表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼ちゃんのあべこべ転移奇譚  作者: 後ろ向きミーさん
12/47

図書館にて

なかなか転移に関する事柄が表にでてこない。

条件として霧は全く関係ないのだろうか?

うーん探す本のアプロ―チを変えてみるか?


遠い目をしてなにやら思案されている。

目的があって、文献をお探しのようだが、多数の複雑な古代語を読み解けるとは、賢者の名は伊達では無いという事か。

めぼしい本を見繕い席へ戻ろうとする途中、すん、と鼻を嗅いで怪訝な表情を浮かべ立ち止まる。


「夜空様、どうなされました?」


「ううーん?」また匂いを嗅いでいる様な仕草だ。


やおら、床に近い棚の奥から埋もれた本をつかみ出すと、私やヒガに持たせる事はせず、夜空様自らが司書の元まで運ぶ。


「この本は、毒がしみ込ませてあります。毒自体は古い物なので、効力は切れているようですが、念の為しかるべき処理をお願いします。」


司書達がぎょっと、本を受け取ろうと伸ばした手を、思わず引っ込めた。

これには、私とヒガも蒼白になる、何の為の護衛騎士か。


「危ない事やめて夜空様。俺ら護衛だから。」


さすがのヒガも真面目な表情だ。


「そっか、二人に言えばよかったのか。ごめんなさい。」


大昔、特定の人物を狙った物だったのかもね?と夜空様。

獣人たる私やヒガが気づかないほどの、微量な毒の匂いを感じとるなど、これも『黒』様の明かされていない能力の一つなのだろうか?

匂い?まさか、悪意の残滓を感じておられるのか?

あぁ、今日も魔導士どもが五月蠅いだろうな。


今日は、気が削がれたのか、いつもよりずいぶんと早い時間に読書を切り上げられた。


「今日は、お二人と一緒に食べようと思って、軽食を作ってきたんです。どこか木陰のある良い場所を教えて下さい。」


なんと、夜空様のお作りになった軽食を振る舞っていただけるとは。

しかし、これはまずいな。

この事が団長達や他の騎士共に知られたら、盛大に拗ねられそうだ、どうする・・。


「ふふん。俺にまかせなって。とっておきの場所あるから。」


こういう時のヒガは頼りになる。おそらくサボりで使われる場所なのだろう。


ヒガに連れられた場所には驚いた。

まさかこの様な所にあるとは。いつも何処に消えているのかと思えば・・。

夜空様が「いいですね。秘密基地みたいです。」と目を輝かせて喜んでいるので、仕方ないこの件は不問としよう。



最近、向こうの食べ物を再現するべく、思いつくまま試行錯誤している。

出来はまだまだの天然酵母パンや、果物のジャム、ベーコンにローストビーフ、もちろん定番のマヨネーズも。

ピーナッツに似たロロの実で作ってみたピーナツバターもどきは、甘い物好きのロベリアに好評だ。

今日は、パンに切込みを入れて、具を挟んだ簡単な総菜パンをつくってきた。

マヨネーズを使った卵たっぷりのタルタル、ローストビーフもどき、ジャムの3種類の他、付け合わせに塩の効いた皮付きフライドポテト。

ジャンクなものは、やっぱり無性に食べたくなるものだ。


山でお茶っぽい木をみつけたので、緑茶もつくってみた。

思ったよりいい出来でうれしい、今度紅茶やウーロン茶にしてみよう。

パンには合わないかもしれないが、色がきれいなので緑茶をいれてきた。

ふふふん、収納魔法さいこー。


二人とも体力勝負の騎士さんだから、多めに作ってきたけど足りるかな?


「この二つはオカズが挟んである食事パンで、こちらは甘く似た果実が挟んであるお菓子の様なパンです。お好みでどうぞ。」


「「いただきます。」」


ヒガさんはやっぱりローストビーフからいったね。

シキさんは、甘い物からだね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ