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迷子



 ここから視点変更が増えると思いますが、二人なのでそう見にくくはないつもりです。


 投稿間隔については活動報告にて!



 ハァハァ、身体が熱く息苦しい。

 さっきから俺に向かってくるゾンビへ攻撃をしているが、焦点が定まらず一向に当たらない。

 原因は奴が他のゾンビと違い若干素早いのもあるが、ほぼ俺の体調不良のせいだ。

 このままではやられてしまう。

 勇真達に伝える暇もないし、とりあえず逃げないと。


「ちくしょう……思うように走れず手まで震えてきやがった」


 コンビニの路地を少し進んだ後、奴を引き離すために十字路を左や右へジグザグに進む。

 後方から声はしたままだ。的確に付いてきてやがる。


「ぐあっ! 頭が、割れ……そう、だ」


 突然の痛みに意識が飛びそうになる。何も考えられない。


「君、こっちだ!」


 どこからか声がする。声ってことは生きた人間か?

 前方に人影が現れた。あれがゾンビかどうかも――。


「おい! しっかりしろ!」


 それが記憶に残る最後の言葉だった。



――――――――

――――――

――――



 健の後をすぐさま追ったが、この辺は無駄に十字路だらけでまるで迷路だ。

 十分ぐらい真っ直ぐ進んだがゾンビすらいない。

 案の定、痕跡も分からず見失ってしまった。


「いないね……」

「いないってことはどこかに隠れたか、道を外れすぎたかだな」


 さっきのゾンビを辿れば早いが見当たらず、死体もないならまだ大丈夫とは思うが……。


「あそこに薬局ほどではないにしろ生理用品はありますよ。どうします?」


 葵ちゃんが言うには個人店を営む夫婦が居るらしく、嗜好品より生活必需品を中心になんでも置いてあるそうだ。


「そうだな……行ってみようか」


 健の行方もどこか分からないし、もし知っていれば来てくれるかかもしれない。

 戦闘の直後に動きすぎたため、休憩がてら立ち寄ってみるか。



 入り口に近付いて中の様子をうかがう。

 ここからでは通路がよく見えないが、荒らされてはなさそうだ。


「やはり鍵がかかってるな」


 外観から見えるガラス部分にシャッターが閉まっていたから、予想はしていた。

 異変を察知して中にいるのだとしたら、俺達は略奪者だ。当然警戒されるだろうな。


「割るわけには……いかないよな」


 軽く叩いてもびくともしない。

 多分強化ガラスなんだろう。他に来た連中もバット程度じゃ割れず、諦めて帰った可能性があるな。

 面打撃じゃない一点集中型のこのネイルガンならどうだろう。


「それはまずいですよ……中に居たらここが空き放題になりますし」

「だよな……。せめて違う入り口でもあればなぁ」

「脚立ならありましたー」

「おぉっいつのまに……」


 智香ちゃんがどこからともなく持ってくる。


「裏に立てかけたままでしたよー」

「入れそうなところはあった?」

「いえ、まったくー」


 困ったな。とりあえず中の様子を覗けるか試してみるか。


「ん? これ入り口より上の部分は普通のガラスみたいだ」


 ここからなら入れるかもしれない。

 そして、上から覗くと店内の様子がよく分かる。


「中はどうですか?」

「葵ちゃん、夫婦の奥さんって黒髪で髪を後ろに束ねてる?」

「? え、えぇそれがなにか?」

「……中に入るからちょっと待ってて」


 これはテープでこっそり割るより派手に割ってわざと気付かせてしまおう。

 割る時には意外とあまり音はしなかったが、破片を綺麗に取り除く最中で床に落ちたガラスの音を聞きつけ奥さんは反応した。


「ひっ! おばさんまで……」


 呻きながら徐々に入り口まで近付き、葵ちゃん達の姿に気を取られている。

 今のうちに狙わせてもらおう。


「二人とも目を背けてて」

「はい……」

「私は大丈夫ですー。入り口が開かないか見ておきますんで」


 真上から狙う格好になり、乾いた音と共に奥さんは活動を停止した。

 そのまま上から乗り込み、死体を端に避け入り口が開かないか確かめる。

 自動ドアみたいだが、どうやらスイッチを切った後に下側を鍵で施錠するタイプらしい。


「鍵か……。二人とも上から入って来れる?」

「いけますよー!」

「わ、私も支えてくれれば多分……」


 まずは智香ちゃんが登り、勢いよく飛び降りる。

 着地の際にフワッと捲れ上がるスカートに目を奪われてしまった。み、見え――。


「あー! 勇真さん見えた?」

「見えてません!」

「ふふん、まだなにをとは言ってないですよー?」

「…………」


 バレてしまったが、これはその、あれだ。

 男は特に揺れている物に目を奪われやすく、やましいことじゃなくて生物学上仕方ないことであって、ほらなんだ……結論を言うと――黒だ!


「まぁいいんですけどねー。減るもんじゃないしぃ」


 うんうん、良いことを言うじゃないか。眼福ありがとう!


「い、いきますね!」


 頭上からもう一人の眼福の声が聞こえる。

 これは受け止めるも失敗しつつ、胸が押し付けられて当たるパターンじゃないか?

 ……さ、さぁバッチこい!


「あ、余裕でしたね」


 期待を裏切り何事もなく着地。

 そういやこの子スポーツ得意だったわ……。





雫「帰ってきたらまずはボディブローね!」



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