同類
大変遅くなりました。
もう睡眠時間も取れるので再開していきます。
多分週一〜二回更新……かな?
しばらく走って人通り……というかゾンビ通りもない場所まで来て、近くの民家へ逃げ込んだ。
誰も居ないようで荒らされてはいない。元々留守だったんだろう。
リビングで一息ついてお兄さんが喋り出す。
「危ないところだったね」
「はい、お兄さんのおかげで助かりました!」
「君の声がかなり周囲に聞こえていたからね。近付いてみたら、なんか白髪のゾンビを執拗に蹴っていたようだけど……」
「セクハラゾンビなんで気にしなくて大丈夫です」
「そ、そう?」
あたしのお気に入りを破いただけでなく襲いかかろうだなんて、思い出しただけでもイラッとする。
「あ、気が利かなくてごめん。何か飲む?」
「いえ、あたし喉が渇かなくなっちゃったんですよーお構い無く」
そう気絶から覚めてプリンすら欲しくならないプリンショックから数日経つも、未だに何も食べてない。
欲しくないというより感覚的に要らない感じ。
「……もしかして君もか」
「君も? え、何がです?」
「んーと、話が長くなりそうだ。まずは自己紹介を済ませよう。俺は黒川健、二十歳の大学生だ」
「あたしは小倉くるみ、十九歳の新人OLです! 歳近いんですねー!」
「そうだね話しやすくて助かるよ」
「お兄さん彼女はー?」
「い、いないよ。それに健でいいから」
「ふふん、じゃああたしもくるみでよろしく」
まずは第一情報ゲット! あ、もしかしたら居たけどこの混乱で死んじゃったとか、聞きにくいこと聞いちゃったかな……。
「あぁくるみちゃ……くるみ、話し進めるね?」
「どうぞ!」
あたしの殺人目線で気圧されたのか見事呼び捨てに成功。よしよしこっちペースで順調順調。
「まず俺達は人間というより半ゾンビ半人間な存在なんだ。言っている意味分かる?」
「半ゾンビ? 半人間……?」
「具体的にはゾンビになるウイルスを摂取したけど、血液型がBかABで飲酒していれば発症せず、保菌者として活動している状態だ」
「え、あたしってばゾンビなの?」
「ううん、一歩手前だね。喋れて感情も痛覚もあるはずだから奴らとは違う。ちゃんとした人間だよ」
唐突にゾンビ宣言されても理解が追いつかない……。
「ちょ、ちょっと待ってください! 俺達はって言いましたよね? お兄さんもゾンビなんですか!?」
「うん、そうだ。俺の場合はこの騒動を起こしたクソッタレから聞いたんだが、缶コーヒーにウイルスを仕込んでいたらしい。心当たりある?」
「コーヒー、コーヒー……あ!」
父親が新しい缶コーヒーが安かったとかでまとめ買いしてたっけ。
それを一口飲んでウエッとなった記憶が……。
「確かに飲みました」
「その後でビールとか飲んだ?」
「はい……夜に三缶ほど」
「三缶!? というか十九歳ってまだ……」
「法律なんていいんです! あたしのストレス解消法なんで」
「ま、まぁ今更いっか。でね、アルコールを摂取した後に激しい運動をすると、頭が割れるくらいの立ち眩みで気絶をして……」
「したした! 起きたら一週間経ってましたもん」
「長いな。それで体調に変化は現れた?」
「えっと、起きてから食欲がなくなってトイレも行ってないです」
「一緒だ。他に何か特殊な力が身に付いたとかは?」
「足が……高く飛べたりめちゃくちゃ速くなりました」
他にも何かあるのかなー。白髪へのキックもそんなにダメージなかったっぽいし、思い当たるのはそれだけね。
「足か……俺は腕の力がまぁまぁ強くなったからさっきのゾンビも吹っ飛ばせたんだ。でも……」
「でも?」
「副作用というべきか、人間やゾンビを見つけると暴れる衝動に駆られるから、不用意に生存者にコンタクトできないんだよ」
「あれ? あたしには平気なんですか?」
「それなんだ。もしかしたら俺達みたいな同種類には副作用も起きないのかもしれない」
「ラッキーですね! 駆け落ちみたいじゃないですか!」
「どうしてそうなるの!?」
ぬふふ、これはもう運命がそうしろって言ってるでしょ間違いない。
半ゾンビなんて驚いたけど身体は生存能力に長けているみたいだし、仲間がいるなら平気平気。
「それで俺達はワクチンを打たない限りこのままらしい。簡単に渡してくれる奴じゃないから、俺はこの身体のデータと引き換えにあちこち動かなくちゃならないんだ」
「あたしはこのままでもいいですけどねー。ただ能力? を使いだしてから髪がピンク色になってしまって……」
「本当だね。俺は黒髪なんだけどその色にはなりたくないな」
シャワーを浴びて数日経ったら段々色が変わったような気がする。
大分走り回ったからかなー。
「ふふ、白はやめてくださいね」
「あぁ、さっきのじいさん思い出すよ……」
大丈夫です。お兄さんはセクハラしても蹴りませんから!
「そうだ。くるみの能力を使って少し頼みたいことがある」
「はい、なんでしょ?」
「実は俺がこうなる前に大学の仲間がいて妹やその友達も一緒に隠れているんだ。俺は暴走の危険があるし近付けないから……」
「あたしの出番っすね! お安いご用ですよ!」
「ありがとう。もし接触できたら白木勇真って奴にこの話をしてくれると助かる。後は妹に無事だから安心してくれ……と」
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「ってことがあったんですよ」
「なげーよ! 自分語りより最後のくだりだけで十分だよ!」
何か重要な話に繋がるのか我慢して聞いてたけど、ほぼ聞き捨ててもよかった気がする。
「まぁまぁ、それでフードを取る理由がまず説明できましたし」
猫耳フードをめくり隠れていたロングヘアーの巻き髪が見えると、確かにピンクになっていた。
コスプレイヤーみたいだけど違和感がない。海外の人の地毛が金髪で自然に綺麗なのと似た感じだ。
「だいたい分かったけど、それで健は?」
「仲間を探してみるって旅に出ちゃいましたよ」
「そうか……この話を信じるには決め手がないんだけど、健と断言できること何か聞いてる?」
「聞きました聞きました! 確か『雫とイチャつけたか? まさかお前智香ちゃんや葵ちゃんに手出しを……』 だったかな?」
「分かったもういい信じるから」
あの野郎、誤解されそうなこと言いやがって!!




