僕のおじいちゃん
どれどれ、今年は子供達は何が欲しいのかな?
空の上でサンタクロースはクリスマスプレゼントの準備をしていた。
何々、アイパッドが欲しい?プレステが欲しい?最近の子供達はハイカラだのう。
んっ?メンコとコマが欲しい?こりゃ又昔のおもちゃを欲しがる子供がおるとは。
サンタクロースはプレゼントの準備が終わると、そりに積んで出発した。
今夜はクリスマスイブ、サンタクロースが一番忙しい時期だ。
子供達にプレゼントを配り、そしてメンコとコマを希望した子供の家に行った。
窓からそっと入ると、小学生位の男の子がベッドに寝ていた。
サンタクロースは枕元にプレゼントを置き、
メリークリスマスと囁き、次の子供の家に向かった。
そして、翌朝サンタクロースはメンコとコマを置いて来た男の子が気になり、
空から男の子の様子を見ていた。
男の子は朝起きると、枕元のプレゼントを見て喜んだ。
そして、急いで着替えてプレゼントを抱えて外に飛び出したのだ。
男の子が向かった先は何とお墓だった。
男の子は一つのお墓の前に立つと、お墓に話し掛け始めた。
「おじいちゃん、メリークリスマス、僕が小さい頃は良くメンコやコマで遊んでくれたよね、でも、僕が小学生になってからテレビゲームばかりして、おじいちゃんと遊ばなくなっちゃったね、それどころか口も聞かなくなってごめんね。口を聞かないまま、おじいちゃんはお空に行っちゃったんだよね」
少年は後悔していたのだろう。
小さい頃はおじいちゃんと良く遊んでいたのに、テレビゲームをやり初めてから、おじいちゃんと遊ばなくなった事に。
そして、少年はメンコとコマをお墓にお供した。
少年がメンコとコマを希望したのは、おじいちゃんへのプレゼントだったのだ。
少年を空の上から見ていたサンタクロースが気配を感じて振り向くと、そこにはメンコとコマを抱えてニコニコしている老人が立っていた。
サンタクロースがメリークリスマスと言うと、老人はお辞儀をして消えて行った。
その夜少年は夢を見た。
空の上でおじいちゃんとサンタクロースがメンコやコマで遊んでいた夢だった。
メリークリスマス。