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ヴァーヴ・ヴィリエの魔飾師さん  作者: 霧聖羅
閑話 其の一 猫獣人クレソンとルッコラ
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その10

 ルッコラが解体した見た目が微妙な肉も、串に刺して焼いてしまえば味事態には何の問題もない。

皆で火を囲み、食事をしながら言葉を交わす。

話題は道中での採集についてが多い。

そもそもが、昼過ぎに出たのだから距離としては10km程度。

採集や狩りも行いつつだから、まだ、ヴァーヴ・ヴィリエから殆ど離れていない。


「正直なところさ、薬草やら食べれる実やらがこんなに居住地の近くに大量にあるなんて思わなかったなぁ。」

「いえてるぅ~! 知らなかったヤツも結構あったよね。」


 ウサギの串焼きを頬張りながらしみじみと呟くディオンスに、ジャニーは同意しながら「うんうん」と頷く。

香ばしく焼けた串焼きには、臭み消しにとクレソンが茂みの中から掘ってきた小さな玉ねぎのような根菜が挟み込まれており、塩と一緒に振られた刻んだ香草が味を引き立てる。

いつもだったら、肉に塩をかけて焼くだけなのに、随分な違いだ。


「名前は知っていても、雑草と見分けがつかないのもあるしな。」

「わっかりづらいのあるよね~! それが判別できるクーは偉い!!」

「お陰様で、夕飯がグッと豪華で嬉しいわ。」

「流石に、宿の食事にはかないませんけど。」


 その後も雑談を交わしつつ和やかに食事を終えると、くじを引いて見張りの順番を決める。

見張りは基本二人一組で行うから、メンバーが六人いる今回は三交代。

二人一組になるのは、居眠り防止を兼ねつつ何かがあった場合に一人だと対応しきれないことがあるからだ。

そして野営の時、道中や戦闘時に魔力を使う事の多い魔法士や魔道士は、魔力を回復させるために出来るだけまとまった睡眠がとれる様にするものである。

今回の場合、セージとクレソンの二人は宵の口と夜明けに分かれる形だ。

時間帯が一緒なら色々と教えて貰いたいことがあったのにと、セージと夜番が被らない事に意気消沈したクレソンだったが、くじ引きの結果、ルッコラとも別の時間帯になってしまい、その耳が力なく垂れる。

年上の女性たちが何やら熱いまなざしを送っているのに気付いて、ルッコラは可笑しくて仕方ない。

本人が気付いていないから、と、ルッコラはそれを見て見ぬふりをすることにした。




★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




 まだ村に近い場所の為もあり、何事もなく夜が明ける。

翌朝は早くから食事を摂り、手早く野営地を片付けるともう出発だ。

流石に野外行動中なのもあり、前日の様に昼過ぎに出発なんて事はなかった。

ふと気になって、クレソンは前日の出発時間が遅かった理由をセージに尋ねてみる。


「あ~……。昨日は、ちょっと前日に呑みすぎてしまってなぁ……。」


 と言うのが、昨日の出発が遅くなった原因らしい。

そのお陰で久しぶりにたっぷり休息がとれたからクレソン達に異論はないが、野外行動中に同じ事が起こる可能性があるのは少し不安だ。

念の為、その事も尋ねてみると、彼等のパーティは野外行動中に飲酒はしないそうで、大体、今日位の時間帯から活動を始めるのだと返答が返ってくる。

その返事に、自分たちの活動時間帯とあまり変わらない事と酒盛りが無い事に安心しながら、ルッコラとクレソンは視線を交わす。

まだ、この辺りはクレソン達にはお馴染みの場所だ。

セージ達は土地勘がないという事で、馴染みのあるルッコラが先導役を務める事になった。

次の更新から、平日更新にさせていただきますm(_ _)m

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