③
オレは結局エロ本を読んでいた。
数分前、白いドアを開こうとし時、不安がよぎった。このまま、外へ飛び出して果たして良いのだろうか。もしかしたら見張りがいて、オレが外へ飛び出した瞬間にオレを殺すかもしれない。無論、外へ出る他この状況を打開する手はないのだから、勇気を出すしかないのだが、オレにはその勇気がなかった。変に鍵なんか開いているから、躊躇したのである。そして、とりあえず落ち着こうとした。落ち着こうとして手にしていたのがエロ本だった。オレは自分が男だと再確認した。
結局、半分くらいページをめくったが、この状況で落ち着くなんて無理な話だった。オレは座っていることが耐えられなくなり立ち上がった。その瞬間、ものすごい音と衝撃がオレを包んだ。
気がついて目を開けたら真っ暗だった。あたりは焦げ臭い。ここががれきの中であることに気がつくのに少し時間がかかった。ものすごい重いがれきの中にいるはずなのに、ものすごい衝撃を受けたはずなのに、あまり痛くない。
オレはとにかくここから這い出ようと光を探し、必死で体を動かした。こういう場合は、がれきは一人で持ち上がらないのだから普通は救助が来るのを待つのだろうが、オレにはがれきがあまり重いとは感じなかった。案の定、体でがれきを持ち上げることが出来た。オレはそのまま外を目指した。
外へはすぐに辿り着けた。オレはがれきの頂点に立った。やはり、オレがいた建物は全壊しており、しかも燃えていた。何かが起こり建物は全壊して燃えた。しかし、オレは生きていて燃えるがれきの上にいて、暑くはあったが熱くない。オレはどうしてしまったのだ。
オレはもう一度よくあたりを見ることにした。まず目に入ったのは、オレを見つめる美女。次に、ここが地球とは思えない景色であることだ。
もうこれが現実かどうかわからなくなった時、オレは懐に何かがあることに気がついた。取り出してみるとなんと先ほどまで読んでいたエロ本だった。無意識にあの衝撃から守っていたのだ。
オレは自分が男だということ再々確認した。
執筆者:シマダ