表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

恋するマッチョ

 という訳で、只今絶賛野営準備中です!


 この世界にやって来て、野営も手馴れたものですよ!


 ゴーレム達に助けられてデスケドネ……。


「竃を用意するね、火起こしをお願いしてもいい?」


 先程お友達になったフィアに頼んでみる。


「はい、わたし、火魔法です」


 火魔法は得意らしい。


 石を並べて竃を作り、薪を用意するとフィアがあっという間に火を点けてくれる。


 お見事!


 何時もは吟風に頼むのだけど、吟風のファイヤブレスだと野営の度に森が消えちゃうからね、やっぱり時代はエコロジー、森林資源は大事にしないとね。


 でも吟風は良いところを見せそびれちゃったかな?


「今日は新鮮なお肉が手に入ったから、焼肉なんて如何かしら?」


「や……焼肉?」


 フィアの目がオドオドと中空を彷徨う。


「焼肉嫌いだった?」


 フィアはブリブリと首を振り否定する。


「昨日、一昨日、ずっと、ドングリだったから……」


 え? エルフって菜食主義なの? て言うかドングリ?


「えと……お肉ダメだった?」


「違う、わたし、ビンボー」


 あー……。


「でも、調味料、ある」


 フィアが肩掛けカバンから、見た事も無いような調味料を、次から次へと出して行く。


「すごい! フィア凄いよ! こんなに沢山の調味料、見た事ないよ!」


 フィアは顔を赤らめながらモジモジしている。


「これで、ドングリ、美味しくなる」


 ドングリを美味しく食べる為の努力なのかぁ、あれ?


「フィア? 調味料って高価よね?」


 フィアはキョトンとしている。


「調味料を買うお金で、お肉が一杯買えるんじゃ?」


 フィアはその発想は無かった! と言う顔をしてドングリを握りしめる。


「これは……呪い?」


「う……うん……まあドングリは置いといて、焼く板を用意するね」


 あ……そう言えば……私の焼き肉の鉄板て、ちょっと変わってるんだった。


「あのね……フィア、私ってゴーレムしか魔法が使えないの」


「はい」


「焼き肉の鉄板もゴーレムなんだけど、あまり驚かないでね?」


「大丈夫、です」


 私はゴーレム作成の魔法を行使する。


 足元から身長五十センチ程の、マッチョな男の人が現れて、おもむろに身体に油を塗りだした。


 テカテカに光る身体を見せつける様に、ポージングをした後に竈の火の上で四つん這いになった。


 苦悶の表情を浮かべながら、マッチョ鉄板は固定されたので、背中の上にお肉を置くと、ジュージューと音を立てて香ばしい香りが辺りに漂う。


「何故、マッチョ?」


 ああああああ、やっぱり変な子だと思われたあああああ!


『オガアアアアアアアン!』『ゴワアアアアアアアアアア!』


 吟風と彗星が近くの山にファイヤブレスを放ち、山肌がみるみるうちに黒くなって行く。


「お肉、美味しそう……デス」


「え? この鉄板でも平気なの? フィア」


「マッチョには、耐性、ある」


 よかった……変な子だと思われてなかった。


「動物だと可愛そうだし、女の人だとやっぱり熱いみたいで、クネクネと動いてお肉が落ちちゃうの……」


「これで、平気、デス」


「フィア……ありがとうね」


 ちょっと涙が溢れちゃった。


 フィアは私の涙を見ないように、焼けるお肉に視線を移してくれている。


 優しい女の子と知りあえてよかった……。

天然ボケと天然ボケを絡ませると、酷い事になります。


勉強になりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ