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婚約破棄された悪役令嬢、秘奥義☆宴会部長で王城を制圧する

作者: ぶるどっく
掲載日:2026/02/14



「今……なんとおっしゃいましたの……殿下?」


「今一度言おう!

親が決めたとは言え、幼き頃より結婚を誓った相手であるエリザベス、そなたに!」


雰囲気、宝塚。


どこからともなく金色の照明。

階段。

謎のオーケストラ。


「幼い私達は、あの芳しき薔薇の園にて将来を誓い合った!

 それから十年!私は出会ってしまったのだ!

 そう……真実の愛!

 運命の恋人、愛しき乙女に!」


アルフレッド王子は胸を張り、マントを翻す。

翻しすぎて一回転したが、誰も突っ込まない。


「あぁ……アルフレッドさま……!」


白百合の乙女・シャルルが、涙を一滴だけ落とす。


「私が!シャルルがいけないのです……!

 たとえ、私とアルフレッド様は運命の愛であろうとも!

 貴方様には既に未来を誓い合った方、エリザ、えっと……エリザベート様がいた……!

 それなのに……私はあなた様への想いをとめることができませんでした。

 そう……すべては私が悪いのです……!

 私とアルフレッド様が出会わなければ……そうすれば、エリザベート様が嫉妬に狂い、その手を罪に染めることもなかった……!

 すべては私が悪いのです……」


(※なおエリザベスの具体的な罪状はまだ出ていない。)

(※更に、エリザベートでは無くエリザベスである)


「そのようなことはない……!」


アルフレッド王子、大袈裟な仕草で天を仰ぐ。


「わが愛しき白百合の乙女よ!

 すべては己の醜い心を律することのできなかったエリザベスの罪……!

 出会ったことが罪だと言うならば、私は神の裁きを受けても構いはしない!

 そなたと二人ならば、どのような苦難も責め苦も耐えてみせる!」


「アルフレッドさま……!」


「シャルル……!」


ここで通常なら、悪役令嬢は顔を歪めるのだろうか?

それとも、「キーッ!」と叫び、床に崩れ落ちる?


 いいえ、答えはNOオンリー。


「……お静かに」


エリザベスの放ったその一言で、空気が真空になった。


「「……え?」」


アルフレッド王子が瞬きをする。

シャルルの涙が途中で止まる。

貴族たちのざわめきがミュートされる。


「宝塚ごっこは、お済みで?」


エリザベスは微笑んでいた。

完璧な貴族令嬢スマイル。

だが……ドリルヘアーが、唸っている。


ギ……

ギギギギギ……


「な、何だ……あの音は……」


貴族の誰かが呟いた。


「長年……この日のために……」


エリザベスは、ゆっくりと両手を頭へ。


「え、まさか……」


一人の淑女が察する。


「鍛えてまいりましたの」


――ガシッ

エリザベスは自分のドリルを、自分で掴んだ。


「なッ!?」


アルフレッド王子、初めて素の声。


「悪役令嬢には……」


エリザベスは低く告げる。


「“最終形態”が必要ですもの」


――バリィィィン!!!


豪華絢爛・悪役レイ式☆縦ロール式ドリル、

完全パージ。


中から現れたのは……七色アフロ ☆


「「「「なにぃぃぃぃぃ!!??」」」」


壁の花ならぬ背景になっていた貴族全員、ハモって叫ぶ!


「ご紹介いたしますわ」


背景の叫びなど何のその。

エリザベスは優雅に腰を落とし、構える。


「これが我が一族に伝わる――」


ズン!チャッ!ズン!チャッ!

どこからともなく、ディスコの鼓動。


「秘奥義……

《伝説の宴会部長》ですわ!!!」


七色アフロが光を放つ!

回る!

跳ねる!

分身する!


「ま、待てエリザベス!

 これは婚約破棄の場だぞ!」


アルフレッド王子が後ずさり、シャルルの涙は乾いて頬は引きつる。


「ええ、存じておりますわ!」


エリザベス、キレのあるステップを披露しながら華麗に素敵なポーズで答える。


「ですから――」


ドン!!


まさに俗に言うジョ〇ョ立ちである。


「空気、殺した責任を取っていただきますの」

「え?」

「さぁ!」


エリザベス、指を鳴らす。


「泣くなら最後まで泣く!

 愛を語るなら最後まで語る!

 その上で――」


ドドン!!


「盛り上げてから帰りなさいな!!!」


いつの間にか、

貴族Aがタンバリン。

貴族Bがマラカス。

貴族Cが謎のステップ。


「アルフレッドさま……」


シャルルがわなわなと震える。


「……シャルル……」


アルフレッドは輝く王子様スマイラルも消えうせ、汗だくだくだ。


「これは……試練か……?」

「違いますわ」


エリザベスは満面の笑み。


「これは――現実ですの」


七色アフロが、天井のシャンデリアと共鳴からのフィーバータイム!



後世、人々は語る。



エリザベスの七色アフロが、ピカァッと一段階輝度を上げた瞬間!


ドォォォン!!


王城の天井を突き破らん勢いで、花火が自動発射された。


「なっ……!?」


アルフレッド王子が仰天する。


「仕様でしてよ!

 祭りに花火は付き物ですわ!」


エリザベスは涼しい顔でステップを刻み、華やかな羽扇を振り回し、華麗なダンスを披露する。


「《秘奥義☆宴会部長》は、発動者の感情の高まりを感知すると――」


ドン!パァン!ヒュルルルル……バァァン!!

赤!

青!

金!

ハート型!


「自動で祝いますの」


同時に――

ギュイィィィン……


天井から降りてきたのは、直径三メートルはあろうかという巨大なミラーボール。


キラキラキラキラキラキラ……


光が無差別に、容赦なく全員を照らしていく。


「ミ、ミラーボールまで!?」


貴族が叫ぶ。


「オートですわ」


エリザベスはウインクした。


「止まりませんの」


ズン・チャッ・ズン・チャッ!

テンポが一段上がる。

そのとき――最前列が、動いた。


「よっしゃあああ!!青春だぁぁぁ!!」


誰よりも先に飛び出したのは、

エリザベスの父――

悪役令嬢父こと宰相であった。


「ま、まさか宰相が!?」

「伝説のリンボー☆エドワード再びっ?!」


貴族たちがざわつく。


「娘よぉぉぉ!!

 父は信じておったぞぉぉぉ!!」


宰相、年齢を完全に忘却。

キレッキレのステップでスライディング。

腰が壊れそうだが、気にしない。


「あなた!私たちも行きますわよ!!」


国王妃が清楚なドレスを翻し、国王の手を引いた。


「えっ、わ、私はちょっと……!」


国王、抵抗。


「青春ですわ!!」

「うおおおおお!!」


しかし次の瞬間。

国王夫妻、最前列センター確保。


「若い者には負けんぞぉぉ!!」


国王、金髪を振り乱しながら無駄にハイキック。


「あなた、膝!」

「気にするな!!今は十七歳だ!!」


宰相と国王が、謎のシンクロダンスを始める。


「誰だ……

 あの二人に酒を出したのは……」


素面な誰かが呟く。


「私ですわ」


エリザベスは即答した。

後方では、

貴族令嬢たちがキャーキャー言いながら回転し、

騎士団が隊列を崩してヘドバン。


「アルフレッドさま……!」


シャルルが呆然とする。


「……シャルル……」


王子は完全に取り残されていた。


「これは……婚約破棄……だったはずでは……」

「ええ」


エリザベスは踊りながら言う。


「でしたわね」


クルッ。

指パッチン。

ドォォン!!

追加花火点火。


「ですが今は――」


ミラーボールが最大出力。

王城が銀河になる。


「宴ですの」


宰相が叫ぶ。


「娘よぉぉ!!最高だぁぁぁ!!」


国王妃が笑う。


「エリザベス、今度は社交界でもやりましょう!」


国王が親指を立てる。


「よい!非常によい!!」


――こうして。

婚約破棄の場は、

国を挙げた青春リバイバルフェスへと変貌した。


後日、歴史書にはこう記される。


この日、王城で起きた事件は婚約破棄ではない。


国家規模の宴会事故である。


そしてその中心にいたのは……


七色アフロの悪役令嬢


秘奥義☆宴会部長。



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褒め言葉を言わせて下さい。 これはひどいwwwwwwwwwwwwwwっうぇええええwwwwwwwwwwwwwww
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