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『人間DATA』〜すがちゃの愛した人生〜

作者: 安藤あんず
掲載日:2026/03/11

「冒険の書が消えてしまいました。」

「冒険の書が消えてしまいました。」

「冒険の書が消えてしまいました。」


Now Loading…

「人間の世界が消えてしまいました。」


『すがちゃ危機一髪』 作・フジタカ


私は、すがちゃ。ひょんな事から魂を宇宙人にぬいぐるみにインストールされてしまった。(実験のようだ。)


くりくりとしたおめ目が特徴の真っ白い雪のようなアローラロコンだ。ふわふわのぬいぐるみ。ポケモンは好きだ。それは良い。


何と、自分の意思で動けないし、喋れないのだ。だけど、喋れなくとも考え鑑みる事は出来る。何とかしてこの危機を乗り越え、元の人間に戻らなくてはーー。


すがちゃ「パパ、ママ。安藤、全王様……助けて?」



〜ルリの家〜(クラッカーの音)パンッ、パンッ、パンッ!


ルリママ「今日はルリの誕生日。ハッピーバースデー! ルリ。6才の誕生日おめでとう!いつもおりこうなルリに素敵なプレゼントがあるわ?」


ルリ6才「ママ、ありがとう!プレゼントってなになに?ママ!」


ルリママ「何と、毛並みふさふさアローラロコンのぬいぐるみでーす!ちょっと大きいよ?」


ルリ「わー!!ありがとう、ママ!大切にするね!」


アローラすがちゃ「助けてー!私、アローラロコンのぬいぐるみじゃないの!生きてるの!人間なのよー。」(声は届かない)


ルリ「これからいっーぱいニコニコしよーねえ?チャッピー♥️寝る時もお風呂入る時もお出かけする時もずーっといっしょ!いっぱい可愛がるからねー、よしよし。」


チャッピー「うう。私、すがちゃなのに……。全王様の神の啓示(妄想)を受けたみんなのアイドルすがちゃなのに。パパ、ママに会いたい…」



数年後、ボロボロになったアローラロコンのぬいぐるみがポツンと部屋の片隅に横たわっていた。


しばらく誰も触って居ない。埃まみれのボロボロだ。片方の目と耳がとれかかっている。ちょっと臭い。


アローラすがちゃ「うう…。あれから、どれくらい経っただろう?ああ、スプラトゥーンしたい。カービィやりたい。ポケモンの新作やりたい。


寂しい……誰かと話がしたい。


ぬいぐるみになってから、食事もトイレも寝る事も出来ていない。身体はある程度の元気を保っていたが、精神は流石に限界だった。


誰でも良い。誰かと。誰かと話がしたい。水、冷たい水が飲みたい。助けて?パパ、ママ……。」


ガチャッ。薄暗い部屋の一室に誰かが入ってくる。ルリちゃんのママだった。



ルリママ「……。今日、ゴミの日か。チャッピーも汚れて、ボロボロだし捨てちゃおっか。ルリには新しいぬいぐるみ買ってあげれば良いものね。」


そう言うと、すがちゃはゴミ袋に入れられた。ぎゅうぎゅうぎゅう。狭いゴミ袋に無理やり押し込められる。うう…苦しい。何するの?ルリママ。泣きそう…。



〜外・ゴミ収集車〜


オーライ!オーライ!


すがちゃ「え?あ、ああ……嘘!?嘘嘘嘘!!ゴミ収集車なんかに入れないで!!?私は人間よ?生きてるの!ほら、呼吸してるでしょ?気付いて!お願い!ゴミ収集車のおじさん!!」


バリバリ、バリバリ、バリ。


無慈悲な刃がすがちゃに迫る。


すがちゃ「神様、全王様!パパ、ママ!助けて。助けて。助けて!!」


バリ、バリバリバリ。バリバリ、バリ。


すがちゃ「ひ…、ひいいいいいいい!!


刃!?裁断!?死ぬ?私!怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い!!!助けて!助けて!助けて!パパぁ!ママぁ!ルリちゃん!


きゃあああああああああ!!!?」ベキ、ゴキ、メキッ。


シャッ。


断末魔。無慈悲な機械音と共に、すがちゃの声が途絶える。


もはや、ぐちゃぐちゃで原型を留めて居ないようだ。


ピーーーー。お疲れ様でした。実験体No.9すがちゃさんリタイヤです。

皆さん、速やかに撤収して下さい。


宇宙科学者「よしよし。地球人の貴重な実験データが取れたぞ。恐怖値、パニック値爆上がりじゃないか。参考になるな。人間とは何と面白い生き物じゃ。」


6歳児科学者「ずるーい。僕も人間の魂の入ったぬいぐるみ(ポケモン)欲しいー。さて、研究、研究っと。あー、ドーナツが食べたいなあ。」むしゃむしゃ。



宇宙科学者「実験体No.9すがちゃだったか。平均的な若い成人女性。使えるな。もうちょっと頑張って貰うか。


この人間DATAの入ったROMを再生してーーふふ。まるでモンスターファームの世界だな。」


宇宙科学者は、そう言うとすがちゃを復元した。どうやら『人間DATANo.9』

というROMにすがちゃの記憶、感情、ステータス全てが記録されているらしい。


それがある限り、何度でも同じ人間を再生出来る。本物そっくりのコピー。でも、本物の人間。研究、臨床実験には持ってこいだ。



Now Loading…


宇宙科学者「おはよう。」

6歳児科学者「おっはよー!チャッピー!」


すがちゃ「……。? チャッピー?何ここ?何処かの研究施設?寒い…。私何で?確か仕事帰りに車に乗ってた筈なのに。??」


6歳児科学者「3年間お疲れ様ー!チャッピー!良い研究結果が取れたよー?学会で発表しちゃおっかなー?はい!ドーナツあげる!」


すがちゃ「あ、うん。ぼうや、ありがとう。(てか、何で私ハダカ?寒い訳だ。私の服何処だろう?)


あ、あの!ここが何処かは存じませんが私、家に帰りたいんですけど!!パパやママも待ってるし……」



宇宙科学者「あー、人間DATANo.9 君のお母さん、お父さんなら250年前に他界しているよ。お友達、恩師、職場の人間、記憶に無いだろうがお子さんと孫もだ。200年以上前にこの世を去っている。


君は今、1人だ。そして、君はすがちゃという人間のコピー(復元体)

本物の鈴木すがちゃさんは既に他界している。」


本物そっくりのーー完壁な一人の人間だ。但し、我々宇宙人の完全管轄下だがね。


ーーと科学者は、淡々と言い放つ。


すがちゃ「あ、あの、私以外にも……?」


宇宙科学者「なかなか鋭いね。人間は既に滅び、人間たちのDNA-DATAは我々の管轄内に入った。


宇宙基地局にも承認済みだ。


今、様々な実験をして、DATAを採取している所だ。精神面、肉体面、人間関係に極度のストレスを与えてね。


安心しなさい。仕事をしなくて良い。お金にも困らない。食事は美味い。素敵なサプライズもある。こんな好条件他にあるかね?」


すがちゃ「……。たし、かに。」


すがちゃは、取り敢えず迎合した。問題は、ここからどう逃げるかだ。

家族、友人たちの死を悼むのは、その後で良い。怖い。身体が震える。それでも、強い意志で自分を奮い立たせた。


すがちゃ「それで、私は何をーーをををを、あ、あれ?あれあれ?あれ?


ぷくぅーーっ、パンッ。


言い放つ前にすがちゃの身体がシャボン玉のように弾けた。跡形も残らない。


人間DATANo.9「すがちゃ」は消失した。綺麗さっぱり跡形も無く。人間のコピー(復元体)はROMでいくらでも再生出来るので、問題ない。


6歳児科学者「僕をいやらしい目で見るからだよー!べーだ!6歳児を性的な目で見ちゃ駄目なんだい!ぷんぷん!」


削除ボタンを押して、すがちゃ(復元体)をDELETEしたのは、まだ幼い少年ーー6歳児の科学者だった。どうやら寝起きで機嫌が悪いらしい。



2XXX年、地球人は、完全に他の惑星コロニーから襲来した宇宙人(知性は人間並)の支配下に置かれていた。


『人間DATA』そう、人間を実験し、DNAを採取し、造った人間DATA-ROMがある限り、人は永久に死ななくなったのだ。




「うむ。実験は成功じゃ。」


「助けて……お母さん、お父さん?」



Now Loading…『地球』(TERA)へ。


『人間DATA-ROM』これがあれば人間は安心。永遠に生きられる。人類の夢が、遠い惑星から来た宇宙人により叶えられたのだ。


地球人「宇宙人様、素敵な生活と物資をありがとうございます。」


宇宙電波による洗脳も順調だ。

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