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灰
何も無かったあの時代
すべてが 無に等しかったあの時代
手に取る物は全て灰と成り
手のひらから 零れ落ちた
辺りには屍が転がり
燻った灰からは煙が立ち上ぼり
全ては 闇の中だった
どれほど歩いても
何回 朝日が昇っても
夜に成れば
この世は何も無い闇なのではないかと思わされた
でもこんな
何も無いこの野原にも
草花が 芽生えて来た
色の無いこの世界に
可憐な花が 咲き乱れる
ここから
何も無いこの場所から
何かが動き出すかも知れない
夜に成っても
闇の中に光が灯り出すかも知れない
希望を持って生きて行ける
そんな新しい一歩を踏み出そう




