第1章 18 今夜はカレーパーティー
今、たっくんと拓也さんは私の部屋のアパートで2人で向かい合わせに座って何やら楽し気に会話をしている。
私は料理をしながらチラリと様子を伺った。
「ふ~ん…あの2人って確か今日初めてあったばかりなのに、もうあんなに親しいんだ…」
よし、それじゃ料理に集中しよう。今夜はカレーでいいかな?
一応2人に聞いてることにした。
「ねぇ~今夜はカレーでいいかなぁ?」
すると…。
「「うん、いいよ~」」
何と、2人共同時に返事をした。
「うわ~、すごい。ハモったね。2人共息ピッタリじゃない」
「それは当然だよ。だって俺達は…」
すると拓也さんが何か言いかけ…途中でやめた。
「え?俺達はって…何?」
「うん、僕も知りたい」
すると拓也さんは言った。
「俺達は男同士だから気が合うって言いたかったのさ」
「ふ~ん…」
何だか疑わしい発言だけども…私は左程気にしないことした。
「たっくんは甘口がいいのかな?」
私は中辛派で、中辛用のカレールーしかないけど、たっくんにはお砂糖を足してあげればいいかな…。
「僕は家で中辛を食べてるよ?」
「えっ?!たっくん…。まだ10歳なのに中辛を食べてるの?」
「うん!」
「だって中辛って美味いもんな~卓也?」
拓也さんはたっくんの頭をグシャグシャと撫でながら笑みを浮かべた。
「それじゃ、拓也さんも中辛でいいって事だよね?」
「ああ、そうだよ」
「それじゃ30分位で出来ると思うから待っててね」
「「うん」」
またもや2人は同時に返事をした。フフ…本当に気が合う2人だな。そう言えば何となく2人は顔が似ている気もする。たっくんが大人になった姿は拓也さんみたいになるのかな?
そう思いながら、私は野菜を次々と切っていった―。
「よし、準備完了」
高圧鍋で炒めた具材に水を入れてガスの火をつけた。この鍋ならあっという間に煮込み料理が出来るからOLで1人暮らしの私はとてもお世話になっている。何しろ料理を時短して作れてしまうのだから。
その間にキュウリをスライスして、レタスを洗ってちぎり、お皿に盛りつけた。
するとタイミングよく高圧鍋がシュッシュッと蒸気を上げて、振り子がクルクルと回り始めた。そこですかさず火を止めて、後は空気圧が抜けてピンが下がるのを待つだけ。
いつもならピンが下がるまで自然放置しておくけども今日は時間が惜しいので、鍋を流しに移動させる水を上からかけると、自然に高圧鍋のピンが下がった。これでようやく鍋の蓋を開ける事が出来る。
その後は火にかけてアクを取り除き、カレールーを割り入れて…最初に予告した通り、30分でカレーが完成した。
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「はい、2人ともお待たせ~」
アツアツのカレーライスをお盆に乗せて2人の元へ運ぶと、歓声が上がった。
「うわ~い!おいしそう!」
「ああ、本当に美味しそうだ」
「フフ…それじゃ早速皆で食べよう?」
「「「いただきます!」」」
そして3人で楽しい夕食がはじまった―。




