勇気編終話:平穏からの転機
それから早5年の月日が経った。時間は心の傷をいやしてはくれたがトラウマはずっと消えなかった。それもまた時間が解決してくれると思った矢先、俺の携帯に見知らぬ番号からの着信があったのだ。
「はい、勇気ッス!」
「あ…あの…圭二ですけど…」
電話の相手はバンドをやめてから全く疎遠になっていたドラマーの圭二だった。
「圭二?バンドやめた俺にいったいなんの用だ?」
「実はこのたびPieces Blueをやめることになったんだ。」
正直とてもびっくりだった。あのバンドを圭二がやめるなんてありえない話だったから。そして圭二はドラムにここまで夢中になれたのは他ならぬ俺と浩一のおかげだと言ってくれたのだ。
そこからバンドとは関係のないところで浩一と圭二との時間が毎週出来るようになったんだ。それまでバンドから離れて友達付き合いをしたことなんてなかったから何とも新鮮だった!
音楽がなくても楽しい、音楽がなくたって生きていけると思えたのは浩一と圭二、そして何よりあすみのおかげだと今でも思う。
なんだ、音楽がなくったってこんなに楽しく生きていけるんじゃないか!そんな風にこの先も希望を見出していきたい…少しずつ俺の考えがポジティブに向かい始めたんだ。
もうないと思われていた無限回廊の迷路の中ついに光明を見つけたと思った俺。そんな俺にもう一度運命の転機が訪れる。
※勇気編はここで終わりです。お話の続きはまずは光太郎編を見てからPieces編を読んでください!