道化師と白兎
展開とか謎です
これは、遠い昔、近い未来の物語。
灰色の空、一面に広がる焼け野原。その野原の真ん中に、道化師の住む小屋がありました。
道化師は毎日遠い遠い街まで歩き、道端で道化を行い、わずかなお金と食べ物をもらって小屋に帰る、そんな生活をずっと続けていました。
しかし貰えるものは日に日に減り、ついに今までの生活を続けていけなくなりました。
町に行く途中、空腹で倒れた道化師の前に一匹の白兎が現れました。空が灰色になってから久しぶりに見た真っ白な身体の兎です。
道化師が白兎を見つめていると、白兎は言いました。「もしこのまま死んでしまわれたくなければ、私の肉をお食べなさい」
道化師は白兎に手を伸ばします。しかし、白兎を食べようとせず、ただ、白兎の頭をそっと撫でたのです。「お気持ちだけで十分です。私はきっと、ここで死んでしまう運命なのです。ですが、一人は寂しいので、せめて最後の時まで一緒にいてください」道化師は静かに目を閉じました。
その耳元で、白兎はそっと囁きました。「あなたは心の優しい人です。ですから、あなたを私たちのもとへお招きしましょう」
その瞬間、周りが急に明るくなり、体がすごく楽になりました。道化師が目を開けてみると、暖かい部屋に、暖かい料理、そして様々な動物たちと色鮮やかな世界が広がっていました。「ここはどこですか?」道化師の質問に白兎が答えます。「ここは神様が作り出した外の世界。あなたは外の世界に初めて出ることができた人間なのです」
白兎はテーブルの上に乗っている大きな箱を指差しました。「あれが、あなたたちの世界です」
道化師はその時気付きました。今まで自分が見ていた空は、あの箱の天井だったのです。
「私たちは清く正しい心を持った者たちをここへ導くためにいるのです」白兎は後ろにいる様々な動物を指差します。「あなたが清く正しい心を持っている限り、ここはあなたの味方になってくれるでしょう」
道化師は白兎に深く感謝し、清く正しい心を忘れることなく、末永く幸せに暮らしましたとさ。
一応裏解釈がありますが、載せるかどうかは気分次第になりそうです