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①
目が覚めたら、僕は白い空間の中にいた。
いきなりの出来ごとに何が起こったのか、理解できない。
寝る前は、どこにいた?何をしていた?これは誘拐?全く思い出せない。頭が痛い。どうやら後頭部を殴られたみたいだ。
起きた場所で頭を気にしながら、辺りを見渡す。視界全体が白色なので、どれぐらい広いのか判断しづらいが、かなり広そうだ。おそらく正方形の形で、軽く百平方メートルはありそうだ。天井も白い。蛍光灯が規則正しく、並んでいる。この空間には、窓がなかった。
自分の身体付近を見渡す。僕の物らしい茶色いリュックサックが無造作に置かれていた。中を見ると、水とガムや飴などのお菓子と筆箱、果物ナイフのようなものが入っている。ナイフは見覚えがなかった。僕の物じゃないなら、誰かが入れたということになる。つまり、やはり誰かに連れて来られたのか。
事件だと思うと、この空間から今すぐにでも出たいと思った。そうだ、この部屋にドアは、無いのか?部屋の壁全体を目凝らしながら、見る。
すると、四方の壁に一つずつ、それもまた白いドアがあった。
執筆者・オカ