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第2章 25 彩花殺害の犯人

「はい、読ませて頂きます…」


早速PC画面に目を向けた。それは15年前の記事だった。

記事によると、彩花は6月9日に殺された。

しかも、殺害相手は…。


「え…?そ、そんな…っ!」



『椎名正雄 30歳』


「だ、誰だ…?椎名正雄って…?」


知らない、こんな男…初めてだ。ひょっとして、あの時彩花と一緒にいた男が…椎名って男だったのか…?


記事によると、彩花は2年前に入社してきた椎名正雄と言う人物と2ヶ月前から不倫関係にあったと書かれていた。彩花の方から別れたいと申し出たところ、激怒した椎名が彩花の首を絞めて殺害。

それが6月9日だったのだ。


「そ、そんな…。彩花は…俺と関わらなかったのに……別の奴に殺されていたなんて…」


全身から血の気が引くのを感じた。

そんな俺に教授が沈痛な面持ちで声を掛けてきた。


「…どうやら、南彩花さんは…必ず15年前の6月9日に死ぬ運命にあるのかもしれんな…」


その言葉に耳を疑う。


「そんな…彩花が死ぬ運命なんて…そんな運命なんか俺は信じませんっ!運命は…自分の手で切り開くものなんだっ!」


気づけば叫んでいた。


「上野…」


教授が青ざめた顔で俺を見ている。


「そうだ…。俺は必ず彩花を助けるって決めたんだ…。15年前の6月9日に必ず死ぬ?そんなくだらない運命なんかねじ伏せてやるっ!今から事件が起きる直前に戻れば…っ!」


椅子から勢いよく立ち上がった。

すると慌てた様子で教授が駆け寄ってきた。


「落ち着けっ!今から事件の起きる直前に向かっても恐らく防げないっ!今回は諦めろっ!」


「離して下さいっ!俺は彩花を助けに…っ!」


次の瞬間―


バシッ!


右頬に鋭い痛みが走った。


「え…?」


叩かれたのか…?


そう思った次の瞬間、教授に襟首を掴まれた。


「落ち着けっ!上野っ!お前がさっき戻った過去は…もう改変できないっ!別の時間に遡って助けに行くしか方法はないんだっ!お前は…失敗したんだよ!」


「失敗…」


教授の言葉に体中の力が抜けていく。


「ああ、そうだ…取り敢えず、落ちつくんだ…」


「はい…」


教授に促され…返事をした―。




****



「取り敢えず、俺はこれから講義があるから教室に行かなければならない。お前はその間、南彩花が殺害されるに至る背景を調べるんだ」


教授が講義に向かう準備をしながら声を掛けてきた。


「はい、分かりました」


「よし、それでは私はそろそろ行くが…」


教授は立ち上がると俺を見た。


「上野、くれぐれもやけを起こして勝手に過去へ戻ったりするなよ?分かったな?」


「はい、分かっていますよ」


苦笑しながら返事をした。


「ならいい」


教授はそれだけ告げると、部屋を出ていった。


バタン…


扉が閉じられ、研究室は俺1人になった。


「ふぅ…」


まず、気を落ち着かせる為に深呼吸する。


「よし、それじゃ…15年前の記録を調べてみるか…」


俺は早速PCに向かい…キーを叩き始めた―。



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