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行先


 色々考えてはみたがそうだな……これからの行き先を提案してみようか。


「皆聞いてくれ。新しく二人増えたことによって対処が楽になるため、徐々に行動範囲を広げようと思う」

「うへぇまた外に……」

「馬場、俺達だけじゃねぇんだ。数と戦略があればなんとかなるさ」

「鹿田君の言う通りだ。みすみす死なすために外へ出るわけじゃないからな。君達の動きも見ておきたいし」

「呼び捨てでいいっすよ」

「わかった。今後はそうさせてもらうよ」

「勇真、どこに行こうとしてるの?」

「今の所、この三箇所に絞ってみた」


 地図を広げ赤マーカーで丸をしている地点を指す。

 このマンションから一番近い場所が駐屯地、遠い場所が港、中間地点に空港と存在している。


「これ全部回るの?」

「あぁ、雫達は留守番の方が多いと思う」

「駐屯地はやめた方がいいですよ。周辺がゾンビだらけでした」

「やはりそうか。壊滅しているか状況を知りたかったのと武器が残っていればと思ったが……危険度大だな」


 既に馬場が見てきたのなら行く必要性も無くなったので、×印をつけて候補から削除。


「他二つは国道を避けたいから回り道しながら行くとなると、美優ちゃん達の高校方面から行くことになるだろうな」

「港はラジオで言ってたからよね? それは分かるとして空港はなんで……?」

「こっちも飛べる飛行機がまだあるか知りたいのと、欲を言えばパイロットや整備士が生き残っているか捜したい。運良く内部から崩壊してない限りはまだ近くに居るかもしれないし」


「飛行機とパイロットって……海外へ行く気?」

「最終手段はそうなるな。このままここで一年過ごしても状況が変わらないんじゃ意味がないし、今なら人も群がってはないだろう」


 人以外が群がってるかもしれないがな。

 ゾンビが出現し世界がパニックに陥った時、空港から我先に逃げようと人が溢れたことだろう。

 緊急の場合は予約とかパスポートとかどうなるのか分からないが、感染しているかチェックし飛行機でそそくさと逃げれたとしても、ウイルスが遅効性なためチェックする手段も整っていないはず。

 なので感染者の見逃しも相当数あると思っている。


 なんにせよ飛行機がないと今後空路は絶望的。問題は他にもあるが確かめる意味でも一度覗く価値はあるだろう。


「行く人はどうするんですか?」

「空港で今すぐに脱出するわけじゃないから見張りも兼ねて安全に行きたい。俺、馬場、鹿田と誰か一人か二人居てくれたらいいかな」

「あたしはここを守んなきゃいけないし……となると、雫か葵ちゃんの二択になるわね」

「ん? どうしてだ?」

「美優ちゃんはあんな状態で行かせられないし、智香はそもそも彼らと相性良くないみたいよ?」


 チラッと対象の三人を確認すると、こちらを見ながらお互いに頷いている。そうか……今度は仲の良さにまで気を配らないといけないのか。


「わかった。なら雫か葵ちゃんのどちらか――いや、この際二人共に付いてきてもらおうかな」

「うん、いいわ」

「私も頑張ります」


 葵ちゃんは彼らと面識あるし道中で話も弾むだろう。そうなれば残される俺。

 刺又は二人居ないと機能しないからな。雫を連れていくのはそういう意味も込めてだ。……絶対に寂しいからじゃないぞ。


「よし、行き先は決まったな。彼女達は刺又でいいとして、君達の武器はどうしようか?」


 部屋の押し入れから以前買い込んでいた物を引っ張り出す。

 ネイルガンだけじゃ心許ないと集めていた甲斐があったな。


「うわぁ……師匠ドラえもんみたいですね」

「馬場、君には俺がどう見えてるの?」

「俺ァこの木刀でいいっすよ」

「じゃ、じゃあ僕はこの鉈みたいなので」


 馬場は予想外にも近接武器のマチェットを手に取った。某人型汎用ロボットアニメの主人公のような見た目と相まって、武器がもうそのナイフにしか見えない。

 分類上は包丁と同じく生活刃物なので銃刀法違反にならず、日本で武器にするなら格好良さと使い勝手でこれという人も多い。


 鹿田は予想通りというかヤンキー武器代表みたいな木刀をチョイス。バットより身軽で振り抜き易く、当たった時の衝撃も逃がしやすい。ゾンビに効き目があるかはまだ不明だが、いざとなれば突きで引き離すことにも使える。


 ちなみに木刀は中学時代の修学旅行でテンションに身を任せた結果、購入して特に使い道がないまま保管していただけである。決してどこかの仙人から貰ったり通販から買った物ではない。


「二人共近接か。触覚タイプだけは無理に戦おうとするなよ。見つけたら俺がやる」

「「了解!」」

「今から行けば夕方前には帰れるな。皆のリュックに必需品を詰め込んだら出発だ」


 くるみと智香ちゃんに美優ちゃんのことと留守を頼み、俺達は空港へ向け歩き出した。

 さて、この旅が吉と出るか凶と出るか……。



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