第1界 天国
そして修平は気づいたら羽の生えた女の子に手をひっぱられていた。
「って勝手に終わらせんじゃねえよ!! まだ5行じゃねえか!!」
と修平が文句いうと
「あ! 気がついた。いや、もう主人公が死んだんでいいかな?って思って」
と女の子が投げやりでそう答えた。
「良くねーよ!! てかお前誰だよ!!」
修平は怒る。
「私、天使のフィアナ。良かったね。あなたは天国にいけるよ」
そんな修平を無視して続けるフィアナ。
「そんなん知らねーよ。しょっぱなから主人公殺すなっての」
「あるじゃん、そういう話。幽○白書とか灼○のシャナとか」
「全て架空の中の話じゃねえか。それに幽○白書は後で生き返るし、灼○のシャナは……って何なんだよ?灼○のシャナって!!」
「やっぱりわかんないか? まぁいいや」
と修平をスル―した。
「天国に本当にいってんだよな?」
修平は心配そうである。
「うん。そうだよ」
肯定するフィアナ。
「なぁ天国ってどういうとこだ?」
修平は何気なく聞いてみた。
「う〜ん。修平君のいた世界とさほどかわりないと思うよ」
としばらく考えそうフィアナは答えた
「そっか」
そして修平は頷くだけであった。
「修平君お願い! 私を抱いて!!」
というフィアナの言葉に
「は〜? なんで? いきなり!!」
唖然とする修平。
「落ちたいの?」
「イヤです」
と素直に言うことを聞いて抱きついた修平。その時修平は全てを包み込むようなとても気持ちいいやさしい感覚を覚えた。その一方で
(いい匂い……って何考えてんだ俺!!)
と多少自己嫌悪に陥る修平であった。
しばらくするといままで全くって言っていいほど風のなかったこの世界にいきなり暴風がフィアナたちを襲った。
「なんだ?こ……の……風は?」
と修平は顔をしかめて聞いた。
「ふう〜なんとか気流に乗れた。ここは、三途の川。で、この風はランブルウィンド。別名、堤防の風」
と答えるフィアナ。
「ランブルウィンド? 堤防の風?」
「人は顔が一人ひとり違うように、人にはみんなそれぞれの風を持っているの。その風が一度に大量に交差する三途の川はすごい暴風が吹いてるの。ここに迷い込んだりした人が間違えてこっちの世界にこないようにっていうのもあるんだけど。それでもムリヤリ渡ろうとする人はいるんだけどね」
「吹き飛ばされたらどうなんだよ?」
「向こうでは一命を取り留めるっていうの?」
「ムリヤリ入ってくる人って?」
「自ら命を絶った人たち」
「その人たちはどうなんだ?」
「死神に地獄に連れて行かれるね。まぁ自殺した人の大半は渡りきったあとに後悔するんだけど」
「そういや俺、三途の川通った覚えないぞ」
と振り返る修平。
「修平君は特別というか緊急事態だったの」
「どういうことだ?」
「ふつうは三途の川まで自分の風で気流乗って連れて行かれるんだけど、修平君の場合気流にのる前に力尽きちゃって倒れてたの」
と説明するフィアナ。
「その場合どうなんだよ?」
「死神につれていかれて、地獄にいくか。それは稀なケースなんだけどね。それか」
「それか?」
と恐る恐る聞く修平。
「それか、完全に霊体は消滅してこの世でも地獄でも天国でもない無の世界に魂だけがいくの」
フィアナは恐ろしそうにいった。
「本当にギリギリだったんだよ?あ、もうすぐ抜けるから。ここ抜けたらすぐだよ?天国」
「そうなんだ?」
「あ! もう見えたあれだよ? 天国は」
それは空中に陸が浮かんでいた。しばらく進むとここから天国という
まるで道路標識のようなものがあった
「ここから天国って……」
「よし着いた」
「ヒューヒュー、久しぶりに若い人だからってそんなことしちゃって」
とついた途端にからかうフィアナと同じように羽の生えた女の子。
「もう、からかわないの!! 二ール。ほら修平君が」
修平は急に顔を赤くしてオドオドし始めた。
「まぁかわいい。食べちゃいたいわ〜」
無神経なニールの発言。
「うぃ!!」
とそんな言葉に驚く修平。
「二ール!!」
とフィアナはしかりつけた
「冗談よ、冗談。私、ニールっていうの。よろしくね。わからないことがあったら何でも
聞いて」
「よろしく……」
二ールはとてもグラマラスで元気で活発でたまに誘惑的な態度をとる。彼にはそう映ったようだ。
天国は陸が空中で浮いていることや天使がいること以外は
この世とさほど変わりはなかった。高層ビルが立ち並ぶオフィス街や
一戸建ての住宅や団地などがある住宅街。まるで修平は生きていた世界にいるようだった。
そしてしばらく歩く二人は一戸建ての家の前にいた
「ここが私の家」
「へ〜なんかあんまりかわらないな。あっちの世界と」
「もしかして、西洋の昔話にでてきそうなお城とかこの世界全てが雲でできてて上を
見上げればいつでも青い空とかというメルヘンチックなとこを想像してた?ゴメンね?
これが現実だから」
(そんなこといったら実も蓋ない……)
ガチャガチャガチャと鍵をあけて二人は家の中に入った。
「中でしばらく休憩してて。私用事があるから。そうそう私がかえって来たらじぃの所にいくから」
と外に出る。
「え? ちょっと待てって!! じぃって誰だよ?」
と質問するも
「すぐ戻るから。ゆっくりしててね」
と彼の質問を無視し、修平をひとり残してフィアナは急いで出て行った。
「ふ〜疲れた〜」
と修平は足を大の字に広げて一息ついて座った。あたりを見回した。
「げっ!」
修平はその光景に言葉を失った。
周りにはこの世のアニメのDVDやマンガやキャラクターがジャケットのCDなど
いわゆるこの世でいうところのオタク系の物がお店で売るかのように並んでいた。もちろんその中に幽○白書や灼○のシャナもあった。
「こいつ……てかなんでこの世のものがこっちにもあるんだろう」
と手に取り考えていると
「フィアナ? いる?」
と女の子の声が聞えた。だんだん声が近くなってくる。どうやら入ってきたようだ。しかしそのことは修平は気づかず
「フィ、アナ?」
と修平とその女の子は目が合った。
「どうも」
と挨拶する修平。
「お、男!!! なんで男がいるのよ!!?」
と驚きふためく女の子。いきなり知らない人がいるのだから当然だ。
「これは」
と説明するためその子の方に体を向けた。
「このドロボー!!!」
ちょうど運悪くフィアナのものもっていたので誤解されたようだ。
そして殴り飛ばされた。
「ただいま」
とフィアナの声が聞こえた
「フィアナ〜!! ちゃんとカギ閉めなきゃダメじゃない!」
と帰ってきたフィアナに鬼の魚層で詰め寄ってくる。
「あら、バルアローレンきてたの?」
とあっけらかんと聞き返す。
「そんな悠長にきてたのって言ってる場合? ほら、これドロボー」
と首根っこ捕まれてフィアナに差し出される。
「修平君!」
「え?」
事情を話すフィアナ。
「それならそうと早く言ってよ」
「説明しようとしたらお前が殴ってきたんだろう?」
「知らないわよ!!そんなこと!だいたい誤解するようなことをするからいけないんでしょ?」
「だからって殴ることはないだろ?」
「しょうがないでしょ?見たことがないひとがいきなり人の家で物をあさってるんだもん」
とケンカが勃発した。すると
「はい! 二人ともそこまで! 修平君? むやみやたらに人の部屋の物を取らないこと。それからバルアローレン、早とちりで突っ走らないこと。いい? 二人とも」
フィアナが叱る。
「はい」
すると素直に返事をする二人。
「今回はフィアナに免じて許してやるけど。今度こういうことがあったら許さないいんだからね」
と彼女は去っていった。
「あの子バルアローレンっていうんだ?」
「ええ、気が強くて、意地っ張りで、思い込んだらまっしぐらって子なの。だから今日みたいなことも起こるの。でもとてもいい子だから。仲良くしてあげて」
(出たよ!! ツンデレキャラ……)
と内心突っ込む修平であった。
「うん」
修平は曖昧な表情でうなづいた。
「じぃの所に行くよ。着いてきて」
とまた外に出る修平とフィアナ。
じぃという人に会いに行く途中
「フィアナお姉ちゃ〜ん」
「ああ、ティアラ。いままで遊んでたの?」
「うん」
と元気よく返事をする女の子。もちろんこの子にも羽が生えている。
見た目は、五歳か六歳ぐらいだ。
「そう。もうすぐ帰らないとね」
とニコリと微笑んでいうフィアナ。
「この人は?」
とティアラって子は当然の質問をぶつける。
「今日ここにきたの。名前は修平君っていうのよ」
「そうなんだ? よろしくね、修平お兄ちゃん」
「よろしく」
「これからじぃの所にいってくるからお留守番お願いね」
と優しく語り掛ける。
「うん、わかった。ちゃんとお留守番する」
ティアラも嬉しそうに返す。
「じゃあね」
と分かれると急ぎの用のように彼女は走っていった。
「ティアラって子、フィアナの妹なんだ?」
「うん、そうよ。私の唯一の家族なんだ」
「へ〜」
修平たちも先を進んだ。そしてようやくじぃという人の所に到着した。
「なんだ? ここ。普通の民家じゃねえか」
ブザーをならす
「おう。来たか、上がれ上がれ。」
と言い、フィアナのお尻を触った。
「ちょっとじぃ?」
と肘鉄を一発。
「す……いません……」
と意気消沈。
ジィと呼ばれている人は白い服を着て頭に輪が浮かんでいてもちろん羽も生えていた。
そして頭は白髪で細身、見た目は七十ぐらいだろうか。
「なぁじぃって何者なんだ?」
とフィアナの耳元で聞いた
「神様よ」
(神様が普通の民家……)
「は? ウソだろ? このエロオヤジが?」
「そうじゃ! わしはエロオヤジじゃぞ! エロオヤジで何が悪い!!」
(開き直ってる……)
「では本題に入ろう。西本修平じゃな?」
「いえ、違いますけど」
「わかっておる。本当は西本なんじゃろ?」
「だから違います」
「はて?」
とじぃ修平が殺されるときの映像を見ていた
「へ〜ちゃんと映像記録とかしてんだ?」
「万が一、死ぬ人を間違えたりしないように。チェックしてるの。」
「そうなんだ。いままで間違ったことあんの?」
「いいえ、ないわ」
「すまん。間違えた」
「はい?」
「隣のやつじゃった」
「おい!」
「なら俺間違えて殺されたってのか?!」
「そう……なるわね……」
とフィアナは頷く。
「ふざけんじゃねえよ!! こっちの都合で勝手に殺してんじゃねーよ!!」
「まぁ細かいことは気にするな」
「気にするっつうの!! いままでの十六年間なんだったんだよ!」
「それはそれじゃ」
「なんだよ!! それ」
「なにしろこんなこと初めてでな。こっちもいろいろと混乱しているのじゃ」
「どうするの?」
と不安そうに聞くフィアナ。
「とりあえずしばらくこっちにいてもらおう。今戻るといろいろと面倒なことになるからの。心配するでない。いずれは戻れるじゃろう。」
「そうなのか?」
とうれしそう煮詰め寄る修平。
「で、いつなんだ?」
「まだわからん。それまではフィアナ。お前が面倒みてやれ。」
「わかったじぃ。」
こうやって修平の天国生活が始まった。




