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お姫様の恋 ~ハーボルト王国 王室に嫁いだ姫君たち~  作者: 松本せりか
見た目は17歳、中身は12歳の悪役令嬢
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第44話 ダグラス殿下への信頼

「それで? 何か思惑があるのか?」

 ダグラスが、率直に訊いてくる。

「思惑って?」

 何の事だか分からない。思った事を言っただけなのに。

「思惑があるのなら言ってくれ、乗ってやるから」

 いや、だって、思惑なんて……ただ、今まで通りにしたいだけなのに。

「思惑なんて、無いです」

 私は、きちんとダグラスの目を見て行った。


「クラレンスの事を選んどいて、俺とも仲良くしたいって?}

 ダグラスは、半笑いでそう返してきた。何だか少し怖い。

「キャロル嬢。自分が何言ってるのか、分かってる?」

 なんだか、だんだん壁の方に追い詰められてるような気がする。

 ……というか、これが噂の壁ドン?


「あ……あの。ダグラス殿下?」

 何か、私怒らせてしまった?

「あくまでも、しらばっくれるんだ……」

 しらばっくれるって、意味が分かんない。



「人の婚約者を、こんなところに連れ込んで、どういうつもりだ?」

 いつの間にか、ダグラスの後ろにクラレンスが立っていた。二人共にらみ合っていて怖い。

「別に、この前の返事をもらっただけさ」

 そうダグラスは、返していたけど。私の方を見て、言ってくる。

「キャロル嬢。俺の事を信じてくれるって言ったよな。俺はウィンゲート家の思惑とは無関係だって、信じるか?」

 ダグラス越しに、クラレンスも見える。

 クラレンスに、私への不信感を植え付けるつもり?

「もちろんですわ。ダグラス殿下がクラレンス殿下の味方をして下さる限り……ですが」

「そんなのしたっけ?」

 しらばっくれているけど、ダグラスの本質は優しくて誠実なんだと思う。


「クラレンス殿下が引きこもっている時も、リリー様を探しに行こうとしている時も、アドバイスをしていたり、引き留めたりしていて下さったじゃないですか」

 そして、私にも損得関係なく優しくしてくれた。

「ああ、あれね。確かにな。放っておいても良かったよな」

「わたくしは、そう言うダグラス殿下だから信じていたいんです」

 そう、にっこり笑って言った。


「なるほどね。その辺は変わって無いんだ」

 ダグラスが、納得したように言ってきた。だけど、変わって無いって。

「キャロル嬢は、昔からクラレンスの味方をして来たもんな」

 やっぱりキャロル自身もクリスが言っていた通り、クラレンスの助けになる様に動いてたんだ。

 ダグラス越しに見えるクラレンスも微妙な顔をしている。

「ほら、ダグラス。いつまで、私のキャロルにくっついてるんだ。離れろ」

「はいはい。じゃあな。キャロル嬢」


 ダグラスが会場に戻ってしまってから、クラレンスが訊いてくる。

「それでキャロルは何の返事をしたのかな?」

「この前、ダグラス殿下が言われていた、『考えてみて』の返事ですが。わたくしは、クラレンス殿下を選んだと言いました」

 私は、聞かれたことに素直に答えた。クラレンスの顔が少し赤くなった。


「それが何で信じるとか信じないとかの話になるんだ?」

「わたくしが、信じたいって言ったので。後は、クラレンス殿下が訊いた通りですが、マズかったですか?」

「いや。まずくは無いが……。はっきり断りを入れた事で、ウィンゲート家がどう出るか」

「ダグラス殿下は、関係無いって。思惑があるなら私の思惑に乗ってくれるとまで、言ってくれたんです」

 私が必死になって言っているのに、クラレンスは曖昧に笑うだけで……。


「ダグラスは……ね。とにかく、夜会の時は会場内にいてくれ。そうすれば、私かリオンの目が届く」

「分かりました」

 何だか、良く分からない。ダグラスを信用しているのだか、していないのだか。

「じゃあ。私達も戻ろうか」

 そう言って差し伸べられた手を取って、私は会場に戻った。

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