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各国における航空主兵論

いよいよ明日、書籍版発売です!書籍版の特設ページも公開されています!詳しくは活動報告をご覧ください!

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1980903/blogkey/3068396/

「お水をお持ちしました。お茶は利尿作用があって、結局余計に喉が渇いてしまいますので」


 水の入ったピッチャーと人数分の湯飲みを持ってきた耀子は、湯飲みを配って水を注いで回る。


「ありがとう……それじゃあいよいよ我々にとっては本題の各国の航空主兵論について話そうか」


 武彦はそう言って水を飲み、一呼吸置くと、各国海軍の航空機に対する受け取り方を簡単に説明する。


「我が国は……説明不要だろう。最初に説明した通り、多数の大型空母を保有し、ロシア太平洋艦隊もほぼ航空攻撃によって打ち破っている。空母は戦艦とは使い方の違う艦種ではあるが、これからの戦争の主役になる兵器であることは間違いないと考え、空母のみならず駆逐艦や護衛用の小型巡洋艦……乙巡も空母同士の航空戦を主眼に置いた設計のものに更新している最中だ」


 ロシア戦争で自軍の航空機の威力を目の当たりにした日本海軍は、空母を主役とする艦隊編成に傾くようになった。「航空機がすべてを解決する」ではなく「空母が大体の事を解決する」というのが、航空主兵論とも少し違うところである。このため、大型空母を整備するのは当然のことだが、主役たる空母がやられないように護衛にも工夫を凝らしているのだ。


暁型駆逐艦

排水量:2000t

全長:127m

全幅:12m

機関:三菱内燃機製造 UW12V700D 水冷60°V型12気筒OHVユニフロー式ディーゼル6基2軸推進

公称出力50400shp

速力 全速前進35kt 前進一杯39.1kt

航続距離18ノット/8000海里

兵装

45口径120mm連装両用砲3基

39口径40mm連装機関砲4基(砲架)

533mm五連装魚雷発射管1基


最上型軽巡洋艦

排水量:7500t

全長:169m

全幅:18m

機関:三菱内燃機製造 UW12V700D 水冷60°V型12気筒OHVユニフロー式ディーゼル12基4軸推進

公称出力100800shp

速力 全速前進33kt 前進一杯35.5kt

航続距離18ノット/13000海里

兵装

45口径152mm三連装砲4基

39口径40mm連装機関砲10基(砲架)

533mm三連装魚雷発射管2基

装甲

舷側:105mm(最厚部)

甲板:50mm(最厚部)

主砲塔前盾:50mm

主砲塔上面:50mm

主砲バーベット:105mm(最厚部)

司令塔:105mm(最厚部)


蒼龍型航空母艦

排水量36500t

全長260m

全幅32m

機関:露号艦本式重油専焼缶20基+技本式減速タービン4組4軸推進

最大出力139000shp

最大速力32kt(全速前進)34.1kt(前進一杯)

航続距離18ノット/8000海里

兵装

50口径120mm連装高角砲12基

39口径40mm連装機関砲22基

搭載機

八七式戦闘機"長元坊"2型乙×48

八六式爆撃機"白鷺"2型乙×32

補用8機

装甲

舷側:105mm(最厚部)

飛行甲板:105mm(エレベーターは非装甲)

甲板:25mm(最厚部)


「イギリス海軍も、我が国の戦訓を受けて航空機の有用性に対して一定の理解を示し始めている。一方アメリカの動きは鈍いな。航空主兵論を唱えている人物が政治屋的で人望がないというのもあるだろう」

「航空攻撃とは要するに物量ですからね。アメリカにはとても向いている戦略ですから、このまま大艦巨砲主義にしがみついていてほしいです」


 いくつかの架空戦記では、あえて大艦巨砲主義が最強であるかのように世界に印象付け、それを潜水艦で対策することによりアメリカに対して優位を得ようとするものがある。とはいえ、この世界の日本は躍起になって航空機の威力を向上させることに邁進したため、この方針はすでに不可能だろう。であれば、樹脂複合材料分野におけるアドバンテージを最大限に生かして、常に優秀な艦載機で仮想敵国を上回るほかない。


「ということは、我が国がされて困る制約というと

・主砲の口径制限

・航空機のサイズ制限

・飛行甲板のサイズ制限

の3つがあげられるわけですね」


 今までの話から、軍縮条約の締結上日本がされて困る条項を信煕が挙げた。


「……うん、そういうことになるな。ありがとう、色々整理できて助かった」

「人に話すだけでも自分でわかってくることがありますからね。これからもどんどん頼ってください」

「陸の事であれば、私も力になれると思います。次の戦争は島嶼を奪い合うものになると予想されますから、陸海軍の連携はより重要なものになるかと」


 話はまとまり、彼らは再び正月を楽しむことができそうである。とはいえ、武彦の三が日は、弟や義兄と同じようにつぶれてしまいそうであった。

前書きでも言いましたが、明日にはいよいよ書籍版発売です!本作を応援していただける方、何かしら面白いと思っていただけた方は、ぜひブックマークに入れたり、評価(★★★★★)をつけてたりしていただけると非常に助かります!よろしくお願いします!

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挿絵(By みてみん)

本作世界のチベットを題材にしたスピンオフがあります。

チベットの砂狐~日本とイギリスに超絶強化されたチベットの凄腕女戦車兵~ 

よろしければご覧ください。
― 新着の感想 ―
[一言]  海軍の航空主兵論ってのは、「航空機の行動半径内であれば、空軍や陸軍航空隊でも同じことが出来ます」って話ですから、組織としては自殺行為なんですよね。  
[一言] 書籍版、早速買わせて頂きました。 読みやすくなっており、スルスルと頭の中に入ってきましました。 表紙のイラストも美麗で、特に突撃車は格好良かったです。 本文とは異なりますが、電子版は注釈に飛…
2022/11/05 18:05 退会済み
管理
[良い点] 新しい空母に護衛の軽巡と駆逐艦。いいですね。 [気になる点] ただ、やっぱり魚雷発射管を捨て切れなかったようですね。 史実での秋月型の交戦記録を調べたことがありましたが、一基しか積んでいな…
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