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“糸香の裏側”を載せたのは『虫』を載せる為でした。


しかし、理解してもらえ無いかも…と思って今まで載せませんでした。



息子の時太郎には


「病んでいる」


と言われました。



スルーして下さって構いません。



…私としては 気に入っているのですが…







 この世は虫で溢れている……。







 それは真白い色をして、折り紙で出来た蜘蛛の形をしている。


 それは私にしか見えない。私にしか触れ無い。


 それは どこからでも溢れて来る。


 例えば 蛇口から 例えば 排水口から 炊飯器から 洗濯機から……


 溢れ出したそれは 私を取り囲み あっという間に身動きも取れなく成る。




 初めてそれを見たのは 誤って校舎の二階から落ちた時。


 あぁ、もう私 死ぬんだなって思った。痛いんだろうなって思った。


 色んな事が浮かんで来て、これが走馬灯って奴なんだって思った。でも 痛く無かった。



 気が付くと私の下に沢山の虫達が居た。それが何十にも何百にも積み重なって 私のクッションに成ってくれた。


 助かったって思った。でもそれは地獄の始まりだった。


 その日から私の自由は奪われた。箱の中には居られない。


 教室 自分の部屋 トイレ リビング お店の中


 そんな箱の中にいると あっという間に虫に占拠されてしまう


 だから私は外にいる。ただ 街を歩き回る。



 そんな現実が嫌に成り 何度も逃げ出した。


 首を吊ろうとした。手首を切ろうとした。川に身を投げた。屋上から飛び降りた。


 私は自由に成れる筈だった。



 なのに 虫達が邪魔をする。


 自分の身を犠牲にしながらも 私とアスファルトの間に入り込み 私が怪我をしない様に 死んでしまわない様に



 私はどこにも逃げ出せない。閉じ込もる事も 立ち止まる事も出来無い。



 虫達で埋め尽くされた今日が沈んで行く。


 私の瞼も堕ちて行く。



 又 新しい朝がやって来る。朝には全てがリセットされて 虫の居ない世界から始まる。


 私が動き出した瞬間から 虫達も姿を現す。



 目覚めの時間だけが私のホッと出来る僅かな瞬間。



 このまま 動か無いでおこうかと思う。


 瞼を閉じたり開いたり それの繰り返し。


 頭の中で考える。


 どうしたら 逃げ出せる?



 私にだけ見える虫達は 一体何だろう。


 地球外生物。お化け。幻。


 私を守る存在だから 守護霊 それは無いか。




 窓の外 空が見える。青い空。あそこへ行きたい。 あの場所へ 行きたい。



 羽根が欲しい。この背中に。あそこへ行く為の大きな翼。



 羽根が欲しい。羽根が欲しい。羽根が欲しい。羽根が欲しい。


 翔びたい。翔びたい。翔びたい。



 目を閉じて 強く願った。




 私の背中に大きな羽根が生えた。


 これで どこへでも行ける。自由に成れる。



 私は 鳥に成ったんだ。



 窓の隙間から外へ出る。



 大きく羽ばたいた。





 私は 自由だ。











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