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このころの日本の政治事情-2

なかなか更新できずすみません。以下の作品もこの前更新しましたので、よろしければご覧ください。


救国の輪廻RTA:実績「東洋の番人」~逆行転生RTSで日本をアジアの覇者にする最速戦略~

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本作とは直接繋がりは無いものの、やはり逆行転生知識チート仮想戦記ではあります。もしよろしければこちらもお楽しみいただけると幸いです。


書籍版発売中です。詳しくは活動報告をご覧ください。よろしくお願いします。

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「まあ、そんなわけで、今の日本は工業化が進んでいて実業家が増えているし、女性参政権が認められているけど制限選挙が行われているから、立憲政友会が衆議院第一党の座に居続けている……ということでいいですか?」

「私の理解ではね」


 信輔がまとめた話を中島が肯定した。


「しかしまあ、これは失礼な質問になるかもしれないが……信輔さんの本分は鳥類学者でございましょう? 私が退役する前は議会に顔を出すことすら珍しかったと聞いていますが、いつの間に貴族院での発言力を得たんでしょうか」

「正直私も実感がなくて……」

「まじめにやってきたからよ。ね?」


 中島の質問に対し、信輔自身もよくわかってなさそうな回答をすると、耀子が引っ越し業者のような合の手を入れる。


「そうかな……単に近衛さんが研究会を抜けてしまったから、担ぎやすい神輿として選ばれたんだと思ってるけど……」

「担ぐにしてもみすぼらしい神輿じゃ、あの外面だけはよいボンボンの人気に勝てないでしょ。佐渡とか沖縄に鳥類保護区を制定したのをはじめとして、各地に自然史博物館を建設したり、大学や国立研究所の研究予算を増やしたりと、学術分野を振興する政策を地道に通したことが、信輔お兄様の人望につながったんだと思うよ」


 いまだに謙遜する信輔であったが、耀子は彼の功績を丁寧に紹介し、それだけのことをしてきたのだと主張した。史実の信輔も、1939年12月の第75回帝国議会において、漁業不振や進まないマラリア対策などの原因が基礎研究分野の軽視にあるとし、珍しく議会で熱弁をふるっている。こうした彼の想いを、史実にいなかった末の妹が早い時期から後押ししたことが、この世界線の「貴族院きっての学術通」としての地位を信輔に与えたのだった。


「なるほど、それは確かに十分な功績を出しているといえそうですな。いやはや失礼しました。たとえ近衛さんが研究会を抜けなくても、常務委員入りは時間の問題だったでしょう」

「ありがとうございます……」

「でもお兄様、よく近衛についていきませんでしたね」


 近衛が火曜会を設立した時、なぜ信輔もそちらへ行かなかったのかと耀子が疑問を呈す。彼女は知らないことだが、史実では信輔も火曜会に移籍しており、時には代表者として議事進行や内閣との折衝を担当することもあった。


「そりゃあ、あの人が劣等感の塊で、とにかく周りを見返してやろうって気持ちだけが強い人なのは知ってたり、何より耀子さんが嫌がるだろうなと思って……」

「あー……」


 中島や文子がいるこの場では話せないが、耀子は史実での近衛の行いを信輔ら一部親族に罵倒を交えながら話したことがある。もともと「同じ藤原氏の一族」程度の付き合いしかなかったが、その時以降、信輔は近衛とのかかわりを少しずつ減らしていった。こういった細やかな動きができることが彼の強さであり、耀子はもちろん芳麿ですら絶対にかなわないと思っているところなのだが、本人にあまり自覚はないようである。


「確かに、耀子さん外面ばかり取り繕う人嫌いですもんね。納得です」


 幸い、特にごまかさなくても、文子たちは信輔の述べた理由を素直に受け入れてくれた。


「そんなわけで、僕は近衛さんについていかなかったわけですが、周りはそうじゃなくてですね。あの人勢いはあるし、耳に聞こえのいいことを言うのが得意だから、結構な人たちが火曜会に流れちゃったんです。それで、今まで研究会を牛耳ってた人たちも、これはまずいって思ったらしくて、常務委員の若返りをすることになり、いつの間にか僕を筆頭常務委員にすることになった。そういうことみたいです」


 そういうと、信輔が疲れたようなあきらめたようなため息をつく。公爵家当主という立場上、いろいろな頼まれごとをされるのは慣れてはいるが、慣れているだけで好きではないのだろう。耀子はそんな兄の姿に心を痛めたが、それ以上どうすることもできなかった。


「……大変な仕事でしょうが、立憲政友会(われわれ)も私の力が及ぶ範囲で協力しましょう。信輔さんとなら、これまで以上に強く、豊かな日本を作れると確信しました」

「ありがとうございます。微力非才の身ではございますが、精いっぱいやらせていただきます」


 そういって二人が固い握手を交わす。これが見れただけでも、今日二人を引き合わせたかいはあったと耀子は考えた。


「さて、火曜会や民政党といった他派閥への対策も必要ですが、まずはそういった内向きの話ではなくて、国家運営についての話をしましょう。だるまさんのおかげで、我が国の中ではちっとも感じませんが、世界では貧すれば鈍するという言葉通り、よろしくない動きが後を絶ちませんからな」

少しでも面白いと思っていただけたり、本作を応援したいと思っていただけましたら、評価(★★★★★)とブックマークをよろしくお願いします。


まえがきでも書きましたが、以下の新作もよろしくお願いします。


救国の輪廻RTA:実績「東洋の番人」~逆行転生RTSで日本をアジアの覇者にする最速戦略~

https://ncode.syosetu.com/n5107io/

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挿絵(By みてみん)

本作世界のチベットを題材にしたスピンオフがあります。

チベットの砂狐~日本とイギリスに超絶強化されたチベットの凄腕女戦車兵~ 

よろしければご覧ください。
― 新着の感想 ―
[一言] 信輔さんこのまま順風満帆でいったら将来、お札の顔になりそう。
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 古い話になりますが近衛と鷹司は本家と分家みたいな感じだったかと。 まぁ本家と分家で仲が良いばかりでもないでしょうけど。
[一言] >耳障りのいいことを言うのが得意だから、 →『耳障り』は『障』の漢字の通り、騒音や嫌な言葉への形容で、『耳障りのいい』とは言わないのではないでしょうか。  『歯触り』『舌触り』の耳バージョ…
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