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透明
誰も知らない 誰にも見えない
私と言う存在は いつから透明に成ってしまったのだろう
声も届かない 誰も振り向かない 存在さえも 怪しくなる
あの頃に戻りたい
まだ私が輝きを放ち 大勢の人に囲まれていた
あの時代に戻りたい
愛する人に囲まれていた とても とても 幸福な時代
私は 持っていた物を手放してしまったの
大事な物を 一つ 二つと
手を 放してしまったの
それでも 必死だった
生きる事に 必死だった
そうしたら もっと大事な物も 手のひらから 零れ落ちてしまった
私は その時から透明に成った
誰にも認識されなく成った
私は誰だろう
私は誰に 必要とされているのだろう
誰も知らない 誰にも見えない
私は 透明に成ってしまったの……




