そして……
――――
痛い、痛い!!
いったいなんだ。
手首が異様に痛い。
あれ?!
俺は生きていたのか?痛みを感じるということは
生きていたんだな?
うっすらと目を開ける。
白い。
視界が白くぼんやりしている。
じっと目を凝らす。
しかし、まだ目の前の霧は晴れない。
なんだここは。病院か?
俺は抑制帯を付けられているのか?
遠くから、複数の人間の声がする。
聞き取ろうとするが、早口で聞きとることが
出来ない。
が、日本語ではないことは確実だ。
ーーなぜ?
なぜ日本語じゃない?
ここは日本ではない?
すぐに俺は衝撃の事実を知ることとなる。
視界が少しずつ晴れたその時、俺は痛みのある自分の手首を見た。
!!!!!
なんということだ!!
俺の手首は、
毛がみっしり生えた獣の手首になっているのだ。
俺は何者?
ベッドに寝かせられていると思っていたが、そうではなかった。座らせられていた。
喚いた。とにかく喚いた。
喚いたら、俺の声はある獣の声だった!!
?!!
ハァハァ…ハァハァ…
いくつかの金属棒がある。それが目の前に、
はっきりあらわれてきた。
檻に入れられている?
反対方向を向こうと頭を捻ったが、うまく回らない。どうやら、頭あたりに何かを嵌められているようだ。わずかだが前後に頭を振って、ぶつかる物の感覚を確かめてみる。
木製のようだ。木枠?
なんなんだ?!
どうなっている!!
もう一度、冷静にあたりを見回すと、
今度は、人々の膝から下が見えた。
俺の周りをぐるりと取り囲んでいるようだ。
どうやら、真ん中に俺は居るらしい。
俺のこめかみを一筋の汗が伝う。
やがて、俺を囲んでいる人間たちの歓声が
聞こえた。
誰か来た。意気揚々と話す人の声。
なにかを説明している?
しんと静まり返ったあと、もう一度、歓声と拍手。
その後、俺の頭に少し衝撃が走った。
なにかで頭頂部を刈り取られているようだ。
なぜ?!なんのために!!
次に、おそらく傍らに置いてあるであろう道具らしき物の冷たい音が響く。金属音だ。
そして、なにか熱々にたぎっている液体の音も……
まさか!!!!
まさかこれは!!!!
ということは、これから俺は――