欠落ピエロに恋をしていた。
私は欠落ピエロに恋をした。
彼にはあるもの欠落していた。
これは恋の話。これは初恋ではない。これは何度目か恋の話。けれど1番特別で大切な恋の話。
彼:なあ、茉莉、暇だろ遊びに行こうぜ。
私:やだよ。どうせドッジボールでしょ、痛いし。
彼:大丈夫、俺様が特別に守ってるやろよ。
私はその言葉にドキッとしながらも強がって、
弱いくせに無理しちゃって、まあいいけどって答えると、
彼は嬉しそうに、まあ見てろってっ豪語した。
その爽やかな顔に私はまたドキッとしたのだった。
私の名前は月森 茉莉
彼の名前は相馬 春斗(そうま はると)
さっきの話は小学生の頃話である。5年生か6年生かあまり覚えていない。
ただこの時にはすでに彼に惚れていたのだと思う。
彼はクラスの中心グループのメンバーでそのグループの中心であった。面白く、優しく、聡明で、男子からも女子からもモテる太陽みたいなやつ。(褒めすぎだよね笑、まあいいか惚れてるし、仕方ないよね。)
予想がつく思うのだが、ドッジボールなんかではもちろんはじめに狙われるようなやつであって私を守れるはずもなく、すぐに外野に行ってしまうのだった。彼の方を睨んでやると、友達と流行の芸人のネタをしていた。ほんと憎たらしいやつ。でも好きだった。
彼は輝いていた。
けれどこれは三年前の小学生高学年の話であった。
中学三年の今の彼は、独りぼっちで無視される存在だった。いじめというほど過激なものはなかったが彼はクラスではいらない存在だった。
彼はくすんでいた。