かった分かった分かったわよ‼︎」

「あぁ⁉︎だから、君は分かりもしないのに何回も分かったと繰り返して一体今まで何を聴いて___」

 

 ___サッと戸を閉めてしまった私は断じて悪くない。

 激化した戦争(口論だが)に巻き込まれれば最後、社会的恥辱(即ち遅刻)が待っているのだ。

 …しかし、だからと言って巻き込まれるのを恐れここに立ち止まり相手が去るのを待っていても社会的恥辱を受けることは明白。

 

 八方塞がり。逃げ道は無し。

 社会的恥辱を受けるか、それとも弾丸(親からのフリとも言う)を受けぬよう上手く逃げるか。

 

 ___人間、諦めが肝心。

 責めて流れ弾(私へのフリ)が来ないよう細心の注意を払って戦場を過ぎさろうではないか。

 

 深い紺色の通学鞄を肩に下げ、ごくり、と言う音を立てて生唾を呑み込んだ。

 失敗は許されない。何故なら失敗は社会的恥辱並びに(精神的な)死を表しているのだから…‼︎

 

 ___深呼吸。

 

 私は意を決し、太陽の光に照らされた(カーテンが全開だったのだ、全くご近所さんに父母の醜態が見えていたらどうしようか…)戦場を気取られぬよう颯爽と歩き抜けた。

 この通り過ぎる間が妙に恐ろしく、数秒がとても長く感じられた。

 

 安堵の溜息を吐き、洗面所にて歯を磨く。勿論BGMは恐ろしい喧騒である。いつも通りきちんと磨いたのだが、BGMの所為かいつもより早く磨き終わった。役に立つが出来れば二度と聞きたくない。

 

 うがいをし終えた私は歯ブラシと手を洗い(手をコップ代わりにうがいをしているからだ)、通学鞄を再び肩に、そそくさと玄関へ向かった。

 背後うしろに軍人(状態:戦闘中)達が居て恐ろしい。(先ほどから私が恐ろしいしか言っていない気がする。)

 

 靴に足を突っ込み(と言うよりはぶっ込み、が合う)、踵を踏んだままフルロックされた玄関扉を解錠、生太陽なまたいようの下(但し、屋根が付いているため太陽の光はほぼこない)に出て___即扉を閉じ慌てて施錠した。

 

 さらば兄(2番目)。非常に尊い犠牲であった、などと言う馬鹿らしい台詞と共にエレベーター(マンションの最上階に住んでいる)へ向かう。

 エレベーターの前までに着き、『▼』のボタンを押した瞬間、丁度私の家(正確には父の家)の号室の辺りからガチャガチャという鍵を動かす音が聞こえた。

 そんな筈は___驚き弾かれたように其方を向けば、此方へと歩んで来る兄(2番目)の姿を捉えた。

 

 ___生きて、いたのか(割と真面目に)。

 と、思いきや私に一言、

 

「死んだ」

 

 エレベーターがついたので入り、「如何したの」と無難な返答をして話を聞き出した。

 曰く、昨日から徹夜でテスト勉強に勤しんでいたのだが、父母ちちははの喧嘩で全く集中することができず南無三、その上現在絶賛頭痛中と言う最悪な状況らしい。

 

 ……まあ、なんと言うか。頑張れ。

 

 心底同情した。寝癖バッチリの兄(2番目)の顔は心なしか眠そうに見えた。

 

 そこから一人他人が増えた為会話は途切れた。が、まあ。敢えてこの件について一言いうのであれば。

 

 ___1番の被害者、それは兄(2番目)だったと言えよう。御愁傷様の一言に尽きる。

 

 少しだけ、兄(2番目)を労わろうかな、と思ったのは此処だけの話。

 

 まあ、それか。

 

 本日も本日で不幸と苛立ち、序でに眠気を感じながらも私は自分を作って演じ始める訳だ。

 さあ、今日はどんな茶番劇が演じられるかな___若干高揚、されどほぼ不機嫌で塗り潰された心と共に憂鬱な登校時間が始まった。


後で調べたら修羅場の意味はあっていました。

よかった…。

誤字脱字等ありましたらご一報願います。



登場人物


☑︎父母

身長にとても差がある。高学歴である。


☑︎兄(2番目)

凄く賢いが計画性に乏しくいつもテスト前には徹夜で課題を終わらせにかかる。

寝癖がグレイト。身長は168センチ。

☑︎主人公(私)

至って普通の学生。成績は学校内で言えば上の上。ストレス性胃腸炎持ち。身長は低めで、子供の頃はよく「男前ですね」と言われた程カッコ良い顔の持ち主。思考回路も男性寄りだが生物学上では女の子である。

女子の友達はいない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。 朝から出会したくない現場をくぐり抜けた主人公に万歳です(笑) お兄さんにはもう同情しまくりでした(゜∀゜) 後書き欄の「父母」の説明の「慎重」は「身長」ではないのかな、と…
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