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ひまわり畑  作者: otsk
35/51

バトン(6)

 教務主任は月曜にもこれと言った、行動を起こすことはなかった。鍵を返しに行き、ボイスレコーダーを回収したが、これと言った声は録れていなかった。

「全部、取越し苦労だったって話ですかね」

「私に、屈服させられてるしね。私たちが知らないだけで、何か処罰を受けてたのかも。その上、改竄なんてしたら、余計首を絞めるだけだしね」

「なんで、俺らも合宿参加させてくれなかったんだよ〜」

「春乃ならともかく、お前はポロッと言いふらしそうだからな」

「おかげで向日葵ちゃんとデート出来たけど」

「神への祈りを一秒で済ませろ」

「待て待て!何にも手だししてない!」

「それが、この世における最後のお前の言葉でいいか?」

「殺ることは前提ですか!?」

 こいつはいまさら何をほざいているのだろうか。もう一秒経った。

「オレオマエヤル」

「ぎゃー!」


 ーーーーーーーーーーーーー


 数秒後に揃って正座させられてた。

 部長が、ぼくと夕夜を同時に足蹴にして、動きを止めたのだ。後悔はしてるけど、反省はしてない。普通は逆だろうけど。

「あんまり部室で騒がないでもらえるかしら?運動したいならお外へ行ってちょうだい」

「あい……」

「すいませんでした……」

 言葉だけ謝ってる風にしておく。無論、ここに心は込められてない。込める必要ないので。

 ついでに30分正座となぜか、俳句を詠めと。なぜ、俳句?

「30分以内に書かなかったら、もう30分追加ね」

「俺……もうすでに足が痺れてきたんですけど……」

「我慢しなさい」

 イジメだ。

 ふむ……ひとつ、早く解放されるために詠んでおこう。

 古池や 蛙飛び込む 水の音

 殴られた。どこからか取り出したかわからないけど、ハリセンで。

「当たり前でしょ。それで許されると思ったあんたの神経がすごいわ」

「酷評どうも」

 新しく考えなきゃな。

 そういえば、もう夏だな……。

 蝉の声がうるさく響いている。エアコンなしのこの部屋だが、日差しが当たらない分、涼しさはある。うん、テーマは夏だな。

 蝉時雨 絶えず飛び込む 窓際に

「いや、無難すぎるけど、どうしたの?」

「いや、視界に窓に張り付いてる蝉が見えたんで」

「キャー!」

 部長大絶叫。そんなに嫌いか。

「落ち着いてください部長。窓締め切ってますし、くっついてるの外側です」

「……こほん。弥富君は?」

 平静を装うけど、取り乱したのはみんな目撃してますので取り繕ってもしょうがないです。

「あー、うー。俺、俳句とか作文とか嫌いなんすよね……こう、情緒を重んじるのが苦手で」

「なら好きなものをストレートに伝えるのも一つの手よ。まあ……オススメはしないわ」

 また荒れることを予期したのか、部長は思いとどまった。よかった、部長が聡明な人で。

「あの……部長、俺、そろそろ足の感覚がなくなってきたんですけど……」

「ちょん」

「ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁ!!!!」

 大悶絶。よほど、我慢してたようだ。床でのたうち回ってる。痺れる人は自分の体重で、足の血流をせき止めてしまってるからだけど、夕夜はそれが異常なほど早いみたいだ。

 しばらく止まって、足の感覚を取り戻すために恐る恐る足を着く。抵抗があるのか、なかなか実行しようとしない。

「あーもう。じれったいわね。さっさとやりなさい。さっさと、男らしく!」

「ギャァァァァ!!」

 無理やり着かせたため、また大悶絶。本当に美味しいなあいつ。見てる分には大変楽しいです。

「ひなちゃんは大丈夫なの?」

「こういうのは慣れだよ。昔はよくやらされたもんだ……」

「あー」

 愛花も覚えがあるのか、肯定する。愛花と向日葵のどちらかが泣いてたら、先ずぼくが悪いという結論に至り、正座で説教されてた。主に姉に。ただ、その背景は大体ぼくが関わってなかったけど、別に二人のせいでぼくが被害を被るのは構わない。それが、ぼくの役割だ。

「あ……ようやく感覚戻ってきた」

 夕夜が足をさすりながら、ようやく立ち上がった。だが、歩き方はまだぎこちない。

「産まれたての鹿みたいね」

「見たことあんのかよ」

「生ではないけど、テレビで何度か」

 確かに、歩こうとするたびにぷるぷる震えてるしな。人間の赤ちゃんなんて、産まれてすぐは歩くどころか、ハイハイすら出来ないのに、四足歩行の生き物は、種の本能なのか、歩いて、走り回ろうとする。

「というわけで、その状態で元気に走り回ってみろ」

「む……無茶言うな……」

 その場でダウンした。もうほっておこう。

「そうだ、旭君」

「はい?」

「今度の日曜、付き合ってもらえるかしら」

「デートですか!?ひなちゃんは渡しません!」

「違うわよ。あなたには前に言ってるでしょう。会いにいくのよ」

「誰にです?」

「もう一人の原作者。正確には、あの子の方が、ほぼ全部作り上げてるのだけど」

 ノートパソコンに目を落として、そのまま閉じた。

「まだ、結果出てないですよ?」

「いいのよ。あれはモチベーションの問題だったから。結局、何も起こらず終わったし。付き合わせたから、その借りということよ」

「分かりました」

「ひなちゃ〜ん。私は〜?」

「悪いけど、向日葵と遊んでてくれ。あ、夕夜は行くなよ?」

「彼氏の扱いがぞんざい過ぎます!」

 もう一人の原作者ね。

 実際、部長じゃなくて、その人が書いてるみたいな言い方だけど、なら何故、二人の共同作品みたいな扱いにしているのだろう。その辺りにも会わせたい理由があるような気がした。


 ーーーーーーーーーーーーー


 ようやく、日曜日になる。何事もイベントまでの時間は長く感じるものだ。向日葵の次は愛花が懇願してきたけど、約束は破れないので、家で留守番。向日葵も休みだったはずだし、メールを入れといて出発。

「暑いな……」

 日差しも強くなってきた。本格的に夏だな。日中は30度に届くとかなんとか。温暖化よ、もう少し緩やかにやってくれ。このままいくと、溶ける。人間が溶ける温度まではさすがに知らないけど。

 待ち合わせは駅ということ。学校の付近にあるし、移動の問題もあるのだろう。バイト代も入ってるし、そこまでの出費でもあるまい。というか、ぼくが二つ先の駅まで行くだけですがね。

 駅の待ち合わせというのは、部長が別の駅で待ってくれてるだけです。

 それでも、遅刻することはよしとしないので、15分前に到着するように電車に乗る。


 ーーーーーーーーーーーーー


 電車に揺られること20分。目的の駅へ到着。

 定期やら、カードやら便利な道具は持ってないので、切符を改札機に入れて、ホームを出る。

 ちょうど15分前。さすがぼく。

「15分遅刻。私が来てからは5分遅刻」

 初っ端から、出鼻をくじかれた。

「あの……部長、早すぎません?」

「デートには30分前集合。あなた、彼女を待たせるつもり?」

「いえ、待たせるもなにも、同じ場所からスタートするんで遅刻も何もあったもんじゃないですけど……ていうか、デートだったんですか、これ」

 まあ、部長の服装は確かに気合が入ってるといえば入ってる。上はカットソーにカーディガン、下は膝下のスカートにヒールの靴。

「歩くの大丈夫です?」

「他のとこ褒める前にまずその心配するの?旭君は」

「いや、歩きにくくて疲れたら申し訳ないと思って」

「慣れてるから大丈夫よ」

「まあ、夏らしくて、清涼感のある格好で似合ってますよ」

「な、なによ……ちゃんと、褒めれるじゃない……」

 思ったより、不意打ちに弱いようだ。照れてるところは少し可愛い。

「部長、顔赤いですよ」

「暑いせいよ!人を茶化してないで、早く行くわよ!」

 誰も、照れてるなんて言ってないのに、それを否定したということは、照れ隠しということで。先にツカツカ歩いて行ってしまった部長を追いかけて、隣で歩くようにする。誰かに見られたら、踵落としくらいそう。そんなことするのは、春乃ぐらいだけど。全員、今日のことは知っているので多分大丈夫だろう。多分……。

「部長、どこに向かってるんです?」

「そこよ」

 部長が指を差す。

「図書館?缶詰めでもしてるんですか?」

「違うわよ。隣にもうひとつ施設があるでしょう」

 図書館の隣にある施設。白く、幾つも窓がついている。かなり大きい。

「病院?」

「そ。そこまで、大人数で行くと迷惑だからね。まずはあなただけ」

「なんで、病院に……」

「中に入ってから説明するわ」

 部長の意図が読み取れないまま、病院へ向かうこととなった。


 ーーーーーーーーーーーーー


 307号室の前で止まる。どうやら、ここのようだ。

「名前は……?」

岡崎おかざき つづりよ。共同というのは、そういうこと」

 どうやら、岡崎というのは本当にその人の名字だったようだ。

 上がその岡崎さんで、下が部長。

「入っていいです?」

「ここにうろついてる方が邪魔だし、入りなさいよ」

 病室は、二人部屋のようだったが、もう一人の人はいないため、実質一人部屋のようだ。

 岡崎 綴さんだけかと思ったが、何か、もう一人、人影が見える。

「てめぇ、凛太郎……」

「お、お前は旭!なぜ、ここにいる!」

「私が呼んだのよ」

 やれやれと説明をする。

「お前……親戚、兄弟にいねえって言ってたじゃねえか……」

「ふん……誰がやすやすと人に情報を与えるってんだ……」

 二人の間に火花を散らせる。無論病院内なので、手は出さない。

「あら、あなたが旭 日向君でいいのかな?」

 声を掛けたのは、髪をストレートに背中のあたりまで伸ばした、女の人だった。腕には点滴をしているが、病院にいるほど、大きな病気にかかっている人にも見えない。

「こんにちは。初めまして。岡崎 綴です。弟とは、一緒の学年かな?」

「あ、はい。学年は一緒ですけど、クラスは違います」

「そうなの。どうして、知り合いに?」

「ええ。以前にあなたのこと調べてたんですよ。とりあえず手当たり次第に岡崎って名字の人探して、そしたら凛太郎に当たったわけです。その時にはこいつぼくの彼女口説こうとしてましたが」

「彼女?祀ちゃん、彼氏じゃなかったの?残念」

「違います!誰がこんなやつと!」

 そんな真っ赤になって否定せんでも。ぼく、ちょっと悲しいです。ぼく、そんなに魅力ないですか……。

「祀ちゃん。男の子にそんなこと言っちゃダメだよ。ほら、外見て涙を堪えてるし」

 泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ。愛花はこんなぼくを選んでくれたんだ。今のぼくを受け入れないと。

 ようやく、涙を落ち着かせる。

「ふう」

「祀ちゃんが他の人連れて来るなんて、どういう風の吹き回し?」

「どうって……まあ、合わせたかっただけです」

「あの……岡崎さん?」

「あはは。綴でいいよ。凛ちゃんと被るし」

「あの、姉ちゃん。俺、もう高1なんだけど……」

「凛ちゃんは凛ちゃん」

「はい……」

 逆らえないようだ。

「えっと、綴さん。歳は?」

「祀ちゃんの一個上。先代部長よ。あなたが入った時、祀ちゃんすごく嬉しそうに話してたんだから」

「ちょっ!言わないでください!」

「いいじゃない。これぐらい〜」

 いつもぼくたちの前では傍若無人な部長だけど、綴さんの前では借りてきた猫のようだ。何か分からないけどこの人には、人を逆らわせないようにする魅力というのか、そういうものが感じられる。かといって、それは全く嫌な感じではない。むしろ、惹きつけるような感じだ。

「むう、私が書いてるのは内緒なんだけどなあ。サインはないよ。私、そういうの苦手で」

「いやいや。ねだるつもりできたわけじゃ。むしろ、彼女と妹の方が好きでして」

「日向君はファンではない?」

「つい最近、借りたばっかりで」

「読んでくれてるの!?」

「え、ええ」

「ありがとー。身近に読んでくれてる人がいると嬉しいよー」

 ぼくの手を掴むが、その力はひどく弱い。その手はするりと落ちそうになる。ぼくは、落ちないように握りしめた。

「あ、あはは。ごめんね。力、うまく入らないんだ。それで、入院してるの」

「そうなんですか……」

「ああそんな気に病むことないよ。ギランバレー症候群って言ってね。手足に力が入らなくなるの。でも、1年もすれば治るみたいだから」

「今、どれくらい経ってますか?」

「去年の年明け前に。だから、今半年かな。おかげで、ここで卒業式迎えちゃった。皆来てくれたけど、学校でやりたかったな。学校好きだったもん」

 決してこの人は孤立していたわけではないようだ。でも、病院で迎えてしまうのは寂しかっただろう。人生に一度の卒業式だ。出席日数は足りていただろうけど、ここで迎えることになってしまった。

「今は、休筆中ってことですか?」

「ううん。それだと、楽しみにしてくれてる人に迷惑だからね。祀ちゃんが書いてくれてるよ。元々一緒に書いてたし」

「一つの物語を二人で?」

「前半を私、後半を祀ちゃんみたいな感じでね。逆もあるよ」

「誰もやったことないだったら、私たちがやっちゃえー!って感じで綴さんはやっちゃったから……」

「それで何作か書いて投稿してね。拾ってくれたところがあって、おかげさまで人気が出ました」

「すげえだろ。姉さん」

「お前は何もやってないけどな」

 唐突に割り込んできた凛太郎をどかす。

「お前は一体、何をやってんだ?」

「ん?姉さんがパソコン使いやすいように改良してる。文章は今時は手書きじゃなくてワープロだしな。使いにくくなるにつれて、改良するんだよ。その時の状態でやりやすさってのはあるし」

 どうやら、開閉がしやすいようにしたり、ボタンを軽く押すだけで入力出来るようにしたりしてるようだ。化学物質生み出してるより、技術職とかのほうが向いてるような気がする。なんか、やけにぼくの周りには変な特技を持ってる人が多い。勉強だけができるぼくなんかより、それはよほど役に立つし、羨ましい。ぼくに出来ること……それは、何だろう。

「日向君」

「はい?」

「思いつめても、事態は好転しないよ。君には君にしかできないことがある。立ち止まるな少年。走り続けなさい」

 足も手も満足に動かせない私が言っても、説得力はないかと笑った。その屈託ない笑顔は迷いは何もないように見えた。その、顔を見てられなくて、ぼくは振り返り、一言だけ別れを告げて、病室を出た。その後を部長が追いかけてくる。

「強い……ですね。あの人」

「うん。強いよ、綴さんは。いつでも、前を見据えてる。その場で転んでも気にしない。次を目指そうとしてるからね」

 目の前のことで手一杯なぼくには、到底出来そうにもない話だ。

「どうして、部長はぼくにあの人に会わせたんですか?」

「どうして……か。旭君なら、その真意は汲み取ってくれるかと思ったけどね」

「期待に添えなくてすいません」

「別に怒ってるわけじゃないし、君はまだ15歳の少年であることを自覚するべきだね」

「それってどういう……」

  ふと、柔らかい笑みを浮かべ、ぼくに近づいた。

「ねえ、旭君。君は本当に守山さんを好きだって言える?」

  この人は何を……。

「もちろんです。ぼくは愛花が大好きです」

「この世の何に変えても?」

「え?」

  返答に詰まる。ぼくは愛花のことが好きだ。そのことに相違はない。だから、何に変えてもって答えればいいだけ……。

  それだけなのに、声が詰まって、外に出て行かない。

「答えれないか……。そうよね。旭君はきっと、誰の助けを得なくても生きていけれる。だから、隣にいるのは別に守山さんでなくてもいいのよ。今は、たまたま幼馴染で近くにいた守山さんをそういう立場に仕立て上げてるだけ」

「なんで……そんなこと言うんですか」

「旭君は綴さんの世話をしてた凛太郎を見てどう思った?きっと、向日葵ちゃんになら、あなたもああやって出来るでしょうね。家族なんですもの。でも、守山さんには?あんな状態になった場合、責任を持つことが出来る?」

「あ、愛花のためなら……」

「まあ、その立場ならあなたは自己犠牲の精神が強いからするでしょうね。逆の場合は?」

「その場合は自分で何とか……迷惑かけられないし」

「それよ。あなたは、何でも自分でやろうとする。その実、誰にも頼ろうとしない。そんなので、本当に守山さんが必要だと言えるのかしら?」

  詭弁だと思った。反論するなら、すればよかった。そんなことないって。そう言えばよかった。でも、部長の言葉に反論は出来なかった。本当にぼくには愛花が必要なのか分からなくなった。一時の感情で動いてるだけなんじゃないのか?それじゃ愛花にいつか悲しい思いをさせる。なら、いっそ……。

  俯いてしまった、ぼくを覗き込むように部長は言う。

「ごめんね。いじわるするつもりじゃないのよ。だから、別れろなんて言うつもりもない。だから、私のせいで心が揺れ動いてるなら……私は謝るしかできない」

  本当は、この程度で揺れ動いてるなら、ぼくに一人の女の子の人生を背負う資格なんて無い、とそう言うつもりだったんだろう。部長は何だかんだ優しいのだ。

 学生時代の交際なんて、結婚まで持ってく方が珍しいぐらいだろう。だから、彼女の一生を背負うことが出来ないと言えば、それで別れることは出来る。傷は浅ければ修復する時間も短くて済む。ぼくにその覚悟がないなら、こんなおままごとはやめるべきじゃないのか?前までの、普通の仲のいい、幼馴染でいればいいんじゃないのか?

  そんな思いが逡巡する。どうにも、ぼくには正解が出せないようだ。

「ふう……。気晴らしにデートでもしましょう」

「はい?」

「守山さんとじゃないと嫌だ?」

「愛花に悪いし……」

「まだその気持ちがあるなら、大丈夫かしらね……。まあ、今日は付き合ってくれたお礼にこれあげるわ」

  どこからか、二枚の色紙を取り出した。なんかサイン入り。

「あの人、サインとか書けないとか言いながら、こっそり練習しててね。その場じゃ書けないから!って私に渡してたのよ。彼女と妹にあげといて」

「あ、ありがとうございます」

「ま、今日の話は頭の片隅に入れておけばいいわ。あなたが最善の道を選べることを祈ってる」

  そう言い残して、部長は去って行った。本当はあの人デートしたかっただけなんじゃないかな。愛花に連絡してでも、付き合ってあげればよかったかも。

  部長の言葉は片隅にって言われたけど、脳裏にこびりついて、なかなか剥がれてくれそうにもなかった。

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