生半可な婦女子には真似できない逢引き-1
うじうじ続きを考えているとまた間が空きそうなので、とりあえず投稿させてください。
お見合いから数日後。まだ夏季休暇中の芳麿が研究資料を整理していると、鷹司耀子から電話が来ているとの知らせが侍女から来た。
「耀子さんから?」
「そんなに重大な用事ではないものの、悠長に手紙をやり取りできる案件でもないとのことです」
「どういう用件なんだろう……わかった、出るよ」
一体どんな用事なんだろうと思いながら芳麿は電話に出る。
「もしもし芳麿です」
「鷹司です。お世話になります……用件というのはですね、野鳥が集まりやすい場所を教えていただきたくてですね」
「野鳥……ですか?」
「はい。実はですね、鳥の糞の白い部分って尿酸、つまり酸じゃないですか。あれ塗装とか鉄板とか大丈夫なのかなって思ったので、実際に試してみたくて……」
実際のところ、現代ですら、車体に降ってきた鳥糞をふき取ったら、一緒に塗膜が取れてしまったという書き込みがカーマニア用のSNSに書き込まれることがある。耀子が芳麿にわざわざ電話をした目的の1つは、「鳥糞耐久試験」ができそうな場所を教えてもらうということであった。
「成程、事情は分かりました。いくらかよさそうな場所がありますので、お連れしましょう」
「ありがとうございます!」
「ですが……1つ良いですか?その、お言葉ですが、そういうことは信輔様に聞いた方がよかったのでは」
芳麿の言う通り、この手の話ならこの間知り合ったばかりの芳麿より、兄の信輔に聞いた方が手っ取り早いだろうし、より多くの試験場所を教えてもらえたかもしれない。だが、耀子にとっては、芳麿でなければだめな理由がある。
「……その、芳麿様と、デート、したくて……」
「?」
「デートです!……えっと、逢引きです!だから、芳麿様じゃないと、だめなんです!言わせないでくださいよもう……」
彼女は、意外と奥手であった。
こういう人の心の揺れ動きが重要な話を書くのはとても苦手なんですが、キャラに深みを持たせるためにも、今後の展開を書くうえでも、避けては通れないので頑張るしかないわけです。