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壁の穴
ここは廃屋がつらなる灰色の街
どれだけ歩いても
硝子が散乱しその鋭さが人々を傷付ける
虚ろな目をし 希望を持てない街
街の外れには 長い壁
この先には何があるのか
人々は知る事が出来無い
どこまで行っても この壁は
厚くて 硬くて 高すぎて
脆く崩れそうなところは 一つも無い
この先へ行きたくても 行くすべは無い
しゃがんだ下の 地面に近い場所に穴を見付けた
小さなその穴を覗いてみる
そこには見た事も無い沢山の色が溢れ
私の目を 釘付けにした
人々が笑い 花が咲き誇り
楽し気な音楽が流れている
何だろう この 心が踊り出しそうな衝動は
重く沈んでいた物が ふわふわと浮き上がる感覚は
今まで経験の無かった物
私は ここから動け無く成った
行きたい あそこへ行きたい
誰か 私に気付いて
私を 導いて
どうか どうか




