17/29
階段の百合
予鈴がセミを押しのけた。
「五限は?」
背中に痛いくらいに絡んでいた熱が緩んで、湿気が割り込んでくる。
「ダメ。離れないで」
抱き寄せる。真っ黒なつむじだけが見える。
熱い。踊り場は涼しいはずなのに、熱い。
セミの声がまた聞こえた。頭蓋骨のなかで何度も反響する。鼓膜が痛くなる。
「サボろうよ」
==========
ツイッターで階段に関するつぶやきが流れてきたので、
それを見て思いついたもの。
階段の踊り場でいちゃいちゃするって青春ですよね。
百合です。