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異世界ラーメン屋台戦記~俺じゃなくて屋台がチートスキル持ち!? 借金完済しないと俺が死ぬ!?~  作者: 夢野又座/ゆめのマタグラ
第1章 ラーメン屋台店主、異世界に立つ

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7.ヴァリアス平原の戦い・2日目

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 ヴァレン歴107年 春 早朝

 

 快晴、レティシア側へやや風あり


 オーヴェスト王国騎士団 100人、民兵 約900人(100人は負傷兵として不参加)


      VS


 魔王従属国 レティシア共和国・オーク&エルフ連合部隊 約5000人


 戦争見届人:魔法公国マジカルーナ代表、代理人「最上彦丸」


 勝利条件

・互いの本陣陥落

※7日目までに落とせなかった場合、双方引分けとする。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 

 山の向こうより日が昇り――その頂上に達した時、2日目の戦いが始まる。


 ジャーン! ジャーン! ジャーン!

 ブオオオオ、ブオオオオ!!


 昨日よりさらに数の不利を背負ってしまったオーヴェスト側。

 レティシア側は昨日の勝利で味を占めたのか、槍兵を前に出した全く同じ陣形。

 しかし、ここでオッサンの取った作戦は――。


「相手の出方に決して怯むな。我らには、王国の民1万の命が掛かっているのだ!!」

『おおー!!』


 盾を前面に出し密集する守り一辺倒の陣形。

 これはオーク兵も戸惑っていたが、すぐに前進の指示がでる。


 ブオオオオ!!


 しかし昨日、1度は蹴散らした相手。

 オーク兵達は、その自慢の腕力を使い、相手を蹂躙――できなかった。

 民兵による農作業で鍛えたどっしりとした構えは、この守りの陣形と上手く嚙み合ったのだろう。


 相手の猛攻を防ぎ、たまにエルフによる弓の援護も入るが――やはり崩せない。

 焦って槍を振るうが、徐々にオーク兵の動きに乱れが生じた。

 そこをオッサンは見逃さなかった。


「押せぇぇぇええ!!」


 ジャーンジャーンジャーン!!


『おおおおおお!!!』


 盾ごと相手を圧し潰すかの如く、前進した。

 しかも右翼と左翼はオーク兵を囲うように動く。

 結果として、オーク兵は森を背に全部隊が囲まれている形となる。


「決して深追いはするな!!」


 オーク兵は互いに身動きし難いほど密集してしまい、さらに盾兵の間より――騎士達が飛び出したのだ。

 剣を抜き、オークに乱戦を仕掛けたのだ。

 これによりエルフ達もオーク兵へ援護がやり難くなる。


「そうだ! 槍の間合いではなく、剣の間合いだ。恐れる事はない、お前らは勇敢だ!!」


 しかしエルフの思考能力は、俺とオッサンの想像を超えていた。


 ヒュンッ――ドスッ。


「ぐぅッ!?」

「そんな、矢が!?」


 この乱戦の中、オーヴェスト側に正確に射ってきたのだ――と、兵士の誰もが思っただろう。

 

「ブモッ!?」


 だが違った。

 なんとエルフは民兵もオーク兵も、巻き込んで一緒に攻撃し始めたのだ。

 これはオーク兵も混乱する。


「どういうつもりだ草喰い共ブヒィ!!」

「敵を倒しているのだ、問題あるまい――我らの邪魔をしているのはお前達の方だ、ブタ共が!」

「なんだとブヒィ!!」

 

 女神の耳(ネーミングにイラつくスキル名)を使用している俺には、しっかりとその言い争いが聞こえている。

 

「あーらら、仲間割れか」

「もしかして、このままお父様……オーヴェスト側が勝てるかな!」


 ウキウキしつつ、しっかりこの出来事も記録していくエリク。


「そう甘くはねーんじゃねーかな。森に入れば野戦の得意なエルフのフィールドだし、予備隊もあるんだ。まだまだレティシア側が優ってるだろ」

「そっか……」


 しゅん――とするエリク。

 レティシア側の予備隊は森の外で待機している。

 もし勢いのままオーヴェスト側が森へと入れば、予備隊の軍が一気に攻めてくるはずだ。


 ジャーーン、ジャーーン!!


「ここで撤退の合図か?」


 ドラの音と共に、盾兵を含めたすべての兵士が一旦森より離れる。

 これ以上の無差別攻撃による損耗を防ぎたかったのか、あるいは――。


「再び開けた場所に出れば、我らの矢の餌食よ。構え――撃てぇ!!」


 下がっていく兵士に向けて、容赦なくエルフは射撃攻撃を行う。

 しかし、今度はエルフが驚く番だった。


 ゴオオオ――ッ!!


 突然の突風が、矢の軌道をズラし、逸らせたのだ。


「なんだ、何が起こっておる!?」


 これに対し、オッサンは号令を掛ける。

 

「ここは我らが王国。地の利は、我らにある!!」


 オッサンの掛け声と共に、こちら側の弓による一斉攻撃。

 しかも追い風となったおかげで、森の方まで射撃が届くのだ。

 

「そうか。ヴェリアスの息吹だ!」

「なんだそれ」

「春頃になると、この平原には山から吹き下ろす突風が吹く事があるんだ」

「へぇー」


 まさに神風。

 さらにオーヴェスト側の後方から、大量の白い煙が噴き出して来たのだ。

 

「げほっ、ごほっ――」

「劣等のノーマンの奴ら、我らを燻すつもりか!?」

「ダメです隊長。この煙、獣を焼いているようです……」

「なんだと!? 退却だ。穢れた煙を吸うな! すぐに退却しろ!!」

「この草食い! 逃げんじゃねぇブヒィ!!」


 予備隊の存在を気にしてか、オッサンも追撃はしなかった。

 しかし2日目は、オーヴェスト側の大勝利に終わったのだ。


「良かったぁ……」

「確か勝利条件は7日目までに本陣を落とすこと、だったっけな。出来なければ双方そのまま撤退」

「このまま守ってれば勝てるって事?」

「まぁ負けは無いな。そもそも魔王軍側が攻める必要があっても、オッサン側に攻める理由はねぇ。今日みたいに守りに徹して、少しずつ削っていけば……って感じかな」

「でも凄いね彦丸。ラーメンだけでなくて、兵法まで詳しいのって」

「いや全然……まぁ昔、弟子入りしてた師匠が歴史とかそういうの好きで、その影響でちょっと勉強したりもしたけど……」


 ラーメンに関係は無いと思い、あんまり真面目にはやってない。


「こうやって外から見てたら分かるってだけだ。実際に用兵しろなんか言われたら、速攻で断るぞ」

「ふふ……」

 

 しかしこの様子だと、レティシア側の野営地は雰囲気最悪だろうな。


 そう思いながら、俺はラーメンの仕込みに掛かるのだった。

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