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1章4

 高層ビルが建ち並ぶフェザーシティの中央部に位置するとあるビルの屋上。ビル風が激しく吹き荒れるその場所で青白いホロモニターが複数表示されていた。

 映し出されているのは黒鉄英士くろがねえいじ、そして突如として英士の前に現れた謎の美少女、美汝楓びじよんかえで。シティで管理されている二人のプロファイルも同時に表示されている。

「イヒヒヒヒ。予想どおり、例の少年に接触してきたわい」

 黒いフードを深く被り顔を隠す小柄な老婆が不気味に笑う。異様にとがった長い鼻の老婆の容姿は、まるでおとぎ話に登場する魔女のようだ。

「それで、あの少年を捕らえれば良いのじゃな?」

 老婆が振り向くと、背後に黒いスーツの男と女の二人が立っていた。

「ああ、五体満足なら殺しても構わない」

「バックアップと少年の回収は我々が行うから、それが済んだら後は勝手にしてちょうだい」

 そう言うと女は邪気払い用のお札に見えるメタルプレートを取り出し、老婆へと手渡した。

「おやおや、バックアップしてくれる上にこいつもくれるのかい? 報酬も悪くないし随分と気前が良いじゃないか」

「我々はただ、ボスの命令に従っているだけだ。忘れるな! 我々と貴様は利害の一致で手を組んでいるだけの関係だということを」

「彼の言う通りよ。しくじりでもしたら……解かってるでしょうね?」

 二人のプレッシャーを感じつつ手渡されたメタルプレートを受け取った老婆は、まだ依頼も完遂していないのにも関わらず頭の中で成功した未来を浮かべていた。

「イヒヒヒヒ。我が組織『ファントム』を壊滅させた美少女戦士に一泡吹かせられる上、組織復活も夢じゃなくなるわい」

 ビル風の音にも負けない笑い声を発っする老婆を一人残し、黒スーツの二人はいつの間にかその姿を消していた。

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