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勇気編1話:就職と生活

このお話は勇気編→光太郎編→Pieces編という順番で読んでいただけるようにお願いします!

俺の名前は新城勇気しんじょうゆうき!こんなんだがバンドでボーカルをやっている。


メンバーはギターの安斎浩一あんざいこういち、ベースは大親友の中川光太郎なかがわこうたろう、ドラムは浩一の幼馴染みの岡安圭二おかやすけいじだ!


俺たち4人は「Pieces Blue」ってバンドを組んで活動している。


おっとそうだ!それからもう一人紹介しなくちゃならないヤツがいたな。バンドで一生懸命頑張ってくれてるのが日比野玲子ひびのれいこ


地方に住んでる子だからたま〜に東京まで出てきてってカンジなんだけどすごくいろいろやってくれてるんだ!


ちなみに玲子とは恋人同士でもある、もうすぐ3か月になるんだけどさ。


そんなこんなで話は地方に住む玲子がついに東京に出てきて生活をし始めるってとこから始まる。




「ねえ、勇気。実はね…うち…大変な事になったんだ。」


いつも楽しみにしていた電話での会話の途中、すっかり元気のない玲子がそう切り出した。


「そんなに落ち込んで…いったい何があったんだ?」


「実はね、うちの両親が離婚する事になったの、私はお母さんについていくことになるんだけど…お母さんは再婚するかもしれない相手がいるから私の居場所はないんだよね…」


前々から玲子の両親の不仲は知っていたけど…こんなに早く離婚って話になるなんて思ってなかった。


正直その時の俺にはどうにもならないスケールの話だった。まだ年は19歳で実家暮らし、おまけにフリーターの俺。貯金なんてバンドと携帯代だけですっ飛んでしまうようなバイト代じゃ出来るはずもない。


かと言って今の玲子をこのまま放っておけるわけがなかった。そもそも玲子と知り合った時にあいつには地元に結婚を約束した彼氏がいたんだ。最初は俺の片思いだったんだけど…思いが通じたのか結婚の話を放棄してまで玲子は俺の元に来てくれたのだ。そこまでの気持ちをお互いが持って始めた仲だった。


俺は悩んだ末に最後の手段をとることを決意したんだ。それは…半年だけという条件で俺の実家に置いてもらう事。親には絶対に頼りたくはなかったが…これしか玲子を救う手立ては今の俺にはなかったんだ。


そしてある日、リビングで俺は両親に話を切り出した。事情を説明した後に頭を床に擦りつけて心のままに言った。


「頼む…玲子をこの家に半年だけ置いてほしいんだ…俺…絶対頑張って金貯めて半年で家を出るから!」


長すぎるほどの沈黙の後、親父が言った。


「本来なら嫁入り前の女の子を置くなんて言語道断だが…では条件だ」


親父は認めてくれたがそこに1つの条件を提示した。


「今、田中社長のところで機械の技術員を募集してるそうだ。そこで必死に働く事だ。同棲なんてするなら結婚の意思があってこそじゃなければ認めないからな。結婚するためならおまえが玲子ちゃんを養っていかなければならないんだ、いいな?」


田中社長ってのは親父の最も尊敬する社長だと聞いた事があった。前の会社で直属の上司だったとか…。前に田中社長の前で壊れたアンプを直した時に一度、就職の誘いをもらったんだけど俺はバンドがあるからそれを断り続けていた。しかし背に腹は代えられない。こうして俺は親父の言う条件を全て飲み、田中社長のいる「さくらメディカル機器」という会社に就職をしたんだ。


でもやっぱり機械技術はすごく難しかった。俺の持ってる技術なんてやっぱりお遊びみたいなものでさ、回路図も読めないしはんだ付けもなかなかうまく出来ない俺は怒られっぱなしだったし、機械が直らなくて朝まで現場に残ったりっていうのもざらにあった。


それでも俺は玲子との将来を夢見てひたすら働いたんだ。


俺が働き始めて間もなく玲子はこっちにきてすぐ光太郎の職場のアルバイトとして雇用された。もちろん光太郎の圧力がかかっての事なんだけど。


長年の付き合いもあってか光太郎は東京に不慣れな玲子の面倒をよく見てくれたんだ。


来る日も来る日もちゃんと俺にメールをくれた。「今日は〜〜〜だったぞ。」ってな具合に。みんながみんなを信頼して…大変だったけどみんなが力を合わせて頑張っている時間だった。


そんな時、玲子の様子がおかしくなった。17時に仕事が終わってるはずなのに帰りは夜22時だったり…そんな生活態度に俺が注意する回数も日に日に増えていったんだ。

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