表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姫様の恋 ~ハーボルト王国 王室に嫁いだ姫君たち~  作者: 松本せりか
見た目は17歳、中身は12歳の悪役令嬢
39/106

第39話 ダグラス殿下のお誘い

「キャロル。思っていることが口に出てる」

 クリスから指摘されて、我に返った。横見て横、って感じだ。


 ん? っと思って、両隣を見る。

 ダグラスもクラレンスも、真っ赤な顔をしていた。なんで?

 あっ、そっか。

「婚礼の儀が終わってからじゃないと、まずいですよね。赤ちゃんは」

 妊娠中はお腹が大きくなるから、ドレスが入らなくなるし。

 無理はしたらダメなんだよね。


「キャロル。とりあえずやめよう。噂がもっとひどい事になる」

 クラレンスが焦って止めていた。

 ここにいる人間は、低い身分の者でも男爵の子息子女だ。

 このままでは、社交会での噂がすごい事になってしまうとの懸念だった。


「はぁ。分かりました」

 よく分からないけど、たぶん婚姻前ってのがいけないのよね。向こうは出来ちゃった婚もあったけど……。

「確かにな。さっき、クラレンスは無難な言い方をしていたけど、赤ちゃんが……なんて、可愛い噂じゃ無かったもんな」

「ダグラス」

 そう言うダグラスをクラレンスがたしなめるように止めた。

「夜会に出たら、イヤでも耳にするだろう? 出ないわけにはいかないんだから」

「まぁ。確かに好意的な噂では無いんだろうけどねぇ」

 ダグラスのいう事に、クリスも乗っかってきた。

 噂のコントロールは難しいねぇって言外に聞こえる。

 なんだかクリスが絡んでると、またロクな噂じゃ無いんじゃないのかと思ってしまう。


「大丈夫だよ。キャロルに対して悪意が向いているわけでは無い。あくまでも、クラレンスに対してだよね」

 不安になってしまった私に対して、そうクリスが言う。だから安心してねって。

「そうそう。私に対してだ。キャロルはどちらかというと被害者側だから」

 クラレンスもそんな事を言ってるけど、私を何だと思っているのよ。

「それで、わたくしがどうして安心できると思うのですか」

 思わず、立ち上がってそう言ってしまった。

 そんな私を見て、クラレンスとクリスは慌ててしまっていた。


「ずいぶんと仲が良くなったんだな。リリーがいなくなって」

 私が二人になだめられ、席に座ったところで、ダグラスが感心したように、言った。

「キャロルが変わったからかな? 私も反省したんだよ」

 クラレンスは、手を胸に当て言っているけど、見ようによってはまじめに答えてない。

「処刑がかかっているからね。クラレンスも必死だよ」

 しれっとクリスが言った。


「ふ~ん。そう言えば王命に逆らっていたんだっけ?」

 ダグラスが思い出したように言ってる。

「キャロルとの婚約破棄が成立したらね。まだ、保留になっているから」 

 人払いしていない状態で、クリスが言うって事は、正式にそう言う事にしたんだ。

 ダグラスの方は、ふ~んという感じで聞いている。

 そして私の方を向いて

「あっ、そうだ。キャロル。あれ、まだ有効?」

 軽い感じで訊いてきた。

「あれって、何です?」

 心当たりが無い。


「俺が婚約者だったら良かったのにって言ってくれたじゃない。婚約破棄されて、泣いていた日に……。覚えてないかなぁ」

 ダグラスがそう言った途端、他の二人が警戒したのが分かった。

「あれ。聞こえてたのですね」

 私は普通に返した。警戒したのはわかるのに、それ以降のキャロルのスキルが反応しない。

「うん。聞こえてた」

 目の前のダグラスはニコニコして言っている。

「ダグラス殿下。優しいから、つい、良いなって思っちゃったんですよね」

 あの状況下だったもんね。今もダグラスの事は、お兄さんとして頼りにしてるし。


「いいな。って思ってくれたんだ」

 そっか、そっかと言って笑ってくれる。

「今はそれで良いからさ。俺との事も少し考えてみてくれる?」

 優しいダグラスらしく言ってくるけど、返事をしたらまずい気がする。

 どうしよう。

 つい、クラレンスの方を見てしまった。


「キャロル。考えてみるくらいは良いんじゃないかな」

 クラレンスが助け舟を出してくれた。何か、ダグラスの方をにらんでるけど。

「クラレンス殿下が、そうおっしゃるのでしたら」

 私は、何で睨んでるのだろうと思い、クラレンスに目線を残しながら返事をした。


「あっ、やっぱり許可がいる? まだ一応婚約者だもんな」

 ダグラスは、私の方だけを見て優しく言ってくれる。

 なるほど、今のって許可を取った感じになるんだ。

「じゃあ、クラレンスの許可も出た事だし、よろしくね」

 何だか今日のダグラスはぐいぐい来る。

 私は曖昧に笑うしかなかった。

 クリスも何も言ってくれないし……。まだ、気配が混ざった感じがしているし。


「さて、今日はもうお開きにしようか。クリスもダグラスも付き合ってくれてありがとう。楽しいひと時だったよ」

 クラレンスは、お茶会を終了の挨拶をした。

「さて、キャロル。私達は戻ろうか」

 私の手を取って立たせ、二人寄り添ってテラスから退出した。

 まるで、それが当然の流れかのように……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ