第2章 93 4度目で叶った願い
『拓哉さん…好き…』
その言葉をどれほど待ち望んでいたことだろう。例えお酒のせいで彩花の口から出てきた台詞だったとしても、それでも嬉しかった。
「ありがとう、嬉しいよ」
そして強く彩花を抱きしめながら尋ねた。
「彩花……俺の、恋人になって貰えないか…?」
すると彩花が小さく頷いた。
「うん…恋人に…して?」
「彩花……」
抱きしめていた腕を緩めてると、彩花の顎にそっと触れた。
「拓也さん…」
彩花の顔は真っ赤になっている。
「好きだ…彩花…」
顔を近づけていくと、真っ赤になりながら彩花は目を閉じた。
俺はその態度から彩花は受け入れてくれているのだと、都合よく解釈することにした。
そのまま俺は彩花の唇に自分の唇を重ねた。
彩花の唇は緊張しているのか震えている。その震えを止める為…さらに強く唇を押し付けたまま抱き上げた。
そして俺の首に腕を回してくる彩花。
そのままベッドに運び、キスをしたまま彩花をベッドに寝かせたところで唇を離した。
彩花の顔は真っ赤に染まっている。
「彩花……抱いてもいいか…?」
気づけば大胆なことを尋ねていた。けれど、ここでもし拒絶されればそのまま彩花に触れること無く、寝かせてあげようと思っていた。
そうだ…。
互いの「好き」と言う気持ちが通じただけでも……十分だ。
けれど、彩花から出た台詞は耳を疑うものだった。
「う、うん…」
真っ赤な顔で頷く彩花。
「え…?ほ、本当に…いいのか……?」
「うん…。拓也さんが、いいの…。私の初めての人は…」
ベッドに横たわった彩花は耳まで真っ赤になっていた。彩花の許可は貰った。
だったら…もう躊躇う必要など無い。
「彩花…好きだ…」
俺は彩花に覆いかぶさるとキスをし……部屋の電気をリモコンで切った――。
****
月明かりに青白く浮かびだされた彩花の身体は…とても綺麗だった。
彩花の肌にキスをしながら耳元で愛を囁く。
そして彩花は真っ赤な顔で必死になって俺にすがりつき……甘い声ですすり鳴く声が時折、鼓膜を震わせる。
俺に初めてを捧げてくれる彩花が愛しくてたまらなかった。
彩花と恋人同士になれることを願っていたけれども、こんな風に身体の関係を持てるなんて、まるで夢のようだった。
夢ならどうか覚めないで欲しい…。
そのことを切に願いつつ、この夜俺は何度も彩花を抱いた。
多分、彩花は酔などとっく冷めていただろう。
いや…最初から酔ってなどいなかったのかもしれない。
何故なら俺を初めて受け入れてくれた時、彩花は苦痛の為に小さな悲鳴をあげて目に涙を浮かべたからだ。
本当に酔っていたなら、そんな反応は示さないだろう
痛みに耐えながらも俺を受けいれてくれる彩花。
そのことが何よりも感動だった。
彩花……愛してる。
15年前からずっとずっと…。
こうして4度目のタイムトラベルで、俺は初めて彩花と結ばれた――。




