始まって終わるログイン
凡之助「うぃぃ!た、助けてぇぇ!」
視界を覆うほど舞い上がる煙。
雨のように飛び交う矢。
突っ込み、吹き飛び、そして転がる雑兵(NPC)。
その中でただ一人逃げ回るオ☆レ♪。
凡之助「どういうことなんだよぉぉぉおおおお!!」
オレは必死に叫びながら逃げるしかない。
………
……
…
始まりはリアル友人に勧められた元祖戦国無双オンライン。
ごくごくありきたりな、雑魚をばったばったと倒していく感じのVRMMOSLGだ。
主人公の名前をオレの本名をもじって、優之助に決めて、
外見も決め、さあプレイしようかとした丁度その時、
VRマシンの電源が落ち、目の前が真っ暗になった。
気がつけば元祖戦国無双オンラインの時代設定である戦国時代。 どうやらログアウト出来なくなったらしい。メニューを開く事が出来ない。
………それはいい。
小説なんかでよくある展開だ。ゲームの世界で活躍し、敵を倒せばゲームクリア。むしろ、普通にゲームをするより面白いかもしれない。
………問題は………。
…
……
………
凡之助「なんでオレが雑兵なんだぁぁぁあああ。」
顔は一緒なものの、装備等はNPC用の雑兵と全く一緒。
オマケにバグったのか、名前が凡之助になっている。
吹き飛ぶ雑兵(NPC)の場所を見ればプレイヤーが使うようなカッケェ鎧武者が薙刀を振るっている。
オレの手にあるのは、なんの変哲も無い鉄槍。
こんなモノであの鎧武者を倒せというのか。
………一言だけ言わせて欲しい。
凡之助「無理ゲー。」
オレの物語が始まる。
………いや、もう終わるかもしれない。