進化と指輪と紅のヒーロー
空が燃えている。ついさっきまで戦っていた彼は、
笑いながら生き絶えた。
俺は甘かったんだと思う。夢を追いかけて、こんな指輪に人生を預けて、今じゃ仲間に見捨てられて一人だ。
でも、俺はこの生き方しかできなかったんだ。
誰かを救うことしかできないんだ。
仲間に見捨てられてから、人生に戻ろうとしたが、無理だった。俺には何も才能なんてなくて、ある日突然指輪を与えられて、テンションに任せて色んな人を救って、
くだらない理由で初めて、色んな人を巻き込んで、嫌われてここにいる。
床が崩れていく。
俺は薬指の指輪を外して変身を解く。
ああ、懐かしい。久々に空を見た。空はこんなにも美しかったのか。
…ああ、こんなことになるならば、あのときやめておけばよかったな。
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「はぁ…はぁ…」
息が切れる。体から汗がドバドバ出ている。厳しい筋トレの後、俺はふらふらと歩く。腕には筋肉が張り、息は荒く、額には汗がにじんでいる。家の中に響く重い足音にも、俺は意気揚々としていた。
俺はよろけながらキッチンに向かい、テーブルに置いてあるアレを取り出し、「ん…ん…ぶっはあああ!!!」と叫びながら一気に飲み干した。
「やっぱりいいなぁ!筋トレってやつは!」と口から溢れる満足感を表現する。ベンチプレス・スクワット・デッドリフトをした後のプロテインは最高だと心から思う。
しかし、その時、時計を見て目が点になる。「…ってもうこんな時間かよ!」
7時…このままだと学校に間に合わない!
「荷物持ってランニング行こ!」と、制服を着て行くか悩んだが、
(いや!そんなことしたら汗臭くて女子に嫌われてしまう!)
と考え直し、バックに詰めることに決めた。
「行ってきまーす!」と元気よく挨拶し、「いってらっしゃーい」と母親の声が聞こえる。
今日も洗顔ちゃんとやったし、シャワーも浴びた!制汗剤も持ったし!努力をし続けるぞ!
考えながら学校に向かうことを心に誓う。このまま頑張り続ければ、きっと良いことがあるはずだ。
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街を歩く、今私がいる街の中心からその端まで続いている広大な一本道の公園には、いつも賑わっている。学生たちがさぼって話し込んでいたり、買い物帰りの主婦たちが楽しげに雑談を交わしていたり、バンドマンが情熱を込めてギターを弾いていたりする。
時刻は午前8時。そろそろこの公園には、登校中の学生たちがちらほら見えるころになるだろう。
水曜日。月曜日の憂鬱が抜けて、ようやく慣れてきた頃、人々が警戒心を解いたときに、彼らは現れる。
「と言っても、あまり関係ないんだけどね」と私は呟く。
実際に、水曜日に彼らが現れる確率は少し増えるだけで、さほど影響はない。
しかも、この事件は市民達にはほとんど知られていない。特別な力を持つ「進化の指輪」を指にはめている人間でなければ、彼らの存在すら認識できないのだ。
「暇...」と思わずため息をついてしまう、
公園のベンチに座り。適当に公園全体を眺めながら、自分の使命について考える。目の前では、いつもいた3人の5歳くらいの子供たちが楽しそうに遊んでいる。この子たちは、一週間前まで4人だったのに、それに気づかずに遊んでいる。
(あいつを早く見つけないと、あいつの思い通りになる前に、早く殺さないと)
すると、目の前に大きな透明なドームのようなものが現れた。
「来たか」と思わず呟く。
方角は町のはずれ、川沿いの方だ。
「仕事の時間だ」
私は立ち上がり、自分の使命に身を投じるために、公園を後にした。
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息切れが続く中、川沿いの道を走る。
川沿いには晴れた日には爽やかな風が吹いている。10km走るのはきついが、川沿いだから気分は爽やかだ。しかし、学校にスマホを持って行けないため、時間を確認できないのが焦りに変わっていく。
「いや!走る!俺は全力で走るんだ!」
俺は自分を鼓舞し、小さい声で叫んだ。このトレーニングだけは毎日続けるんだ。そうすれば、俺の願いも叶うかもしれない。
すると突然、「そこの方」と後ろから声がかけられる。
俺は少し驚いたが、声のした方に振り返る。
「はい!なんでしょおあおおお!?」
俺は思わず叫んでしまった。声の主はおじいさんだったのだが、おじいさんの体はほぼ全部地面に埋もれていた。
「助けてくれませんか、足が埋もれてしまって」
「いや!足どころじゃないですよ!ちょ...うおおおおおおお!!!!!」
俺は近くにあったスコップで老人を掘り出し始めた。
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「ぜえ...はぁ...はぁ...」
結局掘り出すのに結構時間かかってしまった...これは遅刻確定だな...
「ありがとう若者よ、何か礼をしたい。何か願いはないかい?」
「いや...願いを叶えてもらうために手助けしたわけじゃないので...」
「謙虚じゃのぉ」
そんなこと言う前に貴方埋まってたんですから何処かに座って休んでください...」
もうこうなったらとことん付き合ってやる...
近くのベンチに老人を座らせる。老人は俺を見つめている。まさかこんな形で人助けをすることになるとは思ってもみなかった。
俺は携帯で救急車を呼ぼうとするが、
「君は、本当に願いがないのかい?」と老人に話しかけられ、一旦手を止めた。
その言葉に、俺は改めて自分の願いについて考える。
俺の願いは他人にとってはくだらない願いだ。だが俺自身が叶えたいと思う願い、俺が真剣になれる願い、そんな願いを他人に聞いてもらうものでもないし、ましてや叶えてもらうものじゃない。だからこそ、俺はこうやって筋トレを続けて、清潔感も保っている。
「...そうか、立派じゃな。じゃがの、君の願いはこのままだと叶わないよ」
その言葉を聞き、少し心がモヤっとする。でも、おじいさんの言葉には説得力がある気がする。
そう考えていると、おじいさんは俺に手を伸ばす。
「ちょっと、おじいさ、ん!?」
え!?この人いきなり手触ってきたんだけど!?こわ!!?
「これは、私からのお礼、君の願いを叶えるための切符じゃ」
「...ん?これって」
俺は自分の左手の中指を見る。そこには、指輪がはめられていた。ただ、奇妙なデザインをしている。一番奇妙なのは宝石がはまっているであろう所に、宝石がはまってない所だ、というかこんなに高価そうなもの貰っても困る...
「時が来たら、君の願いを言葉にして唱えておくれ、そうしたら、君の願いを叶えるための物が手に入る」
老人の言葉には、深い真実が隠されている気がする。不安と興味が入り混じった感情が俺の胸をつかんで離さない。
「どういうことです...ってなんだ!?」
近くで爆発が起きる。顔をあげると、少し離れた橋で爆発が起きていた。橋の上には、黒煙が立ち上っているのが見える。
「やばい!おじいさんここから離れ...て...」
俺がおじいさんの所に視線を戻すと、もうお爺さんはいなくなっていた。彼の姿はどこにも見えず、ただ、ベンチに残されたステッキが目に入る。
「...おじいさんまさかあそこまで行っちゃったのか!?まずい!」
俺は近くに置いておいたスコップを持ち、おじいさんが行ったかもしれない爆発した橋の方へと向かった。焦りと不安が俺の足を速める。また爆発したら、おじいさんがあの爆発に巻き込まれたらただでは済まない。
「くっそ!早くいかないと!」
そんな考えが俺の心をよぎり、おじいさんの無事を願って、必死に端の方へと向かった。
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大きな透明なドームの方へと向かい、私は大きな橋にたどり着いた。
橋を大きなドームが囲っている。その真ん中には、化け物が立っていた。 全身が黒く、人間の3倍ほどの大きさのガタイがいい化物、橋の上にいる市民は、その化物から逃げている。
「でも、このドームの中からは出られていない感じか」
このドームの中は現実から乖離されている。ドームの中に入ることはできるが、出ることはできない。
「そんなこと考えてる暇ないわよね」
私は左腕の甲を太陽の方へと掲げる。その瞬間、左手人差し指に指輪が出現し、そして指輪の宝石が光り輝く。輝きがやむと指輪の宝石は消え、右手に日本刀が出現した。
『貴様の能力はそれか』
化物が動かずこちらに話しかけてくる。こいつ、意識があったのか。
「ええ、私が憧れたのは侍、それが何」
『いや、おなごなのに渋いと思ってな』
「そういうあなたは何に憧れたのよ、今の所黒い化け物にしか見えないんだけど」
会話をしながら自分の体の状態を確認する。よし、ちゃんと鎧も装着している。これなら戦える。
『貴様には理解できないだろう。この姿は私にとって憧れであり、神聖なる戦いをするための姿だ』
「なるほど、それがあなたにとっての理想の姿なのね、イカれてるわ」
私は刀を構える。このタイプはやりやすい、自分に枷をかけるタイプだ。時代錯誤な正々堂々の勝負をしたいと本気で思っている。その姿を手に入れたならば、正々堂々などとは言えないというのに。
『好きに言うがいい。私はただ、正々堂々勝負がしたかっただけだ』
「そう、ならやってあげるわよ!!」
私は、日本刀をしっかりと握り、勢いよく化物に向かって突進した。足音を立てず、素早く橋の上を駆け抜ける。化物もまた、私に向かって動き出す。その動きは大きく、重々しいものだが、意外にも速かった。
化物の腕が私に向かって振り下ろされる。私は素早く身をかわし、その隙をついて切り込む。しかし、化物は傷をつける前に、もう一方の腕で私を弾き飛ばした。
「くっ...!」
私は橋の欄干に背中を打ち付け、苦痛を感じる。だが、すぐに立ち上がり、再び化物に向かった。
次の一撃は、化物の足に狙いを定める。化物は私の動きを察知し、足を引き上げたが、私は空中に跳び、その膝に刃を叩き込んだ。
『やるな』
化物は私を橋から突き飛ばそうとした。しかし、私は逆にその勢いを利用し、空中で回転しながら再度化物に襲いかかる。
今度は、私の日本刀が化物の首に食い込む。血しぶきが飛び散る。私は押し出されるまでそのままの勢いで切り込み続けた。
「もう終わりよ!」
私は地面に着地し、一息つく。化物は傷だらけで、立っているのもやっとの様子だった。それでも、化物はなお戦おうとする姿勢を崩さなかった。
『素晴らしい!!素晴らしいぞ!!だが!負けるわけにはいかん!』
最後の力を振り絞って、化物は私に襲い掛かる。だが、その動きは鈍く、私は容易にそれをかわし、化物の胸に日本刀を突き立てた。
「これで終わりね」
しかし、その瞬間、化物の体から黒い煙が立ち上ってくる。私は急いで立ち上がり、警戒する。煙が次第に濃くなり、形を変え始める。
「なにこれ…!」
煙が晴れると、そこには先ほどの化物よりもさらに巨大で恐ろしい姿の怪物が立っていた。怪物は私を見下ろし、その口から轟音を上げた。
『すばらしい!素晴らしいぞ!この姿になるほど追い込まれるとは!』
怪物は私に向かって突進してくる。私は慌てて日本刀を構え、その攻撃を受け止めようとするが、怪物の力は圧倒的で、私は吹き飛ばされる。
「くっ…!」
私は何度も打ち付けられ、橋の欄干に激突する。怪物は追撃を繰り出し、私はかろうじて避けることができた。
「このままじゃ…」
私は必死で考える。怪物は強大な力を持っているが、その力を利用することができれば、勝機はあるはずだ。
次の一撃を怪物が振り下ろす瞬間、私は怪物の腕に飛び乗り、その勢いで体を滑らせて怪物の背後へと回り込んだ。
「これで最後!」
私は怪物の背後から日本刀を振り上げ、一気にその首を切りつける。しかし、怪物は激痛に苦しむどころか、逆に私を捉える。
「くっ…!」
私の腕が怪物の手に掴まれ、日本刀が地面に落ちる。怪物はにっこりと笑い、私を空中に持ち上げる。
『貴様は素晴らしい力を持っているな!だが、お前の弱点は慢心しやすい所だ!』
怪物の力は圧倒的で、私はどうすることもできない。橋の上にいる市民たちは恐怖に震えていた。私は、自分が敗北を認めざるを得ない状況にあることを理解する。
「いやだ...まだ、あいつを殺せていない…」
怪物は私を強く握り、痛みが全身を貫く。
死ぬ...死ぬ?嫌だ、嫌だ、殺す、殺す殺す殺す!!
「おい、何してんだ」
その瞬間、遠くで聞こえるかすかな声があった。
怪物が後ろを振り向く、私も力を振り絞り声のした方を向いた。
そこには、スコップを持った高校生くらいの少年が立っていた。
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俺は黒い煙が立ち上る橋にたどり着いた。その場には、全身真っ黒で巨大な怪物と、彼に握り潰されそうになっている赤い鎧を着た女性がいた。
周囲には多くの人々がいたが、驚いて慌ただしく逃げる様子だった。この状況から推測するに、もしかしてテレビドラマの撮影だろうか?
しかし、どこにもカメラは見当たらない。あるいは、今流行りのYouTuberが撮影しているのかもしれない。それにしても、黒い煙を上げるのは迷惑だ。
「黒い煙を上げるのはさすがに迷惑ですよ」
怪物は俺の言葉に驚いたように動きを止め、俺を見つめた。ところで、おじいさんはどこだろう?あのおじいさんが何か知っていたのかもしれない。というか、あのおじいさんが仕掛け人だったのか?こんな不思議な指輪を渡してくるくらいだし、考えられる。
『貴様!神聖な戦いを邪魔したな!』
怪物は女性を放り投げ、私の方へ怒りに満ちた瞳で突進してきた。
これ俺も撮影に参加してるのか?いやこんな迷惑な撮影に巻き込まれるのは嫌だな。
「馬鹿!危ない!!」
俺は、手の前まで来た化物に殴られ、吹き飛ばされる。
「...え?」
俺の体は化け物から遠ざかっていく。少しの浮遊感を感じた後、地面に叩きつけられ、背中に激痛が走った。
「がはっ...げぼ...」
全身が痛い。気持ちが悪い、動けない。
本物なのか...こんなことありえるのか...
『殺す!神聖な戦いを汚した罪!死を持って償え!』
ああ、俺は死ぬのか、嫌だな...
化物が近づいてくる。
短い人生だった。俺は何も成し遂げられなかった。
視界がぼやけていく。薄れゆく意識の中でおじいさんに貰った指輪が映る。
【...そうか、立派じゃな。じゃがの、君の願いはこのままだと叶わないよ】
俺の...俺の願い...
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「お前まだヒーローものなんて見てるのか!?」
中学校で友達と話していると、いつもクラスの中心にいるやつが話しかけてきた。
「ありえねぇ!中学校でそんなものを見てるなんてよ!」
「いや、でも面白いんだよ?ヒーローが怪人を倒すときとか痺れるでしょ!?」
「お前が見てるやつ5人で1人と戦うやつもあるじゃねぇか!いじめだろいじめ!!」
それにつられて他の人も笑う。いやどの口が言ってんだ。
「でも1対1のヒーローも見てるよ!!ヒロインの為に一生懸命戦って!ボロボロになっても戦うんだよ!」
「ヒロインってwお前モテないのによう言ったな!」
「俺だって!いつか命をかけられるくらい大切な人を見つけるもん!」
「お前には無理だよ!ハハハ!!!」
笑い声が聞こえる。正直こいつには感謝している。こいつが馬鹿にしてくれたから、俺は努力し始めることができた。それでも...それでも...
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「ヒロインの為に戦うことがそんなにダメなのかよぉぉぉぉぉぉ!!!」
俺は気合いで立ち上がる。怪物は俺の大声に驚いて、呆然としている。
俺は指輪を見る。指輪は美しく、まるで指輪自体が宝石かのように白く美しく光り輝いていた。
【時が来たら、君の願いを言葉にして唱えておくれ、そうしたら、君の願いを叶えるための物が手に入る】
...ヒーローはいつだって、かっこよく宣言するものだ。
「俺の願いは!!誰よりも強く!!たった一人の大事な自分にとってのヒロインを見つけて!!その人のために命をかけられるヒーローになることだ!!」
指輪の光がましていく。やがて、指輪の光は周囲を包み込む。
「そのために力を貸せ!!」
光が消える。俺は目を開け、左手の指輪を見る。宝石が入ってなかったはずの場所には、四角く美しい赤いルビーの宝石がはまっていた。
「...よし!!」
俺は指輪を太陽に向ける。その瞬間、俺の体は光に包まれた。俺は反射的に目をつぶる。
『貴様...貴様も進化の指輪を持っているのか!!!』
光がどんどんと強まる。やがて、その光はまた周りを包み込んだ。
「うぅ...おっ、おお!!おおおおお!!!!」
俺が目を開けると、全身が赤いスーツを着ていた。白いマントを羽織り、顔面はヘルメットで守られている。そうだこれが!!これこそがヒーロースーツだ!!!
「紅の英雄参上!!!!」
『何が参上だ!偽ヒーロー!!』
怪物が再び突進してくる。だが、さっきまで見えてなかった怪物の動きが見えるようになっている!
「よし!」
俺は怪物の突進に合わせて、横へ素早く身をかわし、右拳を怪物の顔面に叩き込んだ。怪物は強烈な一撃を受け、怪物は後ろへ倒れた。
「はっ!これでどうだ!」
赤い鎧の女性が驚く中、俺は怪物に再び飛びかかり、連続でパンチとキックを繰り出す。
『貴様!何なんだ!!なぜそんなくだらない願いなのに!そこまで強い力を出せる!!』
「お前にとってはくだらなくても!!俺にとっては人生をかけられるくらい大事な願いなんだ!!」
怪物は苦しみながらも、俺に対抗するため力を振り絞る。俺は、拳を握り、ポーズをとる。
「くらえ...必殺技」
俺は全力で怪物に向かって突進し、拳に力を込めた。その瞬間、拳から炎が燃え上がり始めた。
「ヒーローパンチ!」
炎の拳を怪物に叩き込む。怪物は炎に包まれ、悲鳴を上げながら吹き飛んだ。その後、怪物は爆発し、怪物の姿は消えていた。
「はぁ...はぁ...やった...やったぞ!そうだ!女の子は!?」
俺は赤い鎧の女性へと近こうとする。だが、女性は刀を持ち、俺の方へと向けた。
「動かないで...貴方...それをどこで手に入れたの?」
「待ってくれ!それよりも早く怪我を直さないと!それに周りにいる人たちにも話を...あれ?」
怪物から逃げていたはずの人たちは、いつの間にかいなくなっていた。
「当たり前よ...現実が改変されたんだわ...あの人たちは最初からいなかったことになった...げぼ...うぅ...」
「ちょ!」
やばい!倒れてしまった!どうする!?このスーツを着ている状態では救急車も呼べないし...っていうか!この格好どう説明すれば!!!ってあれ...
彼女の左手が輝き始めた。彼女の左手に目をやると、彼女の人差し指には青色の指輪をしていて、その宝石が輝いている。というか俺の指輪も輝いて...ってうお!!
また光が!!
「...あれ?」
俺が目を開けると、俺の姿は元の格好に戻っていた。彼女がいたほうに目をやると、赤い鎧と刀が消え、服装が制服に変わっていた。
「...とりあえず!救急車だ!」
そうして、俺の運命の旅が始まった、支え合い、未来に向かって進む物語が。これは、愚かな俺の、勇敢で感動的で、絶望的な冒険譚だ。
色々書いてみたんですけど、あるヒーローものに似てしまったので読み切りです。
好評なら続きかきます