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人肌の温もり
こんなに寂しい季節の中に 独りぼっちで放り出されて
それでも君は泣かないで じっと寒さに耐えている
もしかしたら 泣けないのかも知れない
悲しい思いをたくさん経験して
たくさん 泣いて 泣いて 涙が渇れてしまったのかも知れない
誰にも 期待しない瞳
誰かに何かを訴えても 何も変わらない そんな瞳で ただ 通り過ぎる人々をやり過ごしている
まるで そんな子どもは存在しないかのように 目にも留めないで 流れて行く人々
捨て犬のように媚も売らない
捨て猫のように泣きもしない
そんな事をする気も起きないぐらい 彼はこの世に 絶望したのかも知れない
気の強い子どもだと思われたのだろうか
可愛いげの無い子どもだと思われたのだろうか
その瞳に 輝きを持たせたい
無表情な顔を 笑顔に染めたい
私は彼に手を差し伸べよう
住む所を与えよう 食べ物を与えよう 新しい服も与えよう
私の できうる全てを捧げよう
君が見切りをつけたこの世界を 喜びで満たしてあげたい
君は 私が 守っていこう
君は この手を 取ってくれるだろうか




