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影の気まぐれ
逃げる影に手を伸ばす
その背に触れる寸前で 手は 弾かれてしまった
拒絶されてしまった
それでも
追いかけて 追いかけて 追いかけて
影は気ままに振り向いて 私を 試すように からかうように
笑いかける
手招きをする
そのたびに 揺れ動く心
乱されて 乱されて
夜ごと 流れる しずく
好きだから追いかけるのではなくて
振り向かせる為だけにと 目的が変わる
その想いは やがて 意地に代わる
私は影に 付きまとう
影は 迷惑そうに眉をひそめた
私をそうさせたのは
影の 気まぐれ




