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終章4

「はーい、新年度早々出会いイベントを堪能たんのうしているところ悪いんだが、みんな席に着いたー!」

 紺色のスーツを着こなした女性教師が教室に入ってきて、今までわいわい楽しく話していた生徒達が一斉に席に着き始める。

「この一年間、このクラスの担任になった高橋数子たかはしかずこだ」

 担任が自己紹介を済ませ、クラス一人一人の名前を呼んで出席を取っていく。

「なあ、英士えいじ。結局あの髭オヤジとか一体何だったんだ?」

 後ろの席に座っていた龍平りゆうへいがペンで英士の背中を突いて話し掛けてきた。

「解らん。ただホプキンスって奴は少なからず『PDRI』と繋がりがあったようだ」

「それはこの前聞いたよ。俺が知りたいのは、その後掴んだ髭オヤジ達の詳しい情報」

「残念だが、それ以上の情報も得られていない。そこまで簡単じゃないってことだろ? ただ……」

「ただ?」

「あのホプキンスって奴、もしかしたら『PDRI』の実験で命を落とした者達の亡霊が集まって形になったものかも」

 突然英士が亡霊などと非科学的な言葉を発してきたので、龍平は思わず「はあ!?」と大声を出してしまった。

「そこ、うるさい! ラブコメフラグを立てたいのは解るが、今立つのは死亡フラグだけだぞ!」

「す、すみません!」

 赤っ恥をかいた龍平は態勢を低くして耳にささやくように喋り掛け、話を再開させる。

「んで、亡霊ってどういう意味だよ?」

「考え方の話さ。過去の悲劇を忘れてのうのうと生きていた俺に亡霊達が怒って、ホプキンスのような化け物を使わせたのかもしれない。もし人間がまた過去の悲劇を忘れ、危険な実験を続けるようなら、第二第三のホプキンスがまた平和な日常を壊しにやって来るかもしれん」

 ホプキンスとの闘いは既に数日前に終わっている。だが、現実は映画のように敵を倒してハッピーエンドという訳にはいかない。見えない何かが常に物語の続きを要求してくるのだ。

 例えば、こんな形で続きを要求される。

「出席は全員分取ったな? つーことで、喜べ、フラグを求める男子ども! 転入生の女の子を紹介してやる」

 ほとんどのクラスの男子が「おー!!」と歓喜の声を上げた。

「おい、英士! 転入生だってよ、しかも女の子だって」

「ふ~ん」

 英士には興味が無く、適当な感じで返事を返した。

 教室の自動ドアが開き、クラスの男子達のテンションがヒートアップする。

「おー!!」

「か、可愛い❤」

 クラスの女子からも絶賛の声が上がるので、可愛いさは保障されているのだろう。

「お、おい、英士、あれ……」

 何故か龍平が激しく背中をペンで突くので、しょうがなく英士は例の転入生の姿を見ることにした。

「えっ!?」

 転入生の顔を見た瞬間、思わず英士は声を上げてしまった。

 少し離れた席にいた(しん)愛衣(あい)でさえ驚きの表情を浮かべていた。

「初めまして、今年度から本校に転入してきました、美汝楓びじよんかえでです。よろしくお願いします」

 その転入生はADVANCE(アドバンス)ILLUSION(イリユージヨン)社の社長令嬢であり、ある日突然英士にデートイベントを仕掛けてきた少女であり、そして美少女戦士プリティーフォーチュン、フォーチュンフレアの美汝楓だった。                                                                      (終わり)

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