表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ラーメン屋台戦記~俺じゃなくて屋台がチートスキル持ち!? 借金完済しないと俺が死ぬ!?~  作者: 夢野又座/ゆめのマタグラ
第1章 ラーメン屋台店主、異世界に立つ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/12

10.師匠の言葉、俺のラーメン

 

 ホー、ホー。

 ブヒィ……ゴフッ。

 グゴゴゴ――スピ―。


 森の生き物の鳴き声に紛れて、うるさい寝息を立てて眠っているオーク兵達。

 エリクが野菜を持って帰ってくる頃には、あれだけ騒いでいた奴らは酔い潰れてしまった。

 

「前に話してくれたけどさー」

「なんだ?」


 エリクの背負ったカゴに入った色んな野菜を、厨房へ持って行くのに取り出し、選別していく。

 基本的に野菜そのものは、向こうの世界と共通するものが多いのは助かった。

 ……なんかこのニンジン、人の顔みてーのが付いてないか?

 

「彦丸って借金あるんでしょ?」

「そうだぞ。額は言わねぇ……言ったらエリクちびるからな」

「漏らさないよ! ……それでラーメンの値段って、もっと上げたりしないの?」

「値段?」

「こんなに美味しくって、他でも全然食べた事が無いんだよ? もっと値段上げて……少し作るだけで借金返せるくらいの値段にしても、王様や貴族の人に売り込めばいけるんじゃないの?」


 野菜を選別する手が少し止まる。

 

「……それはまぁ、考えた事はある」

「じゃあ――」

「俺はやらねぇぞ」

「なんで?」

 

 野菜を持った俺は吉備丸の正面に回る。

 

 そこで俺は、タッチパネルを操作する。

 色々切り替えて――ラーメンの価格を設定する項目で手が止まる。

 

 今は銀貨30枚、ジルバ戦貨10枚で登録されている。

 

 俺が吉備丸で1度でも調理した事があるラーメンなら、いくらでも出せる。

 ただし、使った材料は請求される仕組みだ。

 つまり収益報告の原価に当たる部分。どういう算出方法かは知らないが、俺のいつも出しているラーメンは銀貨2枚。しかし作ったラーメンの値段はこちらで決められる。

 例えば――今、エリクが言ったような原価が銀貨2枚のラーメンを金貨100枚で売る事はできる。

 ここの設定を弄ればすぐにでも――。


 だが俺はやらない。

 何故なら、俺が()()()()()からだ。

 

 例えば戦場で売る時にお祭り価格で値上げるのは、店主として納得できる。

 危険な戦場へラーメンを出来立てで提供するんだ。

 それ相応の金を貰わないと納得できない。


 昔、バイトで入っていたラーメン店での会話を思い出す。

 そうだ。

 俺が20kgの重り付けたベストを着せられて修行していた頃の話だ。

 

『彦丸よ。例えば砂漠でノドがカラカラで死にかけている富豪がいるとする。お前が持つ水筒に水がたっぷり入っている。お前はいくらで富豪に売る?』

『――100万円。死ぬよりはマシだろうよ』

『そうだな。だが、その富豪が生き残ると必ず周りにこう言うだろう。“あの子供が、ただの水を100万円でぼったくりやがった”と』

『はぁ? 死ななかったんだから、むしろ感謝して欲しーぜ!』

『お前は水筒と100万円を交換したんじゃない。お前の信頼を、()()()100万円で売り払ったのさ』

『……分かんねーよ、師匠』

『ラーメン屋は、お客との信頼関係が1番だ。お客はラーメン屋に、値段分()()()の美味いラーメンを期待する。だからラーメン屋はお客からの期待に、()()()答えなければならない』

『……』

『ラーメンはお客との心の絆だ。いずれ店を持てば分かるさ……』


 俺のラーメンは、決して安売りはしない。

 その上で、俺自身が納得できる形で最高のラーメンを作り上げる。

 お客には、自分から最大限の値段を出したくなる、そんなラーメンだ。


 だけどな。

 俺にはまだそんなラーメンはねぇから――。


「まぁ、色々理由があんだよ」

「えー」


 俺はタッチパネルで、あるメニューを呼び出した。

 

「よっし。エルフの奴らをギャフンと言わせてやるぞ、エリク!」

「う、うん。ギャフン?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ